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石川直樹さん個展|DENALI IN THE MIDNIGHT SUN

アートが怖い。

そんな気分になる時期があります。
作品が理解できなくて悔しかったりとか、個展のレセプションで誰も知り合いがいなくて寂しい思いをしたりとか、そういう記憶を思い出したりして、触れたくなくなる時期があります。

今回、石川直樹さんの個展に行ったのは、写真なので、全然わけわからんアートをじっと見ないといけないという可能性がないはずて、安心してリハビリできると思ったからです。

結果、ものすごく救われたのでした。


個展「DENALI IN THE MIDNIGHT SUN」
場所:恵比寿のMA2 Gallery
会期:2022年2月6日〜2月20日(終了済みでスミマセン。)



開催場所のMA2 Galleryがある東京の恵比寿は、飲食店やおしゃれなお店がたくさんあり、昔のものからフレッシュなものまで溢れている街です。そこにいる人々もエネルギッシュでオシャれで、でも時々疲れるかもしれない街です。


そこに石川さんの山の写真がある建物が。助かった…。

今回はアラスカにあるデナリの雪山の写真。青い。


作家の石川さんは、自分で登山をして写真を撮っている方です。


写真って、ただカメラ屋に行って何枚もプリントできると思われると思いますが、今回の作品は違います。
今回の作品はブループリントという方法で、印刷されています。石川さんが、ハケなどで薬剤を塗った場所にしか、プリントがされないというもの。
プリントする紙に、一枚一枚、薬剤を塗るので、薬剤の塗り方によって、かなり最終形態が変わります。

ふだんの石川さんの写真はそのようなことはあまりないので、今回は初めて石川さんの手の動きが浮かび上がってくるような気がして、ぞわっとしました。

そもそも以下のような「作家の意図」は写真を撮った瞬間に、現れています。
・切り取りたかった場所
・光の加減

さらにそのあと、
・デジタルデータから紙へ、どのように着地させるか

そこでも「作家の意図」が入ります。
被写体それ自体(ここでは雪山それ自体)の最初の姿から、多くの変異、作家の解釈や偶然おこったことを経て、できあがります。

そういうことを考え始めるとまたアートが怖くなってしまうので、やめます。山、きれいだなあ、それだけを考えて、見ます。


▼デナリを撮影した際の動画 自然を味わいたい方にどうぞ。




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