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違法の冷蔵庫【短編】

おれは、地球を救う大発明を完成させた。

ところが、完成したすぐあとに、ある国に拉致され、裁判にかけられている。

裁判長は言った。
「被告を有罪とする。被告の発明品は国々を滅ぼす。違法である。違法の発明品は解体すること。」

おれの大発明、、、冷蔵庫は解体されてしまった。

せっかく地球を救えると思ったのに。

裁判長たちの声が聞こえる。
「危ない発明だった。まさか、地球温暖化を止めるために、巨大冷蔵庫を作り出そうとするなんて。」
「さよう。あんな発明が実用化されてしまっては、国の産業が止まってしまう。」
「一国だけの問題ではない。地球規模の問題だ。」
「われわれは、地球温暖化と引き換えに、今の豊かさを保っているのだから。違法にして解体するより他にない。」
「これで我々の産業も守られた。」

「違法の冷蔵庫」が解体される様子を見ながら、おれは思った。

馬鹿な話だ。産業を守って、地球を守らないなんて。

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