【未DVD化】原作:いとうせいこう、監督:市川準「ノーライフキング」。テレビゲーム世代をシニカルに描いた傑作。

家庭用ゲーム機「ディス・コン」が普及した時代。小学生の間には、学校や専用電話や学習塾のネットワークを介し(作品発表当時は携帯電話が普及していなかった)、ディス・コン用ゲームの攻略情報交換を主目的とした独自の情報網が構築されていた。

ディス・コン用ゲームの中でも、ロール・プレイング・ゲーム「ライフキング」はキラーソフト(ディス・コン普及を牽引したゲーム)として爆発的なブームを生み出していた。それは現代日本を舞台とし、主人公の小学生が呪われた世界を解放するゲームで、近所の怖い大人や教師といった身近な大人を「敵」とした舞台設定や、ゲームの完全攻略に必要不可欠な「裏技」、公式には未発表の「異なるヴァージョン」の存在と言った隠し要素が子供たちを魅了したのだ。

独自の情報網で攻略情報を交換し合う子供たちの間では、「ライフキング」のヴァージョンの中に、クリアできないと呪われてしまうヴァージョン「ノーライフキング」があると、まことしやかに囁かれていた。

小学校4年の大沢まことは、仕事をもつ母親と二人暮し。彼もまた、「ライフキング」の攻略に熱中していた。

そんな中、冬の朝礼で、まことの通う小学校の校長が、「ライフキング」に登場する敵とそっくりの台詞を吐いた直後に突然死する「事件」が起こる。その姿がゲームのオープニングに酷似していたため、いつしか学校内では「校長の死はノーライフキングの呪いだ」と噂されていた。その校長も生前、このゲームを批判していた人物であったという。「呪いを解かなければ自分や家族共々死んでしまう」という不気味な噂はいつしか広がり、まことを始めとする日本中の小学生は「ライフキング」を手本に、現実世界の「ノーライフキング」の攻略方法を探り始める……。

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1989年12月16日公開。

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