没プロット:少年と掃除ロボット(仮)

ログライン

犬を飼いたい少年が、母親を説得するため、掃除ロボットを使って世話ができると証明する話

尺:5 〜 10分
用途:3DCGアニメーション

※僕は断念してしまったけど、もし、これを読んで面白い脚本に描き直すことが出来る方がいたら、ぜひ教えてください。映像化したいです。

あらすじ

リビングでおもちゃ同士を打つけて遊ぶ少年。衝撃でおもちゃの腕が壊れ、窓辺に転がる。少年は手に持っているおもちゃを、壊れたおもちゃが積まれた箱に放り投げる。窓辺に転がった腕を拾い、顔を上げると、目の前の公園で男の子と犬がボールで遊んでいる。男の子が勢いよく投げたボールを激しく転がりながらキャッチする犬。ボールを男の子の元に運ぶと、男の子の頬を舐める。その光景に目を奪われた少年は、母親に誕生日プレゼントとして犬をねだる。しかし、壊れたおもちゃの山を眺め、手を振り遇らう母親。少年が食い下がってお願いしてもPCに向かい全く相手にしない。ふて腐れ菓子を頬張る少年。こぼした菓子を掃除ロボットが吸い込むのを見て、少年は世話ができると証明する方法を思いつく。

テーブルに昼食が並ぶ頃、少年は部屋のゴミを集め掃除ロボットに与える。そして母親の方を見る。夕食時にも同じ様にゴミを与え、母を見る。それからは、抱えて一緒にテレビを見たり、散歩に連れ出して怒られたり、一緒に寝たりと掃除ロボットとの日々が続いていく。掃除ロボットのダストボックスがいっぱいになり停止すると、その掃除を率先して行う。母親は「誕生日まで世話ができたら」と条件付きでペットを飼う許可を出す。

誕生日まで数日に迫り、カレンダーには毎日欠かさずにチェックマークが書かれている。床に紙を広げ絵を描く少年。完成した絵を見せようと、PCに向かい仕事をしている母に声をかける。「あとでね」と相手にしない母親。背後で紙を巻き込む音が聞こえ、少年が振り返ると掃除ロボットが絵が描かれた紙を巻き込み停止している。怒った少年は、ロボットを床に叩きつける。叩きつけられた音に気付いた母親は少年を叱るも、反抗しロボットを蹴飛ばす少年。母親はカレンダーを引きちぎり捨てる。

ひとり落ち込む少年に、タイマー起動したロボットが打つかる。払い除けるも、センサーの故障か、再び少年に打つかりボディをすり寄せる。少年はロボットを撫で、傷ついたボディに絆創膏を貼る。そして、おもちゃ箱に積まれた山を眺めて、一体ずつ手当を始める。

母親が夕食の呼びかけに来ると、眠った少年の周りに手当されたおもちゃたちが転がっている。破れてくしゃくしゃになった絵もあり、そこには犬と少年と母親が遊んでいる絵が描かれている。手当されたロボットを手に取り不意にスイッチを押すも動かない。

少年が目を覚ますと、母親がロボットを解体している。少年が近づくと、「壊れちゃった」と肩をすくめる母親。膝から崩れ、悲しむ少年。そんな少年に母親はくしゃくしゃになったカレンダーを差し出す。今日の日付には、それまでとは違い犬の顔が描かれている。少年は涙を拭い顔を上げる。

数日後、食卓には豪華な料理やロウソクの刺さったケーキが並ぶ。インターホンがなり、少年が母親を呼ぶ声がする。PCから新着メールの受信音が鳴るも、PCを閉じ玄関へと向かう母親。大きな箱を抱えた母親がリビングへと入ってくる。箱からはゴトゴトと音がなる。少年が箱を開けると、そこには傷だらけの掃除ロボットが入っている。少年がスイッチを押すと、少しの間の後ロボットが起動する。少年がロボットを抱きあげると、腕の中で動き続けるロボットのブラシが少年の頬を舐める。

自己評価

「世話ができると証明するために、掃除ロボット(ルンバのようなもの)をペットの様に扱う」というアイディアは面白そうと思ったが、上手くストーリーに落とし込めなかった。

主人公がなぜそうまでして犬を欲しがるのか、その動機や物語の発端となる出来事が上手く創作できなかった。これにより、ストーリー全体のテーマが定まらずに終わってしまった。

(ここで言う「テーマ」の定義は、主人公の行動によって示される「○○とは、××である」というテーゼの形をしたものを前提としています)

また、主人公とロボットの交流をメインにしてしまったことも失敗だった。あとで気付いたことだけど、意思や感情を持たない掃除ロボットはマクガフィンであって登場人物ではなかった。だから、少年と掃除ロボットの交流では、少年が独り言を話しているのと変わらず、登場人物であるはずの母親がストーリー進行に都合のいい駒になってしまった。これに気付き、掃除ロボットを媒介にして主人公と母親の変化を描けるように変更を試みたが、どうにも話しが複雑になってしまい上手くいかなかった。

今回は、「掃除ロボットをペットの様に扱う」というコアアイディアと、「ペットではなくロボットを選ぶ」という解決の瞬間の2つから創作をスタートしたが、ストーリーの発端が上手く作れなかったため、次回は発端から創作を試みたい。

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