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「あなたの沖縄」執筆者紹介

 「あなたの沖縄」というこのコラムプロジェクトを昨年からはじめて、8ヶ月が経ちました。本土復帰50年の節目に、沖縄戦も復帰も体験したことのない90年代生まれが中心となり、これまで34本のコラムと1本の対談企画を投稿しました。様々なところで語られるいわゆる〈沖縄イメージ〉とは少し異なる、沖縄に関する個人的な体験や思い出を書き綴っています。「沖縄ブーム」以後に成長してきた90年代生まれが、誰かから言われる言葉ではなく、自分達の言葉で沖縄を再発見し、多様な沖縄の姿を捉えたいというのが、主宰の西由良が考えていた企画の趣旨です。それに賛同し、たくさんの執筆者が集まってくれました。

 今回は「あなたの沖縄」に参加している2人の執筆者をご紹介します。企画に参加した思いや、印象に残っているコラム、執筆の裏話などを語っています。

玉元花菜(95年生まれ 宜野湾市出身)

自己紹介文

 玉元花菜です。誕生日は平成7年7月7日、生まれながらのラッキーパーソンで、主催者の由良ちゃんとは幼い頃からの友人です。台湾の大学で国際経営・貿易を専攻しています。将来はお世話になっている台湾の方々に恩返ししつつ、沖縄で色々頑張りたいです。趣味は旅行と美食めぐり、一年半の台湾生活で7〜8キロ太りました。

Qどんなことを思って「あなたの沖縄」企画に参加しましたか?

 最初は楽しそうな企画だと思ってノリで参加しましたが、書いていくうちに周りから色々な反応を貰えるのが嬉しくなり、次々と書きたいことが見つかりました。自分の体験や考えを共有できるのがとても楽しいです。今、留学で台湾にいるのですが、台湾人の友人にも興味を持ってもらえて嬉しかったです。台湾で話す日本人の友人はユタの話が面白かったようです。ユタのことは今まで耳にしたことがなかったし、興味が湧いたと言っていました。参加している方の他のコラムを読むのも楽しみです。毎週さまざまな筆者の追体験をさせてもらえます。人の数だけ、私の知らない沖縄があるんだと改めて感じました。

Q執筆したコラムで、印象に残っているものはありますか?

「金平糖」のコラムです。コラムを書くにあたり、改めて親戚にお話を聞きました。しかし残念なことにコラムを書き始めた2週間ほど前に、大戦時の記憶が比較的鮮明だった大叔父たちが立て続けに亡くなりました。どうにか話を聞けた大叔母も兄弟づてに聞いた話ということで、不明瞭な部分もありました。また私が幼い頃聞いていた話と、実際の話は大分違っていました。沖縄での出来事だと聞いていたのが、実際は疎開先のサイパンでの出来事だったり、話の流れが大きく違っていたり。この時「うまくバトンを受けとることが出来なかった」と思い悔しいような、悲しいような気持ちでした。大叔父の代から私の代までに取りこぼした記憶が沢山あるのだと思います。今の私にできることは、自分が持っているバトンを繋いでいくことなんだ、という思いでこのコラムを書きました。

Qコラムを執筆してみて、自分の中で何か変化はありましたか?

コラムを書く際に、自身の感情を言語化し、自分の中に落とし込むという過程を踏みます。そのおかげで、自身の感情に対する解像度がグッと上がりました。最近のコラムでも書いたのですが、私は今台湾に留学しているのでなかなか沖縄に帰れません。コラムを書くことで、知らないうちに変わっていく沖縄を受け入れたくない気持ちが自身の中にあるのだと気づきました。コラムを書く以前はただ“ショック“と表現していた感情の裏には、積み重なってきた街や公園での思い出、自分の知っている沖縄が失われてしまった喪失感があったんだなと。
 あとは文章を書くのが割と好きになりました!課題やレポートでしか文章を書く機会がなかったので、“やらなきゃいけない、いい評価を得ないといけない“という義務感がない中で書く文章は楽しいんだ!という発見がありましたね。

Q「あなたの沖縄」の中で特に好きなコラムはありますか?

「内地の沖縄料理屋に心開けない問題」
 わかる〜!!ってなりました(笑)。あのモヤモヤは誰もが感じたことがあるのではないでしょうか。共感しまくりです。

「幻のラフテー」
 私の母もおっちょこちょいな人です。また父も泡盛のしつぎをしたり、お酒を愛している人なので、私の家族の情景と重なり親近感が湧きました。幻のラフテー、一度食べてみたい。

「エレベーターのあの子」
 ジリジリとうなじを焼くような熱い夏の日差しを感じるコラムでした。素朴なのに映画を観るように情景が思い浮かびました。執筆者の感情とか思いが伝わってくるコラムだなと思いました。

仲宗根優介(96年生まれ 沖縄市泡瀬出身)

自己紹介文

 仲宗根優介です。沖縄県沖縄市出身です。2021年まで東京で学生生活を過ごした後、沖縄に帰ってきました。現在は県内大学の非常勤職員として働いてます。趣味は深夜ラジオをきくこと。翌朝の通勤時間に聞けなかった番組を聴く事が日課になってます。好きな番組は星野源のANN、オードリーのANN、乃木坂46のANN、空気階段の踊り場などなど毎週10番組以上はチェックしてます。

Qどんなことを思って「あなたの沖縄」企画に参加しましたか? 

 一足先にコラムを掲載していた友人からの連絡がきっかけです。もともと、新聞記者になりたいと思っていました。大学でも個人的に執筆活動をしていましたが、自分の出身地である沖縄をテーマに文章を書いたことがないなとずっと引っかかっていました。折角文章を書くのが好きなんだから、沖縄のことを自分の言葉で書きたいと思っていたんです。文章の読み書きが好きになったのは浪人時期に、国語の勉強だと思って太田昌秀元知事の本や当時の翁長雄志知事の本などを読み漁っていたのも関係しているかもしれません。友人の他にコラムを書くメンバーと話していくうちにやってみたいなという気持ちがわきました。

Q執筆したコラムで、印象に残っているものはありますか?

タコスのコラムです。オーシャンっていうタコス屋さんなんですけど、実際に店に行って、マスターとそのパートナーの方に「タコスが好きすぎて、タコスのコラムを書こうと思ってます」と伝えると、「いいよ、いいよ。どんどん書け。書いたら見せれよー」と背中を押されました。書いていくうちに、浪人生の頃はお金ないのに美味しいご飯ばっか食べ歩いてやばかったな、とかいろいろ思い出しました。あの時の、週末のコザの賑やかさなどを思い出しながら書けたのはよかったです。自分の中で、コザの街がこんなにも印象的なのかと。頭に残っていることが嬉しかったです。書き終えてから、タコス屋には直接反響をもらいに行きました。今考えると面白可笑しいですね。何かを書くって自分だけの世界じゃないですか。画面に向かって文字を打って、脳みそを絞って。そうやって、自分の言葉になるのが素敵な行為だなと思いました。

Qコラムを執筆してみて、自分の中で何か変化はありましたか?

 今回、自分の出身地とフルネームで投稿したんですけど、最初はビビッていました。でも出したあとで「大丈夫だな、意外に怖くないや」と思いました。SNSは自分の顔と名前を出してやってるんですが、なぜかSNSとnoteの企画は別物に感じています。noteというのを挟んで自分の文章を出すのは、新聞に実名投稿をするような感覚です。誰かに読まれるのが前提だからか、個人のSNSよりはパブリックな感じがしました。

Qあなたの沖縄」の中で特に好きなコラムはありますか? 

「島々からの見え方」
この企画に参加して良かったなと思えるコラムの一つです。私は、沖縄島生まれ沖縄島育ちです。高校生まではひとつの島の中で人生が完結していました。宮良さんの幼少期や学生時代の経験を読むと、幼い頃から八重山・石垣島と沖縄島という感覚があって、自分と見方が違ったのにハッとさせられて、この気持ちを誰かと話をしたくなりました。何回こころの中で記事にいいね押したかわかりません。



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