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ストロー・スパウトは必要?-口腔機能の育ちの視点から-

小さい子どもに、早い段階でストローやスパウトで飲む習慣がつくと、口腔機能の発達に悪影響が出る可能性があることをご存じですか?
その理由と、よりよい選択肢について考えてみたいと思います。


口腔機能への影響

口周りの筋肉が十分に発達しない

ベビー用のストロータイプの製品やスパウトは、舌の奥まで深くくわえ込む飲み方(哺乳の飲み方に近い)で、コップで飲むときに必要な”口周りの筋肉”を使わずに飲むことができます。この飲み方を離乳してからも習慣的に続けていると、口周りの筋肉の発達が遅れると考えられます。

舌の位置が正しくならない

口周りの筋肉を使わずにいると、舌も正しい位置で安定しません。
舌の位置や動かし方は、食べ物を噛むことや話すことに関係します。舌を含む口周りの動きが望ましくない形で成長すると、食べ方や話すことに支障が出る可能性があるほか、あごがきれいな形に発達せず、将来の歯並びの乱れや噛み合わせの問題にも繋がりかねません。


こぼれないから便利なのだけれど・・・

何を使って飲むのが正解?

ストローやスパウトで飲まないほうがよいなら、何を使えばいいのでしょうか? おススメは、早い段階からコップで飲む習慣を身につけること。コップ飲みは、口腔機能の発達を促進します。具体的には、水をこぼさないように唇をすぼめる動きや、口の中に入ってきた水を舌や頬でコントロールして喉の奥へ送り、飲み込む動作が求められます。この過程は、目や手や口のさまざまな筋肉を連動させて使うことになるため、舌やあごを含む発育への効果が期待できます。

余談になりますが、コップで飲むことは心理的な側面にも良い影響を与えることが報告されています。例えば、自立心を育むことができたり、口腔内の細菌の繁殖を抑えたりする効果があるとされています。

自分で上手に傾けています😊

ファーストステップはスプーンで

そうは言っても、コップ飲みは、すぐには上手にできないかもしれません。おすすめは、乳幼児期から、大きめのスプーンですすり飲みの練習をすることです。お猪口やペットボトルキャップを使ってもいいでしょう。

離乳食を始めたらスプーン飲みで水分補給もスタートしましょう

まとめ

健康な口腔機能の発達には、正しい飲み方を身につけることが大切です!
もしストローやスパウトを多く使っているなら、ぜひ今からでもコップ飲みを練習しましょう。すでにストローやスパウトでの飲み方の癖がついてしまっている場合には、矯正歯科医など歯科の専門家や、管理栄養士に相談し、正しい口腔機能を身につけるためのアドバイスを受けてはいかがでしょうか。

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●参考文献
【口腔機能とストロー・スパウトの関係】
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Sánchez, J. R., Barrera, L. M., Rueda, Z. V., & González, M. A. (2019). Non-nutritive sucking habits and its relationship with the occlusion in preschool children. A systematic review. Journal of Clinical Pediatric Dentistry, 43(6), 361-368.

【コップで飲むことの利点】
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Mason, S. J., Sliney, A., & Gaudreau, J. (2016). The impact of training caregivers to use open cups on infant feeding practices in a transitional country setting. Maternal & Child Nutrition, 12(4), 875-883.

Larsson, E., & Wennerholm, K. (2019). Parental experiences and attitudes towards transition to open cup drinking among infants and toddlers. International Journal of Environmental Research and Public Health, 16(3), 462.

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