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これからの世界

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これからの世界を考えるには、これまでの世界を理解する必要がある。これまでの世界を理解するには、これからの世界を考える必要がある。
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2021年10月の記事一覧

日常ふつうに生きている意味

日常ふつうに生きている意味

 「翻訳語成立事情」という本が面白い。

 社会、個人、近代、美、恋愛、存在、といった言葉が明治の頃にいかにして生み出され、受容されていったかを語っている。

ことばとは、いったんつくり出されると、意味の乏しいことばとしては扱われない。意味は、当然そこにあるはずであるかのごとく扱われる。使っている当人はよく分からなくても、ことばじたいが深遠な意味を本来持っているかのごとくみなされる。わからないから

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世界はシーソーゲーム

世界はシーソーゲーム

 久しぶりに、スーツを着て、南北線で溜池山王に向かっていると、時空を超えてタイムスリップした気がする。サラリーマンのコスプレ。笑

 これはこれで、たまには、アトラクションとしては、悪くない。

 PMBOKがバージョンアップして、価値だとか、ユーザーだとか言い始めているらしい。

 時代の趨勢からいって、必然なのかもしれないけど、寂しい気もする。
 寂しいだけでなく、大切なものを失ってしまうんじ

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DXについての四つの例題

DXについての四つの例題

 デジタルトランスフォームについて色んな説があり、どれもこれもが一定の信憑性を持っているのだけれども、いまひとつ深みに欠ける印象がある。
 それは、歴史観じゃないかと思った。

 人類史はトランスフォームを何度も経験してきた。そう考えると、デジタルトランスフォームとは、ある意味では、決して未曾有の変革ではないのだということがわかる。

例題① 直近=モータリゼーション 例えば、少し前に、モータリゼ

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自閉化しつつある社会

自閉化しつつある社会

 情報が手のひらサイズになってしまったことで、最近の人はたった10文字前後の見出しを通して、ことの正邪を教育されるようになってしまった。

 紙面に面積の有限な新聞や、放送時間の制約があるテレビと違って、ネットには文字数制限がないはずで、これは不思議な話である。
 モニタのサイズとタップ&スクロールというインターフェース、そしてお手軽なイイネボタンとコメント機能。要因としては、このあたりだろうか。

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自利を利他に導くロールモデル

自利を利他に導くロールモデル

 昨日、エンデのモモにについて書いたわけだけど、引き続きそこからまた、色んなことを考えている。
 モモがみんなを人知れず救済する、というクライマックスは、作品として必要だからこしらえたお話であり、現実社会においては、そういうスーパーヒーローみたいな人がやってくることは、基本的には、ない。
 つまり、現実社会というやつには、バッドエンドしか用意されていない。

 そんなことでは救いがないじゃないか、

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菩提トランスフォーメーション史観

菩提トランスフォーメーション史観

 我が国における仏教の理解には、聖ー俗と全ー個の二つの軸がある。

 華厳は、聖かつ全の系統。
 密教は、俗かつ個。
 禅は、聖かつ個の系統。
 浄土は、俗かつ全。

 聖徳太子から聖武天皇の時代にかけてが、仏教受容の第一期だった。建築やアート、金属加工技術に哲学、政治システムなどの先端潮流へのキャッチアップの手段として、仏教は受容された。
 その集大成が東大寺、毘盧遮那仏、国分寺などの成果物であ

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