市内RPG 40 扉と2つのペンダント
ぼくら、レベル11。勇者、戦士、魔法使い、僧侶の高校生パーティー。
魔王を倒すために、子郡市内をうろうろ。
今は、子郡市のエオンショッピングセンターの地下段ジョンを探索し、レンガ造りのゴーレムを倒したところだ。
ゴーレムが守っていた奥の扉に、ぼくらは近づいた。
「勇者様、お願いします」
戦士ヤスがぼくに扉を開けるように頭を下げた。都合がいいときだけ、勇者様だからなぁ。しぶしぶ、前に出て、赤い扉を押してみる。
・・・動かない。
引けばいいのかと思ったが、引くための取っ手もない。
観音開きになっているようだが、びくともしない。
赤く塗られた木に鉄の鋲がいくつも付けられている。中央に円形のくぼみがある。
ノックしてみる。コンコン。
「3回しなきゃ。2回はトイレらしいわよ」僧侶カナが言った。
コンコンコン。
3回にしてみたが、反応はない。、、、面接ではないのだ。
扉の中央のくぼみを触っていた戦士ヤスがつぶやいた。
「ここに何かあったのかな?」
「、、、、。あ、ペンダント。拾ったペンダントがあったよね。出して」
魔法使いヒラがぼくに言った。
拾ったペンダントは2つ。
円形の枠に「一」のペンダント。ダンジョン2階でドラゴンの牙にはさまっていたものだ。
それと、円形の枠に「了」のペンダント。ダンジョン3階でトーテムポール提灯を倒したときに拾ったもの。
くぼみは1つだが、、、。
ヒラは、その2つのペンダントを両手に持って、しばらく考えていた。おもむろに、それらを重ねた。
ぴったりだ。「一」と「了」を重ねると、、、「子」になった。
金色の円形の枠に「子」の文字が切り出されたペンダント。
「子」?
子ども?
ねずみ?
子郡市?
何のキーワードだ?
ヒラは、それを扉のくぼみに押し込んだ。
扉がゆっくりと開き始めた。
前回まではこちら。
おひまならこちらもどうぞ。