鬱でメンヘラな私は子どもを産んじゃいけないと思っていた...けど。決して褒められた話じゃない私のケースをお話しします。
私はもう物心ついた時には死んでしまいたいと願うような子どもでした。
ですから自分が子どもを持つなんてことは一切夢にも思わなかった。
まあ30まで生きてたらいい方だなと。算数がわかるようになるといつまで生きればいいかの計算をよくしていました。
(お父さんとお母さんの年齢が今38歳と36歳だからとりあえず二人が60歳になるころまでは生きないと悪いかな?ということはお母さんに合わせたとして60歳-36歳=24歳か。あと24年もあるのか~。今8歳だから8歳+24年で32歳。32歳は長いな~。無理っぽい。あ、お父さんに合わせたらいいか。38歳-36歳で2だから、24-2で、じゃああと22年ね。しかし長いな~。)
みたいな。
そろばんを習っていたので計算は得意でした。
とにかく辛い。毎日。
本当に小さな頃から、「何か間違った」という感覚がありました。
「ここに何で生まれてしまったんだろう」というような悲しさ。
私は赤ちゃんの時の記憶もあるんだけど、その時から本当にとても悲しい気持ちで泣いていたのを覚えています。
まあ、心の中はいつもそんな調子だったのですが、これを一切誰にも見せませんでした。
周りの人には「吉本に入ったらいいのに」なんて、関西でおもろい子どもがみんな言われていたであろうことをよく言われてました。
いつもニコニコしていて面白くて悩み事なんて何もなさそうって本当によく言われてきたのです。
それが私の評価です。
まあどうだっていいって感じでした。
とにかく早くおさらばしたい。
だからまさか私が赤ちゃんを産むなんてことは、本当に考えてもみたことがありませんでした。
むしろ私のような人間が、新たな命を生み出すなんて絶対だめだと思ってました。
それにそんなにこの世は素敵な世界ではないよとも思ってた。
こんなところに命を産むなんて私にはできないなと。
心底そんな気持ちでずっと生きていたと思います。
10代も後半になってくると色々進路とか考えないといけない時期になるんだけど、もうそんなのもあまり真面目に考えられない。
毎日毎日必死でやっと生きてるのに、まだこれ以上に面倒なことが始まるなんて意味が分からないという感じです。
どうせあと10年もしたら終われるし、それまではモルヒネ的な何かがほしい。それだけでいいという感じ。
痛みだけは少しだけでもいいから緩和したい。辛すぎるから。という感じでした。
本当に暗いでしょ?
20代になると終わる準備をしようと思って、少しずつ仲のいい人から距離を置くようになりました。
私が死んだ時に誰にも悲しんでほしくないし、誰も私の死の影響を受けてほしくないと思ったからです。
今思うと本当に自分への酔いっぷりがすごいなと思って恥ずかしいです。
まあそんな感じの20代前半だったんだけど、ある日、今の夫が私の前に現れます。
夫は明るい私のことが大好きになったみたい。
私は明るくて面白いし、おしゃれで音楽のことがそこそこ詳しいし、とにかくかわいくて大好きになったらしい。
ぜんぜんぜんぜんです!
とんでもない!
本当にびっくりする。
そんな人がこの世にいるなんてね。
私は当時、それほど好きでもない人と付き合っていました。
死ぬために友達を遠ざけているのとは矛盾するけれど、当時は本当に「自分の大事さ」という概念もなかったし、現に全く自分が大事ではなかったので、矛盾したことも変なことも何でもできました。
で、好きな人と付き合うという感覚もいまいちわからないまま、なんとなくその人と付き合っていた感じです。
その人も何だか変な人で、私のことがそんなに好きじゃなかったんじゃないかな?と思います。
他に彼女がいたような感じもありましたが、当時の私はそれすらどうでもよかった。
でももう面倒でね。
もうその人と別れたいと思っていた時に、夫が猛プッシュをかけてきてくれたという状態でした。
当時はまあ、もう全部面倒になってしまって付き合っていた人にも別れを告げ、夫の告白も断りました。
でも断ったのに、夫が何回も告白してきたの。
私はその時は夫のことを何とも思っていなかったから本当にもう面倒でした。
私より3つ年下なのもあって頼りない感じもしててね。
私は年上の人としか付き合ったことがなかったから。
ずっと断ってたんだけど、ある日、なんとなくまあいいかなと思って付き合うことにしました。
え!?っという感じです。自分でも。
あんなに面倒だったのに、あっけなく、なんとなくいいかと思ったの。
この「なんとなく」という感じ。
何だったんだろうって今は思う。
面倒だったのに魔が差したように「まあいいか」と思ったあの感覚。
結果的にそれはすごくいい判断だったと今は思います。
夫と付き合い始めて全てが変わりました。
夫は私の欠落を本当に一つ一つ丁寧に埋めてくれた。
これだけ私のことを見る人に出会ったことがなかったから、最初は逃げたくなって何度も別れ話をしたけど、別れ話をしたとたん私はなぜか「やっぱり嘘」とか言ってなかったことにしてしまう。
「別れよう」と言っても言っても、その後すぐ自分で打ち消してしまう。
不思議だけど、もう、どうしても別れられないという感じでした。
それで生まれて初めて私は完全に夫に恋に落ちたんですね。
二人でどっぷり恋に落ちたわけです。
もう好きで好きでしかたないの。お互いに。
それでどうしても、もう、一つになりたいと。
ずっとずっと。
ずっとずっとつながっていたいと。
よくある恋の話です。
もちろんエロです。
もちろん純情ですし、愛です。
いまだにその感覚が続いたまま結婚生活を続けているんだけど、まあ若い時のその感じはすごいパワーでした。
で、結婚なんて超越してね、子どもが欲しいなと。
自然な帰結でね、好きで好きでしかたがないんだもの。2人とも。
当然、2人の子どもが欲しいなと思ったのです。
何やろね?これ。
本能やろうか?もうわからん。
わからないけれど、本気でめちゃくちゃ欲しくてね。
だから作った。
いや、待って、そう、まだ結婚とかしてないよ。
結婚とかしてないけど、確実に子どもが欲しくなったのよ。
これまでの「もう死にたい」とか、「子どもを産んじゃいけない」とかそんなのはもうどうでもよくなってた。
もう恋に落ちてからは、あっちゅー間に世界が一変したの。
あんなに小さな頃から思い詰めてたことが、もうどうでもよくなっていた。
あんなに苦しんで、つらくてつらくてしかたがなかった生きるということ。
このくだらない世界。
私が間違って生まれてしまったこんな世界。
早くおさらばするはずだったのに、そんなこと忘れた。
大好きな夫と一つになりたくて、それが子どもという感じがしていた。
私は私と夫が生む赤ちゃんになりたかった。
それで子作りをたくさんしました。
エロですが、純粋に。
そうしたら待望の赤ちゃんができました。
もう嬉しくて嬉しくて。
母体になって変わったホルモンが出だしたのか、あんなにいつも不安だった私が、不安を感じないまま嬉しさでいっぱいだった。
夫もとても喜んでいた。
もうそれは幸せでしかない。
幸せでしかないけど、私が鬱だということ、何だか精神がおかしいってことは変わらない。
でもそのままで、幸せで、子育ても家族も始まりました。
お腹の中に赤ちゃんがいた時は、赤ちゃんは私自身だったけど、お腹から出てきたら私のようで私でなかった。
産後すぐ私の病室に赤ちゃんが連れてこられた。
はじめて赤ちゃんと2人切りになった時は、私の持ち前の人見知りが出て、何だか気まずいような気持ちになってしまった。
それは我ながらさすがに変だなと思って笑ってしまった。
私は変なままでそのまま子育てすることで、私も子どもに育てられました。
何というか、たぶん私みたいに子どもなんて生まないし欲しくないと思ってる人もたくさんいるかなと思います。
冷静に考えると私もそりゃそうだなと思います。
どうしようもない自分だし。
どうしようもない世界だし。
素晴らしい自分、素晴らしい世界、それを条件にした時、私はもう何もできる気がしません。
でも私は恋に落ちて、それに抗えなくてね。
そんなもんです。
本当によくある恋の話です。
どうにもならない気持ちが結果的に、素晴らしい自分や素晴らしい世界を見せてくれるようになり、私の命をここまでつないでくれました。
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