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クライアントへの正しい“寄り添い方”

ここ数年、「寄り添う」というコピーをよく耳にしませんか?「顧客に寄り添う」、「気持ちに寄り添う」、「社員に寄り添う」…。この言葉の真意は何でしょうか?

素直に従っているだけでは退屈

キノシタ: 昨日はタイヨウ君に随分絞られていたね。
モエさん: 「どうして自分のアイデアを出さないんだ」って言うんです。私としては、クライアントの要望をヒアリングして、ちゃんとみんなの意見を集約したのに…。自分勝手なアイデアより、クライアントの意見をちゃんと聞くべきだと思いませんか?

モエさんの話をまとめると、
●モエさんとタイヨウ君はクライアントの本社オフィス建替えプロジェクトを担当。どんなオフィスにするかメンバー間でコンセプトをまとめている
●モエさんは、クライアントの意見を集約して「先進性」というキーワーを抽出。それに見合う、近未来的なデザインイメージを複数出してみたが、タイヨウ君は納得していない様子

キノシタ:「先進性」というキーワードをもっと掘り下げて考えてみたらどうかな?クライアントは単に外装のデザインや、斬新なインテリア、最先端の設備だけを求めているのではないのかもしれないよ。
モエさん:でも「先進性」って、そういう事ですよね?それに、クライアントはそういう「先進性」をイメージして話していたはずですし…。
キノシタ:確かに、そうかも知れないね。でも、もしかしたらクライアントがまだ気づいていない「先進性」もあって、本当はそっちが欲しいのかもしれないよ?
モエさん:……。
キノシタ:少し視野を広くして考えてみると…。そうだなぁ、たとえばデザインとかのハードではなく、働き方が先進的とか。今は、イノベーションがどの会社でも求められてるでしょ?それに応える形で、エントランス近く、セキュリティの外側にコワーキングスペースを設けて外部の優秀な人と共創できるようにしたりとか。さらに、社員の働いている姿を、社外の人に見えるようにしてあげるとか。
そうやって、あんな会社で働きたいなって思ってもらえれば、これからも「先進的」な製品を世の中に出せる会社でいられる。そういう意味として、「先進性」を解釈してあげたら案外喜ぶのかもしれないよ。仮にボツ案になっても、そういう提案って、嬉しいんじゃない?
モエさん:そうですけど、そこまでする必要はないですよ。何てたって、みんな忙しいんですから(笑)!

パッシブからのアクティブ

キノシタ:元気でいいね!これは僕の昔話だけど聞いてくれる?
僕自身、新入社員の頃は、クライアントの意見を聞いて、文字通り素直に従うことがいいことなのだと思ってた。そんな僕のことを、クライアントはきっと退屈に感じたんだろうね。あまり評価されなかったんだよ。
モエさん:えー、そうだったんですか?
キノシタ:それ以降、逆にプレッシャーになって、すべて自分のオリジナルのアイデアを発案しようと躍起になったんだけど、これまた空回り。クライアントから信頼されないのは、すごくつらいことだと実感したよ。
キノシタ:仕事が楽しくない時期だったなぁ。そんなある時、クライアントの真意は何なんだろうって考えながら、自分なり解釈を加えて提案したらとてもうまくいったんだ。
モエさん:もしかしたら、それがキノシタさんが良く言う「相手に寄り添う」の意味…ですか?
全部相手の文字通りの「言葉」に従えばいいというわけではなくて、もう一つ深く考えて、自分なりの解釈をしてみる。もちろん、全部自分から発案すればいいというわけでもない…か。
キノシタ:モエさんは、クライアントの意見をしっかり受け止めようとしているのだから、これからは、新しい「寄り添い方」にチャレンジしてみると良いよ!そこから、自然にアクティブな提案も生まれてくるしね。そうすれば、合格点は確実にクリアーし、満足度の高い結果につながる。タイヨウ君の望んでいる事だと思うよ。
モエさん:すごく面倒くさそうだけど…。そう言う働き方って、何かかっこいい!それに、楽しい働き方なのかもしれませんね!

まとめ
✔ まずは、相手の意見をしっかり受け止めることが重要だが、ただ無条件に従うだけではダメ
✔ 意見を深堀りし、自分なりの解釈を加えてあげることがクライアントへの「正しい寄り添い方」
✔ 正しく寄り添えば、「それならばこんな風にすればいいのでは?」というアクティブな提案も生まれてくる。

このような流れのコミュニケーションは、目の前の相手(クライアント、社内の同僚、プロジェクトのメンバー、外注先の方々等)を引き込み、信頼感を醸成し、楽しく働くためにも有効です。
だから私は、相手がどのような立場の人であっても、相手に正しく寄り添うことを大切にしています。

正しい寄り添い方をもっと知りたい方はこちら


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