切れた電球

そうだった
やっと思い出した
素直に自分をほめてやりたい

脱衣場の電球が切れて
仕事帰りに買ってきてと
頼まれていたのだった

帰るまでにはまだ二時間あるけど
このタイミングで思い出すのは
少々厄介だ

もう一度忘れるのに
二時間は充分すぎて
忘れる自信しかない

だからといって
電球と書いたメモを
ポケットに入れる行為は

僕を信頼していないのかと
僕から苦情が来そうだ

信頼はしてるけど
念の為に保険をかけると言っても
納得はしてくれないだろう

二時間後
メモがなくても僕は忘れていなかった
信頼と安心で背筋が伸びる

ホームセンターに寄った
金口のサイズとワット数も
忘れていない

やるじゃないか僕
全身にみなぎる自信

お客さん！

呼び止められたのは
会計を済ませて電球を置いたまま
店を出ようとしたから

惜しかったな