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市内RPG 38 動き出したゴーレム

ぼくら、レベル11。勇者、戦士、魔法使い、僧侶の高校生パーティー。

子郡市のエオンショッピングセンターの地下段ジョンを探索している。地下1階では巨大ジャンガリアンハムスターと遭遇。2階では、ドラゴンから逃走。3階では、トーテムポール提灯を撃破。4階では、魔法使いの将棋に勝利。

やっとたどり着いた地下5階。目の前のゴーレムが動き出したのだ。

僧侶カナのおかげで、ゴーレムの一撃を何とかかわすことができた。レンガの拳で殴られたら、、、、そう考えると、ぞっとする。

「みんな、構えて」カナが叫ぶ。

「おう!」さっきまで爆笑していた戦士ヤスも戦闘モードだ。ゴーレムの振りをしてみんなをびびらせたくせに。マもの星竿を構えている。

魔法使いヒラも4色ペンの杖を両手でしっかりと握っている。ノック式で、火、水、雷、土の魔法効力を上げることができる。

僧侶カナも、実家の寺から持ち出した木魚を構えた。

ゴーレムは、また長い腕を振り回した。ぼくらは、また後ずさった。すごい風圧だ。ゴーレムは、青い目を光らせて、身体をゆっくりとひねって、ぼくの方に正対した。

「勇者ねらいか?」
ゴーレムが振りかぶって繰り出したパンチを、ヤスはマもの星竿で何とか受け止めた。その隙に、ぼくは後ろに下がった。しかし、ヤスも力ではかなわない。受け流して、後ろに飛び下がった。

ゴーレムは、今度はヒラにゆっくりと正対した。目が青く光っている。ゴーレムは正対したまま動かない。

「? このゴーレム、動けないのかも」カナが言った。

「そして、一番近い者に反応する」ヒラが続けた。

なるほど、さっきはぼくが近かったからねらわれた。次はヒラが近くなったからねらっているようだ。

カナは、ヒラよりも半歩近づいてみた。ゴーレムはゆっくりとカナに正対した。しかし、ゴーレムの攻撃範囲にはまだ入っていない。

「手強いし、硬そうね」カナは、少し離れながら言った。

「しかも近いヤツをねらってくる」ヒラも半歩下がった。

「動きが遅いから、なんとかならないかな」一番近くなったヤスも、ぼくの後ろに下がりながら言った。


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