記事に「#ネタバレ」タグがついています
記事の中で映画、ゲーム、漫画などのネタバレが含まれているかもしれません。気になるかたは注意してお読みください。
見出し画像

舞台 「ルースター」 観劇レビュー 2021/04/24

画像1

画像2

【写真引用元】
劇団スポーツ公式Twitter
https://twitter.com/gekidansport

公演タイトル:「ルースター」
劇団:劇団スポーツ
劇場:花まる学習会王子小劇場
脚本:田島実紘
演出:内田倭史
出演:内田倭史、川久保晴、古賀友樹、神山慎太郎、竹内蓮
公演期間:4/21〜4/25(東京)
上演時間:約85分
作品キーワード:コメディ、どんでん返し、大学生、青春
個人評価:★★★☆☆☆☆☆☆☆

早稲田大学演劇倶楽部から発祥した劇団スポーツの公演を初観劇。
劇団の作風としては、さすが大学サークルから派生した劇団ということもあり、大学生を主人公としたドタバタコメディを描いた感じ。慶應義塾大学の演劇サークルから劇団化したゴジゲンや劇団献身、または代表作に「サマータイムマシン・ブルース」などがあるヨーロッパ企画と作風が近い印象。
物語は、大学卒業旅行でキャンプに出かけた日の夜、仲間の"まちの"が崖から落ちてしまったという事故が起き、誰かの責任として押し付けたり、そんな現実から目を背けようとしたりと、屁理屈をこねながらコメディタッチで一夜が進行していくもの。
大学生を経て大人になった自分としては、「あるある」と頷いてしまうくらい刺さる台詞があってリアリティを感じる部分があったが、個人的には少々ストーリー展開に物足りなさを感じてしまった。"こが"という男子が"波留"という女子に告白のサプライズをする下りは良かったのだが、それ以外のシーンは基本"まちの"が崖から落ちてしまったかそうでないかをグダグダと屁理屈を言いながら言い争う感じで少々冗長気味に感じていて、もう少しストーリー展開、話の起伏みたいなものが欲しいと思ってしまった。
キャスト陣に関しては、"波留"を演じた川久保晴さんの熱量ある演技が素晴らしかった。声の張り方も良かったし、"こが"に告白された時のリアクションがツボだった。
ヨーロッパ企画とか、ゴジゲンとかコメディ風の会話劇が好きな人にオススメ出来るのかも知れない。

スクリーンショット 2021-04-25 2.12.22

【写真引用元】
ステージナタリー
https://natalie.mu/stage/gallery/news/425484/1580106


【鑑賞動機】

早稲田大学演劇倶楽部から派生した劇団の作品は以前から気になっていて、丁度よいタイミングで劇団スポーツの公演が実施されると知ったから。Twitter上でも、今回の劇団スポーツの公演に出演されるキャスト陣が豪華だと言われていて、注目している演劇業界人も多かったので観劇することにした。


【ストーリー・内容】(※ネタバレあり)

舞台はコロナがまだ落ち着いていない世の中、大学卒業旅行でサークルの仲間とキャンプに出かけた時の一夜のことである。

"うっちー"(内田倭史)はクーラーボックスを持ってきて、この中に3万円ほどする高級肉が入っていて、大学の間お世話になったとみんなへの感謝を込めて買ってきたらしい。"うっちー"は物凄く上機嫌で内定をもらっていたということもあったようである。
そこへ一緒にキャンプへ来ていた"こが"(古賀友樹)、"かみやん"(神山慎太郎)、"れん"(竹内蓮)がやってくる。4人はこれからやってくる"まちの"の内定祝いのサプライズの練習を始めて盛り上がる。
そこへ大声で叫びながらやってきた紅一点の"波留"(川久保晴)がやってくる。他の仲間は"波留"の言動に驚くも、すぐに"波留"はなんでもないと言わんばかりにサプライズのノリに混ざる。

"うっちー"が"まちの"を呼びに行く。しかし"うっちー"は"まちの"が崖から落ちたかもしれないと双眼鏡を取りに戻ってきて、また"まちの"の元へ行ってしまう。そして戻ってくる。"うっちー"は"まちの"らしき人が崖に落ちているかもしれないと叫び出す。
他のメンバーは冗談だろと話を信じていなかったが、"うっちー"の必死さから次第に本当なのではないかと思い始め、"うっちー"と"かみやん"と"れん"で様子を見に行く。
その間取り残された"波留"と"こが"だったが、"こが"がこっそり"波留"に向けて用意していた花束を取り出して恐る恐る近づき渡そうとする。しかし、"波留"には気づかれずに戻ってきた"れん"に見られてしまったことで、"こが"はこっそりと花束を"うっちー"が買った高級肉の入ったクーラーボックスに隠す。

様子を見に行った3人が戻ってくると、"かみやん"はたしかに人らしきものが崖の下で倒れているが、暗くて誰だか分からなかったと言う一方、"うっちー"は崖の下にクッキーの箱詰めが見えた、いや何もなかったかもしれないとあやふやな事を言い出す。一先ず警察に電話しようとするが、どの人の携帯も圏外になっていて電話出来なかった。
そこへ"波留"がカミングアウトを始める。先ほど、崖の淵で"波留"は"まちの"に告白されていた。しかし"波留"は今まで男性に告白された経験がなく、同様してしまって抱きつこうとした"まちの"を振り払ってしまった。
その時の勢いによって"まちの"は石に躓いて倒れ、その衝動で崖へと転落してしまったと語る。だから"波留"は、自分のせいで"まちの"は崖へと転落してしまったので、自分が電波の届く所まで行って警察に連絡して出頭するという決断をする。
しかし、このキャンプ場へも"まちの"の自分の車で運転してきて鍵も彼が持っているため、車で電波の届く所まで行くことが不可能だった。

その時、"かみやん"の携帯が鳴り始める。"かみやん"は電話に出て、妊娠していた友達が出産したという報告を受ける。
電話の中身はどうでも良かったが、圏外であったはずの携帯が鳴ったことに対して、仲間たちは"かみやん"を追求する。"かみやん"は嘘を付いて圏外だと答えた理由について。
"かみやん"は、そもそもこのキャンプ場は柵もない本来なら立入禁止の場所で、敢えてそこを選んでみんなを連れてきたんだと説明をした。"かみやん"はみんなのように内定をもらっていた訳ではなく、留年していた。今ここで警察に通報してしまったら、立入禁止場所でキャンプをしていたということで、ここにいる仲間全員が"まちの"の事故に関わったこととなり、下手すれば内定取り消しになってしまう。
みんなには内定取り消しになって欲しくない、そのためにはここで"まちの"のことは警察に通報せず、大事にしないようにしたいと申し出る。
しかし、それには大きく反対する"波留"。"波留"は、自分のせいで"まちの"が崖から転落してしまったことは事実なので、自分も悪いことには変わりなくて、警察に連絡したいから電話を貸すように"かみやん"に迫る。

そこへ"うっちー"が、ここでそんな言い争いをしていても仕方ないので、取り敢えず乾杯しませんかと、自分が用意した高級肉のクーラーボックスを持ち上げる。
しかし、クーラーボックスの中に高級肉でないものが入ってる感覚があり不思議に思う。"れん"は、"こが"がクーラーボックスの中に花束を隠していたことをバラす。"うっちー"は高級肉と同じ中に花束を入れるなと怒り出す。
"こが"は"波留"に告白しようとしていたことを"れん"にバラされたので、説明を始める。"こが"は今までずっと"波留"のことが好きだったがなかなか告白できずにいたため、卒業間近のこの旅行でサプライズ告白しようと用意していた。指輪や演出用のスマートスピーカー、クラッカーやいらないガラクタまで沢山用意していた。
"うっちー"が勝手にスマートスピーカーで音楽をかけ始める。勝手にサプライズムードになったので、"こが"は指輪を渡しながら"波留"に告白する。指輪は指に入らなかったらしくすぐに返されてしまう。"こが"はこの反応は"波留"にフラレてしまうと諦めたが、"波留"はぶっきら棒に「好き」を連呼してくれてカップルが成立する。
他のメンバーたちは大喜びでこの二人のカップル成立を祝福した。

しかし、そんなサプライズムードに水を差すように"まちの"のことを思い出す一向。
少しでも明るい気分にしようと、みんなで"まちの"の思い出話を語り始める。"まちの"は眼鏡をかけていて物静かなタイプの人間だったらしい。
しかし"れん"は、そんな"まちの"の話をしていても気が紛れず、もう一度崖の下を見て来たいと行って向かってしまう。"うっちー"もそれに続いて追いかける。
"うっちー"だけが戻ってきて、"れん"を見失ったと言う。次は"れん"までいなくなってしまうのかと心配になる一向。
「れーん」と叫び続ける一向。そこへ"れん"が眼鏡をかけて脅かすようなオーラで登場して、みんなを安心させる。

"かみやん"が言い始める。"かみやん"の家は住職の一家なのだが、亡くなった人のことを思いながら楽しく飲み食いすることは、亡くなった人の供養のためにもなると力説し始め、みんなで乾杯して"まちの"のために飲もうじゃないかと言う。
それに応じた一向は、ビール缶を開けて乾杯して飲み始める。みんなで楽しくワイワイしようと、それが"まちの"のためでもあると。
しかし、朝日が昇り始めて朝になってしまう。

暗転

崖の下に助けてと叫ぶ声がする。かけつけたのは"うっちー"。崖の下に"まちの"がいることを確認して、今から助けると双眼鏡を持ってくる。"うっちー"が双眼鏡を持ちながら、"まちの"に手を伸ばして助けようとしたが、手が滑って"まちの"は更に崖の下へ転落して死亡?してしまう。ヤバいと思った”うっちー”は、皆の元へ引き返す。
ここで物語は終了。

危険なキャンプ場へ案内したのは"かみやん"、誤って崖へ転落させてしまったのは"波留"、そして死亡?させてしまったのは"うっちー"というオチだったが、このストーリーは個人的にはシックリいかなかったし、厳しめに言ってしまうとよく出来ているとも感じられなかった。
最後をどんでん返しみたくしたいのだったら、もっとやりようも沢山あっただろうし、如何せん途中はずっと"まちの"を巡る話で、もう少しストーリー展開が欲しかった。
面白いと評価する人たちは、役者たちが繰り広げる屁理屈をこねたような会話劇が良いのだと思うのだが、そこは自分の趣向には合わなかった。
ただ、"こが"の告白シーンは面白かった。ああいったシーンをもっと沢山観たかった。

スクリーンショット 2021-04-25 2.12.04

【写真引用元】
ステージナタリー
https://natalie.mu/stage/gallery/news/425484/1580105


【世界観・演出】(※ネタバレあり)

今作品の世界観・演出は、全体的にキャンプ場での夜ということもあって「夜」を表すブルーの照明と、バーベキューコンロの焚き火のオレンジ色の照明が織りなすちょっぴり神秘的な感じだった。ただ大学生たちが主人公の作品なので、小道具とかは雑多な印象だったりするので、その辺りを舞台装置・小道具、照明、音響について触れながら見ていく。

まずは、舞台装置・小道具。舞台装置らしいものは存在せず、ステージの中央にバーベキューコンロがあって、その周囲にいくつかのアウトドアチェアがあり、上手側にはテーブルとクーラーボックスと、メンバーのリュックなどの荷物が置かれていた。
これらの道具は大学生らしく安物が多いといった感じ。凄く臨場感が出ていた。
一番目を引いたのが、中央に置いてあったバーベキューコンロのオレンジ色にずっと明るくなっていて、まるでコンロがついているかのような演出が凄く良かった。帰り際にステージの手前側を通ったので近づいて覗いてみると、どうやら天井からオレンジ色に照明を当てているのではなく、コンロの中にオレンジ色に発光する照明を入れていて、そこからコンロがまるで付いているかのように、オレンジ色の炎のような演出が施されていたことが分かった。
こういう演出は、観客側の興味を惹くので凄く効果的だと思う。

次に照明。世界観・演出の冒頭で書いたように、全体的にキャンプ場での夜ということもあって「夜」を表すブルーの照明と、バーベキューコンロの焚き火のオレンジ色の照明が織りなすちょっぴり神秘的な感じが凄く良かった。ある人はTwitterで、ディストピアSFみたいな表現をしていたのもなんとなく分かる。凄く小劇場の良さを上手く引き出しているような照明効果で好きだった。
印象に残った照明演出は、ラストの朝日が昇るシーン。完全に白く明るく一向を照らして、その明るい方向を全員が向いて「おーーー」と驚いている感じのシーンは凄く好きだった。こういうラストに全員が一体感になるみたいなコメディの演出(「サマータイムマシン・ブルース」のタイムマシンが辿った時系列が明らかになるみたいな驚きのシーン)は凄く印象に残る。

そして音響。まず客入れの童謡が元気よく流れている感じが良い。もうこの段階で作品に没頭出来そうな感じがあった。
後は携帯電話の音とか、スマートスピーカーからの音楽がしっかりと適切なスピーカーから流されていて、ちゃんと本物から流れているように聞こえている演出が良かった(てか、本当に携帯電話、スマートスピーカーから流していたのかな、それにしては舞台空間の中ではっきり聞こえていた気がする)。
そしてラストの音楽、威勢よく明るい音楽が流れるのが良い感じだった。コメディ作品あるあるだなあと。

その他演出部分のついて、特に面白いと感じた部分をピックアップしてみる。
まずは、"うっちー"が"こが"が持ってきたスマートスピーカーの電源を付けたり消したりする演出。あの音楽が入るだけで雰囲気変わるので、そこを巧みに使った演出が面白かった。
そして、"波留"が告白されたシーンでのぶっきら棒な「好き」が面白かった。キャスト・キャラクターの項目でも触れるが、"波留"は元々男にあまりモテたことのない恋愛経験に乏しい女性の設定なので、「好き」を伝えるのが下手くそなのだろう。そこを上手くコメディとして消化した演出が素晴らしかった。
携帯電話が鳴るシーンで、"うっちー"がポケットからバナナを取り出すシーンも地味にウケた。
そして終盤の、"れん"を探し出すためにみんなで「れん」と叫ぶシーンで、"かみやん"が劇場の壁に向かって思い切り叫んでいるシーンも滑稽だった。

スクリーンショット 2021-04-25 2.13.28

【写真引用元】
ステージナタリー
https://natalie.mu/stage/gallery/news/425484/1580110


【キャスト・キャラクター】(※ネタバレあり)

正直キャストに関しては、作品自体が大学生ものであるという点もあるかもしれないが、俳優らしさみたいなものは感じられず素人の演技みたいに感じてしまった部分が大きかった。台詞が聞き取りづらいとか、滑舌が悪いとかそういったものは特になかったのだが、アマチュアが演じている印象を受けたかなという厳しめな印象。
それでも良かった箇所を取り上げながら何人か紹介する。

まずは、"うっちー"を演じた劇団スポーツ所属の内田倭史さん。今作では演出も手掛けていて、物語においても中心人物。内田さんの演技は、無邪気に走り回るキャラクターがハマっている感じはあった。序盤のシーンで舞台上を温めるのも彼の見せ所に感じた。
個人的には正直序盤の笑いの誘いは乗れなかったが、内田さん自身はムードをしっかり作っていた感じはした。観客のリアクションに左右されず、高いテンションをキープしてしっかりと笑いのムードを作れるという点は素晴らしいと思う。
個人的に面白かったのは、クーラーボックスに花束が入っていると分かった辺りの無駄な高級肉への固執と、内定先の「タケモトピアノ」のくだり。

次に"波留"を演じた川久保晴さん。今回のキャストの中で群を抜いて素晴らしいキャストだったのではないかと思う。彼女が発する声は凄まじく通るしインパクトを感じる上、お転婆娘っぽさが非常にキャラクターとしてもハマっていて凄く観やすい演技をされていた。
やりたいことはあったけど、家族を助けるという面もあって地元で就職するという進路選択も堅実で、そう出来なかった自分にとってはグサグサ刺さる台詞だった。
また、あまり男性にモテたことがなかったから、"こが"のサプライズ告白も「好きー」というぶっきら棒な返答で気持ちを伝えていた箇所が凄く良かった。そしてそれでも、こちら側としては心動かされる。非常に良いキャラ作りだと思った。

"こが"を演じた古賀友樹さんも自然な演技がハマっていて良かった。おそらく素に近いのだろうなと思うのだが。
でもそれが、例えば"波留"への告白だったりで凄くハマっていたので全然違和感を感じることなくお芝居を観ることが出来た。もう少し出番があっても良かったと思うくらい。
また一人だけ金髪っていうのも良かった。大学生感を感じさせるファッションヘアーだった。

"かみやん"を演じた神山慎太郎さんも、"れん"を演じた竹内蓮さんも、イマイチ自分にグッと来るような芝居には感じられなかった印象。素で芝居をしている感じ。敢えてそうしているなら、もっと惹きつけられる何かが欲しかった。コメディ要素だけだとちょっと満足度として低いかなと。

スクリーンショット 2021-04-25 2.13.11

【写真引用元】
ステージナタリー
https://natalie.mu/stage/gallery/news/425484/1580108


【舞台の考察】(※ネタバレあり)

自分も大学生だった時代があったので、あの大学卒業時の社会に出る手前の感じはなんとも言葉に表しづらいが伝わってくるものがあった。
ただ馬鹿して遊びまくって一緒につるんでいた面子とも、社会に出ることによって頻繁には会えなくなる。だからこそ、卒業旅行だけは一緒に楽しく過ごしたい。そういう思いは伝わってくる。
"うっちー"みたいに無駄に高級な肉を大盤振る舞いしてしまったり、色々なサプライズを企画して盛り上がったり、"こが"みたいに今までずっと好きだった気持ちを打ち明けてみたり、振り返ると青春要素を詰め込んだような作品だった。
そして、メンバーの中には内定を貰った人間と留年した人間、そして夢を諦めて地元就職という進路の分かれ方にも、そこにはリアルを感じて刺さるものがあった。
早稲田大学演劇倶楽部から派生した劇団なので、そもそも母体自体が大学という時代を通過してきている。だからこそ、脚本として書かれている内容にも経験当事者といった感じの生々しさリアリティが凄く伝わってきた。

この作品を通じて観客に伝えたいメッセージを考察してみる。
"まちの"を死に追いやってしまったのは、間接的には"かみやん"であり"波留"であり、そして直接的に"うっちー"であった。しかし皆どこかその"まちの"の死という現実と向き合いたくないという気持ちで一致していた。
それはそうであろう。楽しかった大学時代の終始の打ち方が仲間の死というショッキングな事故で終わらせたくないから。"まちの"は崖から転落したという事実を必死で否定したい、ただそれだけだったと思う。
だから"うっちー"は、崖の下に転落しているのを"まちの"と認めたくないからクッキーの箱詰めだと言いたかったのだし、序盤に"波留"が大声で叫んで入って来たのも、他のメンバーたちの楽しそうなムードに押し流されていた。"かみやん"も"まちの"の死を隠蔽しようとした。
"まちの"の死をなかったことにしたかったから、みんな必死で詭弁劇を演じていた。

ただ、描きたい内容は分かるのだが、それだけを描くために終始一貫して"まちの"の崖転落事故の責任云々や屁理屈をただただこねる作品となっていたのは、もう少々脚本に面白みをもたせて欲しかったかなという感想である。
もっと各キャラクター性を活かしたストーリー展開にすることも出来たと思うし、"こが"の"波留"へのサプライズ告白みたいに、"まちの"の死と関係ない面白シーンを沢山盛り込んでも良かったと思う。ちょっとストーリーの展開の仕方的にあまり面白みがなかった。
"れん"のキャラクター性や"こが"のキャラクター性を活かしたシーンをもっと観たかった。

今後も早稲田大学出身の劇団や演劇ユニットを沢山観ていきたいと思うが、個人的にはプロの劇団と匹敵するくらいの面白さを持った脚本、演出に出会いたいと思っている。

スクリーンショット 2021-04-25 2.12.38

【写真引用元】
ステージナタリー
https://natalie.mu/stage/gallery/news/425484/1580109



この記事が参加している募集

舞台感想

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?