下校のチャイムが鳴り、夕陽が眩しくて目を細めながら自転車を漕ぐ。信号待ちをしていたら地面がぽつぽつと色が変わっていった。空を見上げるとメガネのレンズに大粒の水…
木綿
2022年1月22日 22:51
下校のチャイムが鳴り、夕陽が眩しくて目を細めながら自転車を漕ぐ。信号待ちをしていたら地面がぽつぽつと色が変わっていった。空を見上げるとメガネのレンズに大粒の水滴がつき、それを制服の袖でぬぐった。肌には冬の冷たい雨が当たり出した。いつもなら自転車のカゴに入れてあるカッパをすぐに着るだろう。しかし私はその滝にように降り頻る雨と1つ1つの水滴を照らす橙色の夕日があまりにも美しくて立ち尽くしていた。