Little Feat「Dixie Chicken」の和訳
こんにちは、お元気ですか。
今回は洋楽の歌詞の和訳をしていきます。
選んだのはリトル・フィートの「ディキシー・チキン」という曲。1973年にアメリカのロック・バンド、リトル・フィートが発表した同名アルバムの一曲目。ニューオリンズ風のリズムが印象的で、そこに絡んでいくスライド・ギターや女性コーラスが心地いい。
彼らははっぴいえんどの三枚目のアルバム『HAPPY END』(アメリカ、ロサンゼルスにて録音された)に参加しており、録音時期がちょうどこの作品と被っている。そのため、作風が若干近いのも興味深い。
この曲を選んだ理由は、この曲がテネシー州メンフィスを舞台にしている点からだ。私は4ヶ月ほどテネシー州に留学していて、メンフィスの観光地にも何度か足を運ぶ機会があり、思い出深い地なのだ。また、数あるメンフィスを舞台にした楽曲の中でも南部っぽい雰囲気があって、現地の雰囲気を 感じることができる(気がする)所も魅力の一つだ。
*
リトル・フィート「ディキシー・チキン」
I've seen the bright lights of Memphis
And the Commodore Hotel
And underneath a street lamp I met a Southern belle
メンフィスの眩しい光と
コモドー・ホテルが見えた…①
そして 街灯の下で
可愛い南部娘と出会ったんだ…②
Well she took me to the river, where she cast her spell
And in that Southern moonlight, she sang a song so well
彼女は川辺に連れて行き
僕に魔法をかけたんだ
南部の月明かりの下
とても上手に こう歌った
If you'll be my dixie chicken, I'll be your Tennessee lamb
And we can walk together down in dixieland
Down in dixieland
“もしあなたが私のディキシー・チキンになってくれたら
私はあなたのテネシー・ラムになりましょう…③
そして旅をしましょう この南部の地を
この南部の地を“
Well we made all the hot spots. My money flowed like wine
Then that low down Southern whiskey began to fog my mind
僕らは町中の酒場を周り
金はワインのように流れていった
そして 安いサザン・ウイスキーが
意識に靄をかけていったんだ
And I don't remember church bells or the money I put down
On the white picket fence and boardwalk of the house at the edge of town
教会の鐘の音も
お金をどこに置いたかも 思い出せない
白い柵の上だったか
町外れの家に続く 板張りの道の上か…④
But boy do I remember the strain of her refrain
The nights we spent together, and the way she called my name
でも思い出したことがある
彼女が伸びやかに 繰り返し歌うのを
そして 一緒に過ごした夜のことも
彼女の僕の呼び方もね
“もしあなたが私のディキシー・チキンになってくれたら
私はあなたのテネシー・ラムになりましょう
そして旅をしましょう この南部の地を
この南部の地を“
Well it's been a year since she ran away
Yes that guitar player sure could play
She always liked to sing along
She's always handy with a song
彼女が消えて一年が過ぎた
あのギター弾きは まだ演奏していることだろう
彼女は一緒に歌うのが好きで
おまけにいつも うまく歌ったものだ
Then one night in the lobby of the Commodore Hotel
I chanced to meet a bartender who said he knew her well
And as he handed me a drink he began to hum a song
And all the boys there, at the bar, began to sign along
ある晩 コモドー・ホテルのロビーで
彼女をよく知るという バーテンダーと出会った
僕に酒を渡し ある曲をハミングし始めた
すると バーにいた男全員が 一緒に歌い出したんだ
“もしあなたが私のディキシー・チキンになってくれたら
私はあなたのテネシー・ラムになりましょう
そして旅をしましょう この南部の地を
この南部の地を“
①…メンフィスにコモドー・ホテルなるホテルは存在しない。同じテネシー州リンデンには同名のホテルは存在しているものの、メンフィスの有名なホテル「ピーボディ・ホテル」のことを指しているという説が有力である。歌詞のその後で、川や酒場が登場するが、実際ピーボディ・ホテルはミシシッピ川やダウンタウンに近いので、この説はほぼ確定なのかな。
メンフィスのピーボディ・ホテル
②…Southern bellは南部出身の美人という意味のスラングらしいので、こう訳した。
③…ディキシー・チキンのチキンには、スラングで「お金」「供給者」の意味があるっぽい。つまり、次の行で登場するテネシー・ラムはそのパートナーという解釈で、「あなたが私のカモになってくれるなら」というニュアンスになる(のかなあ)。で、そこに掛かるディキシーとテネシーは曲の背景に絡めた、ということなのかな。
④…この部分が一番しっくりする訳ができなかった。正しい訳し方・意味を知っている人がいたら、情報求む。
自分がたまたま知り合ったと思っていた女性が、地元では有名な浮気女だったというオチ。ポップな音に、よくできたストーリ性のある詞を乗せるのは、チャック・ベリーやポール・マッカートニーの作風と通じる。
また、作中で登場人物が歌う曲がこの曲のサビになっているという構成もなかなか面白い(歌の中に挿入歌が組み込まれている、的な)。
リトル・フィートのリーダー、ローウェル・ジョージは自信作だった今作がなかなか売れず落ち込んだみたいだけど、確かに自分がこんな曲を書けたら、天下取った!って思っちゃうかもな。それくらい大好きな曲です。
*
留学してたときに撮った写真。
メンフィスのダウンタウンからミシシッピ川に出る所の写真で、この曲の彼女が魔法をかけた川はここら辺かな、と妄想していました。
では!
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