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失敗に学ぶ、セールス「10のコツ」その1「なぜ失敗してしまうのか」

そもそもセールスにおける失敗とはなんでしょうか?大きな失敗から挽回可能なちょっとしたミスまで様々ですが、少なくとも「契約が獲得できない」ということ自体を失敗とは言わないですよね。(これは能力不足という状態でしょう)
ではセールスにおける失敗とは具体的にどのようなことなのか、まず整理してみましょう。

セールスにおける失敗とは

セールスにおける成功とは、一番シンプルに言えば「成約をすること」「実績を積み上げること」に他なりません。とすれば失敗は「成約できないこと」かと言えばそうでもありません。セールスとは点ではなく線、つまりプロセス(一連の流れ)を言うのであって、成約のタイミング時点だけを言っているのではありません。つまり成約できなくても、例えばお客さまの信用や信頼を積み上げている状態は失敗とは言えないでしょう。

筆者はセールスの失敗を「成約まで積み上げていかなければならないプロセス(プラスの効果を産む行動や出来事)を、マイナスの方向にしてしまうこと、最もひどい場合はゼロの状態以下にしてしまうこと」だと考えています。

失敗の具体例

ではプロセスをマイナスの方向に持っていってしまう行動や出来事にはどんなことがあるでしょうか。
こんなことが考えられると思います。
①お客さまや協力者を怒らせたりご迷惑をかける
②お客さまや協力者を不安がらせてしまう

例えば、
①すぐに返事をしない、無礼な振る舞いや失言をする、恥をかかせる、期限を守らない、間違える、感謝をしない、非を認めない
②はっきりと答えない、よくない噂や評判がある、高圧的であったり自信がなさそうである

のようなことに集約されるのではないでしょうか。

もう少し具体的にすると、
①メールを返さない・放置する、敬語が不適切である、横柄である、名刺をぞんざいに扱う、応接・移動中(エレベーター、車)・宴席などでの位置どりや接遇を知らない、納期を守らない、納品数を間違える、ご契約やご協力に感謝の言葉やお礼のメールをしない、間違いや非礼に対して素直に詫びない
②何を聞いても、もしくは大事なポイントに明確に答えられず誤魔化したように聞こえる、「よく間違える」「レスポンスが悪い」「お客さまに優劣をつけて差別する」などの評判が流れている、
などでしょう。

なぜ失敗するのか、失敗を繰り返すのか

失敗の具体例を見てみると、その原因は次の3つに整理できます。
①マナエチが身についていない
②タスクマネジメント・タイムマネジメントができていない
③業務遂行に必要な知識が不足している

では、一つずつ見ていきましょう。

①マナエチが身についてない

そんなことはどうでもいいと思っている人はいないと思いますが、もしいらっしゃったら、残念ですがセールスは職業に選ばない方がいいでしょう。それだけマナエチ(ビジネスマナー)は最低限かつ重要なスキルです。

基礎的なマナー・エチケットは様々な情報がネット上に掲載されています。
例(https://www.recurrent.jp/articles/what-is-business-manner
なので、ここでは基礎的なことは割愛しますが、
まずはじめに、実際に筆者や筆者の部下がお客様を怒らせてしまった事例をお話ししましょう。

  • 従来から取引のある会社が納期を守ってくれず、納期を守って欲しいとのお願いしようとその会社の社長を訪問したが留守。しばらく事務所で待たせてもらうと、午後2時に帰社された。社長が遅い昼食を取ろうと社長の机にお弁当を広げ食べ始めたところ、待たされたこちらは「昼休み時間でもないし、待たされたんだからいいだろう、向こうは座って食べているだけだし」と淡々と主張を話し始めた。ほぼ無言で聴いている社長に対して、全てを言い終えたこちらは「なんとかよろしくお願いします」と言って辞去。その日の夕刻、会社に「彼を出入り禁止とする」との通告が入った。

  • 同業他社と競合関係にある取引先でのこと。こちらの担当者は業務知識も豊富で質問にもテキパキと答えることができたが、同業他社の担当者は若手で「すぐ調べてお答えします」という回答が多かった。ただ、同業他社の担当者は取引先事務所を辞去する際、必ず出口で事務所内を振り向き、深々とお辞儀とお礼を言って退出した。それに対しこちらの担当者は打ち合わせスペースではお礼を言うものの、事務所出口では背中を見せたまま振り向かず退出していた。圧倒的にこちらが優位の取引先であったが、1年後には実績が逆転していた。

  • 入社2年目の営業担当者が営業活動で代理店を訪問する際、常にプラダのバッグを持っていた。数ヶ月後、突然代理店の責任者から会社に「担当者を変えてくれ」との連絡が入った。慌てた上司が代理店に理由を確認すると「バッグをはじめ服装も態度も非常識だ。とても営業担当者として、代理店と共に歩もうという気持ちが感じられない」との返答だった。

これらの3事案に共通する、もっともシンプルなマナエチ違反は「相手がどう思うか」への想像力が決定的に欠けていることです。①の「必要なことを告げるのは必要なことだ」②の「仕事は十分しっかりとやっているから問題はない」③の「自分の好みの服装やバッグで営業するのは自由であり、仕事の中身が伴っていれば良い」、という気持ちはすべて想像力の欠落の証です。

連絡の仕方、電話での話し方、挨拶の仕方、名刺の渡し方、辞去の際の礼儀から冠婚葬祭のマナーまで、数えれば相当のマナー・エチケットがありますが、それを全てカバーする土台が「自分のことより相手の気持ちを想像する心」であり、ここで失敗を繰り返す人の原因はその気持ちが欠落しているから、と言い切っても過言ではありません。

②タスクマネジメント・タイムマネジメントができていない

次にタスクマネジメント・タイムマネジメントについてです。この具体的手法については、別の機会でお話ししますが、そもそもなぜタスクマネジメントやタイムマネジメントができていないと大きな失敗につながるのでしょうか。

「当たり前じゃないか、お客様であろうと上司や関連部門であっても、期限を守らなければトラブルになるに決まっているよ。」そういう読者の方も多いと思います。ではお聞きします。なぜ期限を守らないと、納期を守らないとトラブルになるのでしょうか?

お客様にせよ、上司や関連部門にせよ、次のプロセスに進むことができない、少なくとも次のプロセスに悪影響が出るからですね。問題はそれを知っているのになぜ期限を守らないのか、ということです。

タスクや期限を、自分の仕事の範囲で管理するのは当たり前のビジネススキルです。その前工程・後工程を含めて自分の関わった仕事が最終的にどんなアウトプットになるのかを考慮に入れて、つまり「〇〇までにこれを完了させれば、次のプロセスではこれが使われてこんなことが行われる」ということを想定して、自分の仕事(タスク)をタイムマネジメントしていくことがとても大切なのです。つまり失敗する人はこの認識が圧倒的に欠けているんです。

それを認識していれば、期限に間に合うように自分の仕事の準備をし、開始し、完了させ、次の人に託す、または期限に間に合いそうもなければそれを次の人に伝え代替策を一緒に考えることができるでしょう。これこそ失敗につながらないタスクマネジメント・タイムマネジメントと言えます。

③業務遂行に必要な知識が不足している

最後に業務知識不足についてです。業務に直接関係する知識から、周辺知識まですべて完璧に覚えていれば、常に正しい回答を瞬時に出せることでしょう。でもそんなことは人間である限りまず無理です。

もちろん知識の引き出しの多さの優劣はありますし、知識が多いにこしたことはありません。しかしここでは「どうやって知識を増やすか」ではなく、「どうして知識不足が失敗につながるのか」を考えたいと思います。

もし誰かに質問をされてすぐに答えられなかったら、日頃どういう反応をしていますか?家族や友人が相手であれば「知らない」と答えるだけでも問題はないでしょう。ではお客様や上司が相手であったときはどうでしょうか。知らない、もしくは正確に覚えていないのですから「わかりません」と答えるしかないのですが、その時の相手の頭の中は以下の3つのいずれかです。

  • そんなことも知らないの?

  • わからないなら仕方ないけれど、それでこれからどうするの?

  • わからないなら、もっと誠実な言い方があるんじゃない?

また、わからないのに曖昧な回答をして、相手にそれが伝わっている時は、こんな風に思うでしょう。

  • いい加減なことを言って誤魔化しているな。この回答は信用できないぞ

  • 正確かどうか不安もあるけれど、問題が起これば彼の責任だからいいか

さらに、間違った回答をしたことが相手にわからず、それを信じてしまったときには「なんでいい加減なことを言ったんだ!」と言われてしまう最も深刻なトラブルが待っています。

多かれ少なかれ知識不足であっても失敗にはならないためには、このような相手の気持ちを理解していることが必要になります。
もし相手の気持ちを理解していれば、

  • 勉強不足で申し訳ありません

  • この情報は正確ではないので、すぐに調べて本日中にご回答いたします

という言葉が添えられるはずですし、これであれば「失敗」にはなりません。それを「多分」とか「〜〜と思います」などと言った曖昧な言葉を付け加えてその場を取り繕ってしまうから大きなトラブルになってしまうわけです。つまり知識不足が原因でいつも失敗ばかりする人は、相手の気持ちの理解が決定的に不足しているのです。

失敗の原因まとめ

これまでお話ししてきた「失敗とは何か」「なぜ失敗するのか」を振り返ってみましょう。

セールスにおける「失敗」とは「成約まで積み上げていかなければならないプロセス(プラスの効果を産む行動や出来事)を、マイナスの方向にしてしまうこと、最もひどい場合はゼロの状態以下にしてしまうこと

失敗の原因は次の3つに整理できる。
①マナエチが身についていない
②タスクマネジメント・タイムマネジメントができていない
③業務遂行に必要な知識が不足している

なぜ失敗をしてしまうのか
<マナエチ>
それをされたことで「相手がどう思うか」への想像力が決定的に欠けている
<タスクやタイムマネジメント>
自分の仕事の前工程・後工程を含めて自分の関わった仕事が最終的にどんなアウトプットになるのかの認識が決定的に欠けている
<業務知識不足>
自分が知らないことや曖昧なせいで「相手がどう思うか」の理解が決定的に欠けている

こうして並べると一目瞭然です。失敗の原因とは「相手の気持ちや状況への想像力や理解が決定的に欠けている」ことだったのです。

このマインドを持って、【その2:失敗に学ぶ「セールス10のコツ」】を見ていくことにしましょう。

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