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夢がみたくて

転校転勤が多かった。

自然とその場その場を乗り切る対人能力は
身に付いていったけれど、
”友達”をつくるのは今でもずっと苦手なまま
大人になってしまった。

怖くて成人式には行けなかったし、
会いたい人に素直に会いたいと言うのも怖くて
冗談みたいになってしまってなかなか会えない。
いつもへらへらしているけれど、
実はとても悲しんでいる。

そんなわたしでも文章でなら思いを伝えられる。
(LINEは会話に近いと思っているから少し苦手だけど…。)

小学生の頃から図書室に入り浸り本を読み、
お別れする友達になりたかった人たちに
手紙をしたためていたからだろうか。
話すとおちゃらけしてしまう言葉たちも、文章なら心のまま届けることができる。

新しい環境にはやく馴染もうと
緊張状態にあったわたしにとって
唯一の安心できる友達だった”本”がくれた
プレゼントなのかも、
と思うとほくほくする。


「だから」
と言ってしまうと
「そんな理由で?」
と思われてしまうかもしれないけれど

わたしはそんな理由で
事務の仕事を辞めた。

文章を書いて生きていきたいと思ったから。


プレゼンや電話、会議では届かない言葉たちが
もったいなかった。
震える声では説得力もなく
伝わらない。
文章なら届けられる気がするのに、と
もやもやしていた。

今思うとわたしには電話をせず、
メールで仕事をするようになった対面の方は
とても勘のいい優しい人たちだったと思う。

辞めたいという意思を伝えて
ライターの仕事を探している今がとても楽しい。


いまいちライターにどうやってなるのか
はっきりわからなくて、
退職したあとずっと無職だったらどうしよう、
という不安がないと言ったら嘘になるけれど、
四半世紀生きてきて
今1番自分の人生に期待している。

なんとなく勉強して
なんとなくいい会社に入って
なんとなく頑張って働いていた。

でももうなんとなくは終わり。

わたしは言葉を使って文章を書いて生きていく。

これがわたしが仕事を辞めた理由。


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