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【Edge Rank 1107】「右」を説明してくださいと言われたら?映画『舟を編む』【ゆうせい】

「右」を説明してください。と言われたら、何と答えますか?
これをちゃんと説明できる人は天才です。秀才でもあるんだろうけど、たぶん天才です。言葉に対する天才的な感覚を持っている人。

そんな天才がめちゃくちゃ苦労して「辞書」をつくる映画、
『舟を編む』が3月1日からリバイバル上映されると聞いて興奮しています。

映画『舟を編む』公式Xより

辞書、単語ごとに意味や例文が書いてあるあれ。あれをつくる人たちの物語。
アクションもミステリーもサスペンスもない。コツコツ、コツコツと15年の歳月をかけて辞書をつくる人たちを描いた133分の映画。

「私はちょっといいかな〜」と遠慮しちゃうのも無理ない地味さと少し長めの上映時間。

だから見逃している人が多い。何を隠そう僕もスクリーンじゃなくて家で見た。本当に後悔している。だからこの機会を逃すつもりはない。必ず見にいく。それくらい感動して泣いてしまう。地味な映画なのに。

いや、地味だからこそ泣いてしまうのだ。だって人生って地味で面倒だから。毎日やりたくもないことやって、めんどくさいことばかり起きて、それでも生きていかなきゃいけなくて、地味以外のなんでもない。

本作でやってる辞書編纂の仕事なんて地味の極み。

Web(電子)じゃなくて紙の辞書の時代だから、載せられる単語の数に限りがある。だから、どの単語を載せて、どの単語をカットするかも考えなくちゃいけない。流行の単語を載せたり、あまり使われない単語はのぞいたり、いや、あまり使われないからこそ辞書に載せるべきか考えたり。さらには他の辞書と違う説明や、もっとわかいやすい伝え方を考えたりもしなくちゃならない。

失礼ながら、なんでそんなめんどうなことを…と思ってしまう。だけど、恐ろしく手間暇のかかることをひとつひとつ丁寧にやっている姿勢と、それを支えたり、支え合ったりしている登場人物を見ているうちに、いつの間にかマジ応援、応援団長になって泣いてしまう。

そして、「こんなに一生懸命になれたことないかも」とちょっと焦る。

見終わったら絶対に、家にある辞書を開いて「右」を調べてしまうし、自分なら右をどうやって説明するか考えてしまう。

で、明日からもがんばろうってなる。

今回のリバイバル上映は、公開10周年とTVドラマ化を記念しての特別上映とのこと。作中の辞書「大渡海」が生まれる年月と同じ15周年のときもぜひお願い申し上げたい次第です。

3月1日からたった2週間限定なので、何が何でも万障お繰り合わせて映画館に行くべき。東京でもたった4館しかない。

お仕事映画って、洋画にも邦画にもたくさんおすすめはあるけれど、『舟を編む』は断トツで地味で、地味だからこそぶっ刺さる一本です。

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編集後記

ちなみに、主演は松田龍平さんと、宮崎あおいさん。いまの宮﨑になる前、宮崎のとき。個人的な見どころとしては、辞書で使う紙をどうするか話し合うときの宇野祥平さんです。

共同マガジン「Edge Rank」次回は田下さんの予定です。お楽しみに。

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