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「あなたの沖縄」執筆者紹介

 個人的な思い出や体験を通して、それぞれの沖縄を描く「あなたの沖縄」。活動の趣旨に多くの方が賛同し、活動の輪が広がっています。インターネットでたまたまこのプロジェクトを見つけ、「私も参加してみたい」と連絡をくれる90年代生まれの仲間も増えてきました。

 今回は、もともと「あなたの沖縄」の読者だったスイカ坊やさんに、参加したきっかけや編集メンバーとして携わった『あなたの沖縄vol. 1——今いる場所から沖縄を語る』についてお話を聞きました。

(聞き手:西由良)

スイカ坊や(96年生まれ 埼玉県出身)

自己紹介

埼玉県出身。ハワイ大学留学中に、県系人によるオキナワンフェスティバルにボランティアで参加。以来、沖縄の文化と精神性に興味を持ち、県系人や、沖縄県出身の学生とエイサーはじめ芸能を体験。帰国後は県紙でのインターンを経て、総合建設業界に就職。現在は米国公認会計士となり、監査法人に勤務。2本のコラムを執筆し、あなたの沖縄ジン制作にも参加。趣味は野球。好きな変化球は宜野座カーブ。

「もう一度沖縄を言葉にしたい」トラウマを乗り越えコラムを書く

──スイカ坊やさんは「活動に参加したい」と、自ら連絡をくれました。理由を教えてください!

 私は「あなたの沖縄」の古参ファンなんです。2021年8月に活動が始まった頃から読んでいました。もちろん全て読んでいます! ずっと読む専だったのですが、参加したいと思うようになったのは、3月のリアルイベント「わたしが沖縄を発信するワケ」を見てからです。私は「沖縄をめぐる言葉」というコラムでも書いたように、大学の先生に嫌なことを言われてから、沖縄を語ることを諦めてしまっていました。でも、イベントを視聴して、意見はぶつかってもぶつからなくてもいい、結論がなくてもいいという空気感に触れ「もう一度、沖縄を言葉にしたい」と思えるようになったんです。「この場所に自分も行きたい」。そう感じてあなたの沖縄のGmail宛に連絡しました。

──活動に参加して、すぐ沖縄について言葉にすることはできましたか?

 すぐには難しかったです。一歩踏み出す勇気がありませんでした。どこの誰なんだと言われるんじゃないかと、自分を曝け出すのが怖かったんです。でも大学での体験を書きたいというのは、ずっと心の中にありました。

── 活動に参加してから3ヶ月後、「沖縄をめぐる言葉」で大学の体験を書いてくれました。ずっと書きたかったことを実際に書いてみてどうでしたか?

 たくさんの人が読んでくれたので、報われた感覚がありました。同じようなことを体験した人がいたり、一緒に怒ってくれる人がいて嬉しかったです。でも、それと同時に、強い言葉に引っ張られないようにしないと、とも感じました。インターネットでは、どうしても強烈な体験やネガティブな出来事、強い言葉が印象に残ってしまいます。反応欲しさにそうしたことばかりを書くようになってしまったら、自分の本当に思っていることを表現できなくなります。これからも自分の目線で、自分の言葉でコラムを書きたいと気持ちを新たにしましたね。

ZINE制作〜身近な街・鶴見を通して見えた沖縄〜

──8月に刊行した 『あなたの沖縄vol. 1——今いる場所から沖縄を語る』にも、ZINEの編集メンバーとして参加してくれましたね。

 元々、ZINEのカルチャーに近いところにいたんです。関わりのあったコミュニティで、マイノリティが声を上げるためのZINEを制作していました。今回はそれを沖縄でやりたいと思い、編集メンバーに参加しました。それに、文化祭のようなみんなでワイワイものを作るのも久しぶりにやってみたかったんです。

──ZINEで担当した企画を通して感じたことを教えてください。

 「つるみでゆんたく」という企画を担当しました。沖縄タウンのある鶴見を通して、沖縄について考える企画です。昔鶴見の近くに住んでいたことがあるので、街について割と知っているつもりでしたが、知らないことだらけで。本を読んで街の成り立ちを知り、実際に鶴見の沖縄タウンを取材してそこにいる人たちの気持ちを知りました。鶴見以外の沖縄から離れざるをえなかった人々についても、もっと本を読んで読んで知りたいと思いました。自分が出会った街や人の歴史を何も知らないままでいると、ただ遊びに行った人になってしまうので、それも嫌なんです。

──ZINEの制作は大変なことも多かったと思います。ZINE制作をしてみてどうでしたか?

 自分が書きたいことと、人に読んでもらえることのすり合わせが大変でした。主宰の西さんが読んだ人にちゃんと伝わるかを厳しくチェックしていて、泣きたくなりましたね(笑)。つるみの企画は、最初は見開き2ページの予定だったのが、最終的に6ページになりました。それから、編集ツールも初めて触ったので慣れるのに必死でした。大変なことは多かったですが、沖縄にいるメンバーと関わる機会にもなったのでよかったです。

──最後まで一緒に作ってくれてありがとうございます…! 今後あなたの沖縄でどんな活動がしたいですか?

 コラムやZINEを書いて終わりになるのではなく、感想をもらうなど、一方通行にならないようにしたいです。セミクローズドな場所があれば、もっと沖縄について気軽に話せるようになるかなと思います。

──最後に、「あなたの沖縄」で好きなコラムを教えてください!

車窓の記憶、車窓の歌」です。子どもの頃の沖縄の休日や、大人の世界を覗き見るときの高揚を感じられて、思い出を追体験させてもらえるような感覚になれるところが好きです。私が生まれ育った埼玉の休日は、田んぼを潰してできたイオンしか行く場所がなかったので、筆者のさまよう蟹さんの休日の過ごし方に惹かれたのだと思います。いつかさまよう蟹さんと、スナックで沖縄のポップスや思い出の歌を歌いたいです。

──ありがとうございました!!

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