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ダルメシアンカー【フォトギャラリー短編】

雨の合間、昼の出張。

小雨の中、小走りで駐車場に向かう。
白のワンボックスに乗り込む。
「雨がひどくならないといいけど」曇天をフロントガラス越しに見上げる。
うすい雲が空を暗く覆っている。降水確率は60%。

今は止んでいる。傘はあるから大丈夫だ。

会社から40分ほどで目的地に着く。
山のふもとの農家だ。春に収穫される野菜の買い付けを交渉する。
話は1時間ほどでまとまった。よい契約が次回はできそうだ。

雨は降っていない。よかった、雨もこの分なら止みそうだ。

車のキーでロックを解除したとき、ふとした違和感に気づいた。

白い車が、ダルメシアンになっている。白と黒のぶち。無数のぶち。

会社を出るときは、感じなかった。
自分の車ではないかな。間違えたかな。少し離れてみる。やっぱり自分の車だ。それにしても、この黒いぶちは、、、、。

近づいてみて、初めてわかった。そして、肩を落とした。

無数の鳥のフン。見上げると、電線が車の上を走っている。少し離れたところに、2羽の鳥が知らん顔してとまっていた。

「わたしは何も知りませんが。」

知っているだろ。あなたたちのお仲間が、私の車の上の電線にたくさんとまって、そして、羽ばたくときに粗相をしているのですよ。

声にならない怒りをかみ殺して、2羽の鳥をにらみつけた。

そして、空を見上げた。

もう少し激しく雨が降ればいいのに。

(お礼)
gemini6rabbitさん、素敵な写真をありがとうございました。事実をもとにしたフィクションが出来上がりました。とほほ。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。有料記事にしていただけると、ダルメシアンカーも報われます。洗車代になります。また、スキやコメントも、お待ちしています。ペコリ。

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