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【読書】阪神・淡路大震災をテーマにした、村上春樹「神の子どもたちはみな踊る」を読了。

6つの短編で構成されている文庫本。

阪神・淡路大震災をテーマにしているといっても、神戸の大惨事はいっさい描写しない。
ほとんどの話が、神戸から遠く離れた田舎町で淡々と紡がれる。

新潮文庫。紐状のしおりが役に立つのが新潮文庫のいいところ。


ほとんどの話に、「性」「セックス」が絡んでくる。

アマゾンのコメント欄を読むと「それが嫌だ」と書いている人がいたが、おそらくあの大震災の現場にいなかった人だろう。

いつもはコンビニに向かって歩いていた道路に何十という布団がひかれて顔まで掛ふとんがかけられている。
外で寝ているのではない(1月だからね)。
すべてが「死体」なのだ。

日常の中で、されだけ多くの死体がいっせいに布団をひいて寝ている姿は、南海トラフ大地震が来ない限り見ることはないだろう。(私はそんな光景を見ずに死んでいきたいと願っているが)

つまり、「セックスが嫌だ」と書いている人は、あの震災の「死」を知らない幸せな人だ。

「セックス」は、「性」であり「生」を産むものだ。

つまり、この短編集のテーマは、

「死」と「生」の対比であり、
「タナトス」と「エロス」を対比させて、生きていることのささやかな喜びを描こうとしているのではないだろうか。


自宅が倒壊したので、仕方なく道路に死体を寝かしていた。阪神淡路大震災

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6つのお話は、どれも非常に読みやすく、むしろ文学臭がなく、娯楽小説のような内容だ。

薄くて、読みやすいので、おすすめです。

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