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コロコロ変わる名探偵【短編】

名探偵、金田一は言った。
「この連続殺人事件の犯人は貴方だ、筑紫さん。貴方は、殺された上田さんに殺意を持っていた。本棚に隠された拳銃が動かぬ証拠ですよ。」

筑紫は白状した。
「そのとおり、わたしが犯人だ。しかし、第2の殺人、田中さん殺害の犯人は、貴方だ、新庄さん。拳銃には貴方の指紋も付いていたのです。」

新庄はがっくりと膝をついた。
「そのとおり、尾中さんが憎かった。しかし、田中さんに覚醒剤を売ったのは、貴方だ、宇治島さん。同じ覚醒剤が貴方の車にありました。」

宇治島は、震えていた。
「そのとおり、私です。しかし、第3の殺人、片山さん殺害の犯人は、間宮さん、貴方ですね。殺害に使われたロープが部屋から見つかりましたよ。」

間宮は、すべてを話した。
「そうです。完敗です。しかし、そのロープを万引きしたのは、貴方。八木さんでしたよね」

こうして、410名の犯人が逮捕され、410名の名探偵が生まれた。
最後に逮捕されたのは金田一だった。


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