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同級生とミニスカート

会社から車での帰り道、いつも目に入るキャバクラがある。その前を通るたびに、あの夏の夜を思い出す。


と言っても大したことは起きてないのだけど、なぜか妙に心に残っている。


なぜだろう?


当時の僕は一浪中。その他の友達の二人は大学生となり青春を謳歌していた。三人でお酒を飲み、夜も更けてきて、当然のようにキャバクラに行くことになったのだ。


お店に入り席に着くと、さっそくキャバ嬢が隣に座ったのだけどそのうちの一人が僕たち三人の高校時代の同級生だった。


その娘は高校時代からクラスで目立つ存在ではあったけど、あいつは大学生と付き合ってる、という噂が立つような目立ち方をするタイプだった。


僕自身はそれほど仲がよかった訳ではないけれど、他の二人は軽口を叩き合うことが出来るくらいの仲だった。


そんな彼女は、白のスーツを着ていてスカートの丈はめちゃくちゃ短かった。隣に座った彼女はその短いスカートから剥き出しになった太腿の上にハンカチを置いて僕に話しかけてくれた。


「えっー、○○君なんでその大学に行かなかったのー?わたし今その大学に通ってるよー。もし入学してたら私たち同級生じゃん」


ついこの間まで高校生だったあの娘。短いスカート。艶めかしい生足。キャバクラ嬢。薄暗い店内。隠微な色のライター。綺麗な髪のショートボブ。こういう諸条件が重なり、僕は彼女の言葉をこう解釈した。


「わたし、ずっと言えなかったけど○○君のことが好きだったんだよ。だから会えて嬉しい。君と同級生になりたいなって思うくらい好きなの」


凄まじい拡大解釈。もはや暴力的ですらある。解釈が広がりすぎて、どこまでも続く地平線。もはや地球は丸ではなく、どこかで海が果てるとこがあるんじゃないかと思うくらい拡大しすぎてしまっていた。


しかし、今にして思えば、あのようなドキドキ感というものはあれが最初にして最後だったようにも思う。


「ちょっと前まで同級生だったあの娘がキャバ嬢になって僕の接待をしてくれた」


うむ、この感じ。これはエッチなビデオにある設定とすごく似ている。つまり構造が同じなのだ。


「風俗に遊びに行ったら僕を苛める女上司が風俗嬢だったから仕返しをしてやった」



またまた拡大解釈をしてしまった。



そんな僕は「スキ」=「文才あり」と解釈するので、どんどんお願いしますm(_ _)m

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