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DVDで、川島雄三監督「人も歩けば」を鑑賞しました。「これはもう、負け犬です」

ユリイカ」の『監督・川島雄三特集(1989年発刊)』に、川島監督が自作を語るコーナーがあるのですが、そこで彼は「人も歩けば」に対し、
これはもう、負け犬でございます
と一言述べています。謙遜しているのか、照れているのか。

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いま、改めて見直すと、非常にテンポの良いセリフ応酬型のスラップスティックコメディーだな、と。

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と登場人物のセリフが、ひたすら早口で飛び出し、それに被せるようにまた早口のセリフ。
シーンのつなぎ目も工夫があって面白い。

フランキー堺「おれは神様なんてぇ玉じゃねえよ」
シーン変わって、義母の沢村貞子が仏壇の鐘を「チ〜ン」と鳴らして、「なんまいだぶ、なんまいだぶ」と仏様に祈っている。

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まあ、お話自体は、質屋の入婿状態(養子ではないようだが)のフランキー堺が、なにかと口うるさい嫁(横山道子)と嫁の母(沢村貞子)から「積極的逃亡」をして家を飛び出す、という他愛もないもの。


そんな主人不在の質屋のもとへ、ロイジェームズ扮する弁護士風の外人男性がやってきて、アメリカに住んでるフランキー堺の遠い親戚が亡くなって9000万円の遺産が転がり込んでくる、と告げる。ただし、受取人は「フランキー堺扮する主人公」でなければいけない。妻でも義母でも、9000万円は受け取れない。

ここから「フランキー堺捜索大作戦」となるのですが。

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何も知らないフランキー堺の運命や、いかに。
そして、意外な結末が・・・。
ネタバレになるので最後までは書きません。
できれば、ネットにある「レビュー」を読まずに真っ白な状態で観てください。

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脱線トリオの三人(南利明、由利徹、八波むと志)が、フランキーにからむ愚連隊として登場するのですが、この三人のニックネームが東宝っぽい。


■南利明・・・ゴジラの八
■由利徹・・・ラドンの松
■八波むと志・・・アンギラスの熊


脚本は川島雄三単独で執筆されたもの。川島監督の東宝への「お愛想」なのだろうか。
ちなみに、南利明のギャクは「ハヤシもあるでよ〜
由利徹のギャクは「オシャ、マンベ」「カックン
である。

◆◇◆

ラストにフランキー堺のドラミングを聴くことができる。
あのテンポの良さは、ドラマー気質なのかな、と思ったりしました。


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#川島雄三
#人も歩けば
#幕末太陽傳

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