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【感想文】三谷幸喜さんまつり Day.2~笑の大学~

いきなり余談ぶちこみますが
前回の記事
好きの熱量がはげしすぎて
あらためて読み直したら支離滅裂すぎて笑いました

整理して修正しました
内容変わらないので読み直さなくても大丈夫


さて

笑の大学でございます

最高におもしろいし
泣ける

稲垣吾郎さんと役所広司さんのW主演です

っていうか
ほぼほぼ二人しか出てこない密室劇です

舞台感が強いけど
映像だからこそのおもしろさもすごくある

これまた三谷ワールド全開です
愛嬌と哀愁


ざっくりストーリーを言いますと

昭和初期、戦争への気運が高まり始めていたころ

娯楽が規制され
演劇の台本もめっちゃ検閲されてたころ

鉄面皮の検閲官さんと
喜劇劇団『笑の大学』の作家さんの

『笑い』に対する真剣すぎる攻防

そんなお話です(ざっくり)

公式サイトもトレーラーもなかったのでウィキさん

調べたら
ラジオドラマ版・舞台版・映画版と
3つもバージョンがあるらしく
しかも役者さんに合わせて脚本が書き直されているとのことで

これはもう
さすがです三谷さんとしか言えない


役所広司さん演じる
検閲官 向坂さきさかさん

一度も心から笑ったことがないひとで
元軍人さんです

真面目一徹で生きてきたので
ギャグとか喜劇がまったく理解できない

「なにがおもしろいんですか?」
「それで皆さん笑うんですか?」

「わからないなあ、わからない」

喜劇台本を見ても
稲垣吾郎さん演じる作家・椿つばきに再現してもらっても
ひたすら首を傾げ続ける

たぶん空気感的には

徹子の部屋にお呼ばれして
ギャグを披露させられる芸人さんたちの

あの面白さに似ています


でも
対する椿さんが本当にすごくて

普通はね

あれだけ赤を入れられて
変な注文つけられたら

無理!ってなりそうなものなんだけど

一生懸命なおして
なおして、なおして、なおして
どんどん面白くしていくの

しかもぜんぜん苦しそうじゃなくて
目をきらきらさせて
楽しそうになおしていくんです

もはや狂気よ

向坂さんも引くぐらいの

ほんとうに奇妙な生物を見るような目で
椿さんを眺めてたりして

その表情がまたおもしろい


こういう言い方はあれなんだけど

三谷さんの脚本は
渋さのかたまりみたいな役所広司さんを
じょうずにおもちゃにしているというか

清須会議も有頂天ホテルもそうなんだけど
役所さんの愛らしさがばくはつしています

稲垣吾郎さんも
演技に変な屈託がないというか
とても素直に演じられているので

二人のバランスもとてもいいです
映像的にも

ちなみにあの昭和感も
レトロであったかくてとてもよいですよ


ここからネタバレ入ります
観てない方は注意ですよ



わたしはこれを観ると
だいたい3か所で泣くんですが


わたし涙腺ぶっ壊れてるので
ひとつめはだれも共感してくれないとおもうんだけど

向坂さんが警官役の再現をして
取調室のなかをぐるぐる走り回っているところ

めちゃくちゃおもしろいんだけど

走り回っているうちに
軍人だったころに心が戻っていくんです

彼の人生は軍人時代がいちばん輝いていて
いまの検閲官という仕事は

なんていうのかな

不満とかってことではなくて
それもあるんだろうけど
それ以上のものっていうか

人生のピークは過ぎ去ったみたいな
抜け殻みたいな

そういう感覚をずうっと心の底に持っていて

だから狭い取調室のなかを
生き生きと
懸命に
楽しそうに走り回る姿が
とても切ないというか

過去に縋るみたいで

そんなおじさんの哀愁が

泣いちゃう


ふたつめは
やっぱり喜劇舞台を観にいって
笑うのではなく涙を流すところです

ここはわかってくれる方たくさんいそうなので
多くは語りませぬ

ただただうつくしいシーンでした


そしてみっつめ

これもやっぱりといいますか
ラストです

二人で作り上げたといっても過言ではない台本が
ようやく完成したところで

椿さんに届いた赤紙

つらいのに
苦しいのに

「おめでとうございます」
「ありがとうございます」

と言わなければならなかった切なさ

それでも
真面目一徹で融通の利かなかった
検閲官の向坂さんが

「生きて帰ってきてください」


当時ぜったい言ってはいけなかっただろう言葉を
椿さんに

そして取調室にひとり取り残される
向坂さん

はい

涙がとまりませんでした
書いてるいまも胸がぎゅうううっとなっています


ラストは哀しいけれども
そこまでは楽しくって面白くって
げらげら笑える喜劇作品なので

よかったらぜひ見てね

海外でもリメイクされているようなので
見て損はないはず


ちなみにわたしは

「賄賂のつもりですか。困るんですよねえ」

と言いながら
椿さんの手土産の今川焼を
なんだかんだ高圧的な言い訳をしつつ

しっかりもらっちゃう向坂さんが

すきです



お次はマジックアワーですよ


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