募集日程 変更多数・英語外部試験導入も【国公立大2025】変更の背景を受験指導に活かす
「今日から使える!大学入試まるっとポイント解説」略して「まるポ」。第5回から数回に分けて、2025年度入試一般選抜の主な変更点とそのポイントをお知らせしています。
2025年度入試は新課程に便乗して多くの変更点が発表されています。
そのすべてを追っていくのは難しいもの…。そんなときは代ゼミにお任せください!現段階での公表内容をもとにそのポイントをお伝えしていきます。
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本記事では【主要国公立大】の一般選抜の変更点を追っていきましょう。
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※掲載したすべての内容は、大学が公表する最新の募集要項を必ず確認してください。
■一般選抜の募集日程を変更する大学
特別選抜か一般選抜か、後期まで粘るか、前期で決めてしまうか…受験戦略を考えるうえで大切になるのが募集日程です。
一般選抜を廃止
弘前大学 教育学部学校教育教員養成課程初等中等教育専攻-中学校コース技術専修では、一般選抜前期日程(募集人員 3 人)を廃止し、代わって総合型選抜Ⅰ(共テを課さない。同 3 人)が新設されます。
技術専修の総合型選抜移行により、家庭専修を除く実技系教科の専修(音楽・美術・保健体育・技術)はすべて総合型選抜での募集となります。
近年の入試結果をみると、技術専修の実質倍率は2021年度から2.0倍→3.8倍→1.0倍→1.7倍で推移しています。2023年度は落ち込んだものの、極端に志願者が集まっていないというわけではありません。
近隣大学をみると宮城教育大学 総合型選抜でも同系統の募集が行われています。弘前大学の参入によって志願者に動きがみられるのか注目されます。
日程廃止
これまでも全国的に後期日程は縮小傾向にありましたが、近年の総合型選抜・学校推薦型選抜の拡充によりその傾向に拍車がかかっています。
例えば東京学芸大学、信州大学教育学部、広島大学の一部専攻や神戸大学看護学部、長崎大学薬学部は一般選抜後期日程の実施を取りやめます。
一覧をみてもわかるように日程を廃止する専攻は教育・医療系統が多くなっています。
教育系統、医療系統は2024年度入試後期日程において、志願者を減らした系統でもあります。
2年程度の入試結果をみて志願者が減っている系統については、募集日程の変更がなされる可能性がぬぐえません。高校1年生・2年生の段階においても注意してください。
日程の拡充
募集日程廃止・特別選抜の拡充と、一般選抜での受験を考えている受験生からしたら残念な変更がある一方で、一般選抜において日程を拡充する大学も存在します。
日程廃止に比べると決して多くはありませんが、受験機会を増やすことになります。
特に国公立大学の薬学部は全国的にも数が少ないため、山陽小野田市立山口東京理科大学の前期日程追加は朗報です。中期日程での単独募集だった2024年度よりも募集人員が2名増員となります。
中期日程・後期日程は合格発表の時期が3月下旬となるため、受験への集中力を維持させるのが難しいという難点があります。ただし、近年は後期日程の欠席率も上がっており、志願倍率が高倍率でも実質倍率が1倍を切るというケースも散見されます。
最後まであきらめないことで手に入る未来もあります。
このような機会を積極的に活用するのもよいでしょう。
■一般選抜での英語外部試験の利用
国公立大学で英語外部試験のスコアが利用できる大学は、私立大学に比べて多くはありません。
全国に189校ある国公立大学のうち、何らかの形でスコアの利用ができるのはわずか19校。たったの1割です。
各大学の活用状況は下表のとおりです。
英検®だと文系・理系ともに準1級でかなり有利になります。2次試験で満点換算とする千葉大学 国際教養、教育-英語(前期)は、英検®だとCSEスコア2,500(準1級程度)で配点300点に満点換算、宮崎大学 工前期は、英検®だと2級で配点100点に満点換算となります。
共通テストの総合点で合格者平均点並みに得点できた場合、2次試験で必要な総合点は6割~7割程度であると言われています。1科目だけだとしても満点扱いになることが、いかに有利になるかがおわかりいただけるのではないでしょうか。
英語外部試験のスコア、東京都立大学で活用可能に
利用できる大学のラインナップについて、ここ数年変化はありませんでしたが、2025年度は新たに東京都立大学において英語外部試験のスコアが利用できるようになります。
対象の学部は都市環境、システムデザイン、健康福祉の3学部で英語外部試験のスコアが配点の一部に含まれるようになります。
共通テストの外国語および2次試験の英語とは別に英語外部試験の配点が設けられ、スコアを所有していない場合は共通テスト外国語の得点で代替されます。
求める学生像として「国際社会や異文化に対して広い関心を持った人」を掲げているからか、意外にも健康福祉学部看護学科における英語外部試験の配点割合が29.3%と一番高くなっています。
これまで私立大学に比べて、国公立大学は英語外部試験利用入試の導入に積極的ではありませんでしたが、スコアを所持している人にとってはその成果を生かせる入試変更といえるでしょう。
■まとめ 入試変更にある意図とは
前回の旧帝大の変更点に引き続き、国公立大学の一般選抜に関わる入試変更をみてきました。
単純に、昨年から変更があったで片付けてしまってもよいのですが、教育関係者としては「なぜ変更がなされたのか」という意図まで考えたうえで受験生の指導にあたりたいと考えています。
入学者選抜を行うにあたって、各大学はアドミッションポリシーにそった入試を実施しています。前年の実施状況や在学生の学修状況をみて、選抜方法が適切であったのかを検証し、次年度に向けての改善や実施方法を議論しています。すなわち、入試変更からは大学が受験生に求めるメッセージの変化を読み取ることができます。
変更の意図について大学から説明がある場合もあれば、こちらが推測するほかない場合もありますが、受験生が納得感をもって入試変更を受け入れるためにもその背景を推測してみることが重要であると考えます。
募集日程の変更は、年内入試人気の高まりによる募集人員の見直し、一般選抜の主流である前期日程において早期に受験生を確保したいというねらいや、逆に縮小しつつある後期日程まで粘り強く努力を重ねた受験生を獲得したいという意図があるとも考えられます。
また、英語外部試験利用については私立大学入試での浸透や、高校の行事として資格試験にチャレンジさせる機会が増えてきたことを受けて、受験英語ではなく汎用的な英語力を有している受験生を獲得したいという考えもあるでしょう。
大学・学部・学問によって育成したい学生は異なりますから、同様の変更であってもその意図まで同じとは限りません。
少子高齢社会のなかで大学の適正な規模を議論する時代です。受験生の負担を少なくすることで受験者数を増やす、という安易な入試変更をしている場合もあるかもしれませんが、
”ほとんどの大学がよりよい研究活動によって、よりよい社会を作り出すためにはどんな学生に来てもらうのがよいのか”
頭を悩ませていることは念頭に置いておきたいところです。
進学指導をする立場にある私たちが「入試変更=煩わしいもの」ととらえずに「入試変更=アップデート」であるととらえ、前向きな気持ちで受験生を大学に送り出しましょう。
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