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takibi INT. 平向早香さん/みと森のようちえん にじいろ/01当たり前だった自然だけど


はじめに

自然にまつわる人と、たき火を囲んでゆっくり語らう「takibi INT.」を始めてみたいな。という私の気持ちに、友人の平向早香(ひらむき・さやか)さんが応えてくれました。

早香さんは茨城県水戸市で「みと森のようちえん にじいろ」を立ち上げた張本人。立ち上げるって、すごいこと。続けるって大変そう。そもそもなぜ始めたんだろう。その明るくあっけらかんとした魅力的な人柄の根っこも気になります。第4子のご出産が間近ななか、たき火を囲んでじっくりお話を聞きました。

「いまの私が何を考えているかを残しておきたい」
早香さんのそんな思いに沿えるよう、記事には大きな編集を加えず、話題ごとにアップしていきます。

2022.12追記:全文バージョンの公開につき、話題ごとのアップは03までとなりました。

みと森のようちえん にじいろ
2018年7月から親子活動としてスタート。2019年9月に週3回の預かり保育を開始。2020年4月からは週5回になり、7月には「NPO法人スポーツ&スタディクラブ」に加盟。8月には認可外保育施設になり無償化対象となるなど、2年間で基盤が整いつつある。活動の拠点を検討中。

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小雨で寒いなか、たき火開始

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フォトグラファーatacamakiさん(以下 a: )も、自然の中に暮らす人。森に響いたカラスの声をきっかけに、ゆったりと会話が始まります。

a: …シートン動物記の中に、カラスの言葉はこうだっていう、譜面みたいなのがあって、同じリズムで「カー カー カー カー カゥ」は「危険だ、逃げろ」って
早香: え~、楽しい。なにそれ。
a: ただ、シートンが調べたのは日本のカラスじゃないので
早香:そう考えると4回鳴くかも。にじいろのフィールドの上にトンビがよくいて。その農場のおじちゃんがこの間、トンビを見つめながら笛みたいなのを吹いて。そしたらトンビが下に降りて来て、「え、すごい」って。おじちゃんすごい、って改めて尊敬が増しました。
a: ルールを覚えると会話できますよ
早香: そうなんだ。じゃあ、あれはやっぱり会話だったんだな

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Q: さて、芋もセッティングできたし、しゃべっか
a: しゃべっか。
早香: しゃべっか。

早香さんは焼き芋名人。この日のたき火にも、お芋は欠かせません。

たっぷりとした自然に育まれ

Q: にじいろに対する気持ちはあまり聞いたことがなかったなと思って。そもそも、さやちゃんが自然が好きな理由っていうか、ちっちゃい頃ってどうしてた?(普段「さやちゃん」と呼んでいます)

早香:
え、なんか常に田舎だったから、小学校の頃もおじいちゃんに「裏山掃け」って言われて掃いてたりとか。とにかく敷地が広いのよ、家の。母屋があって、一軒家みたいな物置があって、とにかく3棟くらい普通に建ってる。裏に行くと、柿の木10本、梅の木も5~6本生えてたりして。さらに裏には竹やぶがあって。それが普通に環境としてあったんだよね。それはうちだけじゃなくて、隣もその隣も、もうそれが当たり前だったの。

Q:そうなんだ

早香: そう、それが日常で。春になれば花が咲くし、夏になれば木陰ができるし、秋になれば落ち葉がすごい落ちるし、冬になれば裸の木がたくさんになるし。っていう。多分常に四季を感じられる環境にいたっていうのは根っこにあるかな。改めてそれを考えたことはなかったけど。

Q: 出身は筑西市だっけ

早香: 坂東市の猿島。おじいちゃんは農家で、田んぼもやってたし畑もやってたし。おじいちゃんおばあちゃんとか、隣近所のおじいちゃんおばあちゃんが作った野菜を食べて育って。だから結婚してから野菜を買うことにめちゃくちゃ抵抗…煙大丈夫?(笑)

Q:まじめに聞いてるよ!

早香: 涙出てる(笑) だから野菜を買うことにめちゃくちゃ抵抗があった。だって野菜買ったことないもん。そんなところに育ったので。

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子ども×自然のすごさに気づく

Q:「あの環境素敵だったな~」って振り返ることはある?

早香:もちろん。保育園で働き始めて、子ども達を自然の中で遊ばせ始めたときに、「え、自然ってすごくない?」って思ったの。さしま保育園っていう自由保育でお寺が運営してる園なんだけど。毎週水曜日に年長さんがお寺で礼拝(らいはい)をする時間があって。理事長先生(住職)が「ちょっと境内で遊んでいけば」って言ってくれて。「いいんですか」って、毎週遊び始めたのがきっかけ。

すごい広い敷地で、高低差もあればデコボコ道もあって。とにかく人が作ったものではない自然の中で子ども達が遊ぶようになったのね。そこから遊具と平らな地面で遊ぶのとは全く違う動きだったりとか、成果っていうのかな、大人の言い方でいうと。そういうのがすごく見えてきて、「自然ってすごいんだな」って改めて思ったの。ケガが減って絆創膏もあまり減らなくなって、「え!」って思って。それで「あ、自然ってすごいんだ。こうやって子ども達と関わる上で」って。

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Q:そこなんだ

早香: そこ。だから理事長先生とか園長先生が「早香先生がやりたいことやっていいよ」って言ってくれなかったら、今の私はいないと思う。あとやっぱり大人になってからも、自分の部屋の窓から裏山を見るのがすごく好きで。そうすると心が安らぐっていうか。だから今も実家に帰って、ふと窓を開けて外を眺めたりするんだけど。それだけで心が元気になるっていうのを実体験として持っていて。だから幼少期の記憶って大事だなっていうのを思ってて、今に繋がってたりするんだけど。そうそう。

Q:保育士さんになった時点では、自然を意識してなかったってことか。そんなことしみじみ聞いたことなかったなぁ

早香:そうだね、なかなか話さないよね、そこまでは。

Q:たき火パワー。
早香: たき火パワー。

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Q: 自然が好きになった一番の理由はそこってことか。

早香:そう。なんて言うの、もともと体の中にあった部分が体験としてよみがえってきたっていうか。体の中にはきっとあったんだよ、ずっと。だけどそれを当たり前のことではないんだって思えたっていうか。言葉とか体験として改めて感じちゃったんだよね。元々あった自分の中の育ってきた環境だったりとかが、そこに繋がって行った。

Q: 豊かだったんだな、あれ、みたいな

早香: そうそうそうそう。

Q: その気付きのがあった上で「森のようちえん」を知った衝撃はすごかったんだろうな、と想像してて。「森のようちえん」って概念とはどこで出会ったの?

「自然×子ども」の奥深さを知ってしまった早香さん。でもその時はまだ園舎無しで森で保育をする「森のようちえん」が全国でも広がっていることは知らなかったそうです。どう出会い、どう動いたのでしょうか。「takibi INT. 平向早香さん 02」に続きます。次回、お芋は焼き上がるのでしょうか…

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みと森のようちえん にじいろ

atacamaki photography

インタビュー 栗林弥生

今回のtakibi場所
趣旨にご賛同いただき、薪をいただきました。ありがとうございます!


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