スクリーンショット_2019-01-12_20

『NETFLIXの最強人事戦略』を読んで考えた最強の組織

2018年、組織文化づくりの文脈で(たぶん)アツいと言われたNETFLIX。そのきっかけの一つにも(たぶん)なった『NETFLIXの最強人事戦略』を読みました。

サブタイトルに「自由と責任の文化を築く」とあって、カルチャーデック(NETFLIXの組織文化はこういうものです、というのを長い文章でまとめたもの。こちらを参照)とか、その具体的な例としての情報公開、自由闊達な議論、説明責任などについても色々書いてあります。

ただ個人的には、「カルチャーデックがある」ことそれ自体でNETFLIXの凄さは完結していて、この本を読んで組織文化の面で「それはなかったわぁ〜、NETFLIXパネェわぁ〜」となるところは、そんなにありませんでした。

劇的な新しさを感じなかった理由としては、日本ではサイボウズさんなどが組織文化や理念を明文化、発信も活発にされている印象が強かったからではないかと思っています。そういう意味では、本書を読んで「NETFLIXは”シリコンバレーのサイボウズ”みたいな感じだな」という印象。


それより興味深かったのは、社員の報酬、評価、採用と解雇などについての話です。

一番印象に残っているのは報酬の話。もちろんシリコンバレー企業なので、相応の給与額は前提ではあるものの、それ以外に何が大事かと言った時に、いわゆるネット企業的な、無料のおやつとか食事とかバー、パーティやイベントとか、そういう福利厚生ではなくて、何よりの報酬は「優れた同僚と、取り組みがいのある課題に取り組める環境」であるという考え方を、筆者は一貫して言っていて、これはなるほどなと。

昨今、どのように働く会社を選ぶかという軸が、「給料がいい、大企業だから安定している、福利厚生がしっかりしている」みたいなクラシカルな価値から、だいぶ移り変わりつつあるかと思います。

自分としては、次のトレンドは

企業や組織のビジョンに共感できる

ではないかと思ってました。大企業でもベンチャーでも、ビジョンを提示してブランディング、採用訴求するところも増えてきている印象。SNSの浸透も背景にあるのかもしれません。

自分もNPOで働いているのでこの視点は実感していて、これからはこういう価値観かな、と思っていたのですが、本書を読んで「優れた同僚と、取り組みがいのある課題に取り組める環境」は、それ以前の古今東西の真理かもな、と思い当たりました。

特に、いわゆる単純労働が機械に置き換えられて、課題を見つけ、解決に向かって考える知識労働がどんどん増えていくこれからの時代では、なお一層、「優れた同僚と、取り組みがいのある課題に取り組める環境」の価値が高まっていきますよね。


NETFLIXの場合は、「優れた同僚と働く」を実現するために、組織がハイパフォーマーチームであり続けるための様々な工夫を、採用、登用、解雇などの観点からラディカルにやっているのだなというのが本書の感想でした。


人材の流動性が異なる日本で同じことをするのは簡単ではありませんが、働きがいとしてこの「優れた同僚」と「取り組みがいのある課題」という2点が重要であることは変わらないでしょう。

そしておそらく、「優れた同僚」「取り組みがいのある課題」に「組織のビジョン共感」が加わったら最強で、それこそまさにこれからの時代の組織だなと思うので、そういう組織を目指して日々精進していきたいなと。NPOはビジョン共感の部分がもともと強いので、がんばればけっこう行けるのではと思っています。


他にも、評価と報酬を切り離すとか、読んでなるほどなぁ〜と思った点は人事施策の話でいろいろあったのですが、それはまた別の機会に。


最後に宣伝になりますが、僕が働いているフローレンスというNPOの採用ミートアップ的なイベントが、1月に2回ほどあります。

「組織のビジョンに共感」しながら、「優れた同僚」と「取り組みがいのある課題」にチャレンジできるポテンシャル、かなりあると思いますんで、興味がある方はぜひご参加お待ちしております。

ではでは!

この記事が参加している募集

読書感想文

妻と4歳の娘、1歳の息子の4人の我が家。家族で楽しく過ごせるよう活用させていただきます!