見出し画像

山行記その3北穂高岳〜タイムマシンにお願い〜


上高地から涸沢へ。

朝6時  旅の始まりは朝もやの上高地


この道を友人たち3人で辿ったのはもう30年近く前のこと。大学4年生の夏だった。
随分と前のことで、断片的にしか思い出せない。荷物が重かったとか、景色がきれいだったとか。部分部分の記憶がなんとなく蘇るけれど、共に歩いたはずのこの道のことは、ほとんど覚えていない。
まるで初めて通る道みたいだ。

まずは横尾へ向けて歩を進めます。
あ、木洩れ日ってこういうことか
時折森の切れ間から山の姿




別に封印していたわけでもない。何故だか山に足が向かなかった。すぐ近くに山があって、まるで職場のようないつでも行けるような環境だったことも、何となく敬遠してしまう理由だったのかもしれない。
また行こう、いつか登ろう、そう思っているうちにたちまち時は過ぎていった。


横尾
11キロの平地に別れを告げ
いよいよ山域に入り込みます
まず目指すのは涸沢カール


本谷橋
ここから急な坂道が始まります



今日のテント泊場所、涸沢が見えてきます。
まだ先が遠い。。。



就職活動も終えていて、卒論に気が重かった時期だったことを思い出す。提出できなければ卒業も就職もなしになる。でもなかなか進められずにいた。
本当は卒業も就職もしたくない。ずっとこのまま仲間たちと遊んで暮らせたら。


ようやくテント場到着
夏山は午後から夕方に天気崩れがち
この後やっぱり雨になりました
雨の間はテントでお昼寝
雨上がりはこんな夕暮れ
雨上がりの夕暮れその二
雨上がりの夕暮れその三
山の夕刻を堪能して、暗くなったら飯食って寝る
余計なことは何もしない



結局死にそうな思いをして締め切りの1時間前に卒論を提出したのはその冬のこと。しどろもどろで口頭試問を乗り切り、ぎりぎりの成績でなんとか卒業して、僕は新しい道を歩き出した。
他の2人も一緒に卒業して、それぞれ都会で就職した。そういえば3人とも辞めずに、いい時も悪い時もあったろうけど、30年近く勤めている。


早朝四時から登山再開
五時を過ぎると少しずつ山の姿が見えてきます
日の出前
テントの灯りが眼下に点々と
結構登ったなあ
穂高を紅く染める朝の光
遠く雲の上に浮かぶのは富士山



今でも何年かに一度は顔を合わせ、昔話や近況を語り合う。時は一瞬で遡り、出会った10代に、ともに過ごした20代に跳躍する。

そういえば思い出す。

いつも松本平から、東側から仰ぎみる常念岳を、涸沢で西側から眺めて、なんだか3人で感心したことを。
なんとも言えないしみじみとした思いに、3人ともとらわれたことを。

あれから長い時が流れた。
もうとても若いとは言えない歳になった。
いつもと反対側から見る常念岳。山の姿は変わらずそこにあるけれど、あの日々には二度と戻れない。あの時の思いと今はやっぱり違う。21の僕と50の僕は違う。成長したとか大人になったとか知恵がついたとかそういうことではなくて、ただそこに長い年月が横たわっている、そういうことだ。



結構しんどかったのですが何とか登頂を果たせました
奥穂高岳方面
大キレット、槍ヶ岳
登った者にしか見ることの出来ないこの景色


画面左の崖を登るクライマーさん
この壁をよじ登る胆力にあ然とします
とても真似できません
これが北穂高岳山頂から望む常念岳


山行記穂高編スタートです。
学生時代に仲間達と涸沢から奥穂高岳に登頂したのですが、今回は29年振りに涸沢を訪ね、初めて北穂高岳に登ってみました。天気にも恵まれてとても良い登山になりましたが、昔のことはあまりにも昔過ぎて、ほとんど思い出せず、ほぼ初体験のような感覚でした。若い頃は勢いだけでがつがつ登ってたのかも知れません。当時疲れた記憶はあまりなかったのですが、今回はさすがに少し疲れました。歳のせいでしょうか。20代の頃より今の方が余程鍛えてはいるんですけどね。

涸沢まで下山
北穂高を旅の最後にふりかえる
いつかまた








この記事が参加している募集

やってみた

山であそぶ

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?