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似合わない服

似合わない色の服を着てみた。どうして今日に限ってそんなことをしようとしたのか覚えてない。この服を選んだのが私なのかさえ疑わしい。「目をそらそないで。目をそらさないで。目をそらさないで」夢のなかで言われたのだと言い聞かせながら夜明けの街を歩いてる。最後に主人公がビルから飛び降りる映画があってそこでは「open your eyes」というセリフがくり返されていた。目を覚ましてと目をそらさないでは夢のなかで聞くとよく似ている。たまに現実なのか空想なのかよくわからなくなるんだよ。なんて、誰に向かって話してるんだろう。明かりがついてるのに誰もいないコンビニのなかに入ると入店音が夏のほつれた網戸のように聞こえてくる。また同じことのくり返し。どうせすぐに目が覚めると思いながら目をそらさず空っぽの冷蔵庫を見つめる。

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