パスタをゆでながら
最近気づいたことがある。
きっかけはよくある質問だった。
「好きな食べ物ってなに?」
みなさんは最近聞かれたことはあるだろうか?
歳をとるにつれて少しずつ聞かれることがなくなっていたので新鮮な気持ちになった。
この質問をされるとクラス替えを思い出す。
新学期、担任の先生は自己紹介タイムとやらをつくってクラスの親睦を深めようとした。
好きな〇〇は定番項目だった。
いつもわたしはお寿司とピザと答えてにやにやしていた。ありきたりな答えなのになんとなく盛り上がる魔法の答えだった。
時を経てその質問を投げかけられたとき
咄嗟に出てきたのは”パスタ”だった。
自分でも驚いた。
たしかに日々よく食べている。
学生時代も外食のときも。
テレワーク中のパスタは特に美味しく感じる。
お昼休憩が近づくといそいそとパスタを茹でながら仕事をする。多少の後ろめたさがスパイスになっているのかもしれない。
茹でてソースをかけるだけでできてしまうパスタはずぼらの味方だ。
味もおにぎりの具くらいバリエーションがある。
実際気づいたら毎昼食べていることもある。
たまに世界から誰にも気付かれずに消えたい、と
思う日がある。何にもしたくなくて何にもできる気がしなくてミジンコくらい気持ちが小さくなってしまっている日。
そんな日にもなぜかイタリアでパスタを食べてみたかったなあ、なんて思う。
「イタリアのパスタは日本のパスタの概念を壊す!!!」と
鼻息荒く帰国してきた友人の顔がちらつく。
これを書きながらまた気づいたことがある。
最近ミジンコのような気持ちになっていない。
どうしてか最近いつもより毎日が楽しい。
そもそも嫌いな食べ物はあまりないけれど
パスタみたいに好きなんだって気づくことや
食べ物に限らず好きなことやもの、人に気が付けていることが影響しているのかもしれない。
好きなものが多いと温かくて優しい気持ちになるのかな。”好き”って素敵だ。
まだ寒いけれど
少しずつ春が来ているのかもしれない。
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