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日本語同士をつなぐ通訳さん

数年前、友人の結婚式に出席するために着物を着て行こうと思って、古典柄を扱う着物屋さんに行った時のことです。

たまたまそのお店に来ていた常連さんと少しお話しする機会があり、お仕事は何をされているんですか?と聞いた所、通訳をしているんですよ、と教えてくれました。

何語だろう?と思って何気なく聞いたところ、その方は聴覚障害者の方の通訳さんでした。つまり、手話を使って外出時の買い物や食事などのサポートをしているお仕事をされている方だったのです。

お会いした場所が着物屋さんで、着付けもしているところだったので、そのお店の方と一緒に、聴覚障害のある方のために着付けをして、その後に散歩をしたりお茶をしたり、というお手伝いをしていることも教えてくれました。


詳しくお話を聞いていると、ちょっとした買い物やお茶をすることでさえも、聴覚障害のある方にとっては、とてもハードルが高くて、外出することはすごく勇気がいることなんですよ、と教えてくれました。

それから、着物を着ておしゃれをして外出だって楽しみたい、そんな気持ちはみんな同じなんですよ、とも。


すぐに返答することができず、一瞬頭が真っ白になったことを今でもよく覚えています。

この方との出会いにより、通訳とは、異なる言語間で、「話す」ことを通してそれぞれの言語に変換して伝えること、というそれまでの固定概念が一気に覆されました。手話、それから点字という言語にも通訳さんが必要で、この世界には視覚や、触覚を主なコミュニケーション手段として使っている人もいるんだ、という少し思いを馳せれば当然のことに気づかせてもらった、とても貴重な経験をしました。

(ちょっと調べて学んだ追加情報です)
※手話も点字も、国によって言語によってそれぞれ違うこと
※通訳と翻訳は違う職業で、スキルがそれぞれ違うということ


私は、仕事で英語を使う機会があるので、通訳さんとやりとりすることもあるのですが、毎回、通訳のお仕事には高いコミュニケーション力が必要だなー、といつも感心し、尊敬の眼差しを向けています。

言語そのものだけではなく、両者(個人や会社)のバックグラウンドや性格、性質、文化、その時の状況なども理解した上で、その場で瞬時に的確な表現を見つけて、分かりやすく伝える術は本当にすごい才能だなと思います。


色々な人の「視点」に興味がある私にとって、この経験は、大きな、大きな、学びを与えてくれました。

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このnoteでは、わたしから見える景色を綴っています。
読んでくださった方の心に止まり、また違う景色が広がったら嬉しいなと思います。

よかったら自己紹介を含めたこちらもご一読ください。
「わたしの景色」


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