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【読書感想文】『ブッダの人と思想』と遊女と。

 夏になるとブッダに会いたくなる。日本の蒸し暑い気候が、ブッダが生きたインドを思い出させるからだろうか。そんなとき、古本屋で良書を見つけた。

 ブッダには数々の名言(迷言)が残っているが、僕が今回最も気に入ったものを紹介しよう。


 ~森の中で坐っていたブッダ。そこへ遊女を探し求める青年たちがやって来た。ブッダは彼らにこう言った。

「青年たちよ、……きみたちが遊女を探し求めるのと、あるいは自己を探し求めるのと、きみたちにとってどちらが勝れていると思いますか」



 友人にこの話をしたところ、

「俺は遊女を追いかけたい」

 と彼は言った。

 それを聞き私は説いた。

「じゃあ私は遊女。裸で鬼ごっことかしたい。野で追いかけられてみたい」

「いいね、それ。楽しそう。蚊に刺されない季節がいいね。春とか秋とか」



 それでこそ我が同士。
「煩」に生きる僕らに、「梵」の境地にはまだまだ程遠いようだ。


 そして気付いたら、秋。

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