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「サルたちの嫉妬」から考えるポリアモリー

ポリアモリーを公言してから
多くの人からポリアモリーについて聞かれるようになった。

僕は研究者ではないけど「せめてその歴史や学術的な知識は押さえておこう」と最近は関連書籍や文献を読むようにしている。そんな中で最近購入した「ポリアモリー 恋愛革命」がなかなか衝撃的だったので、今日はその話を。

ポリアモリーとは複数の人と同時に恋人的な関係を築く恋愛スタイル。対義語はモノアモリー(恋人一人派)。過去のシリーズはこちら

◾️4万円のポリアモリー本

この本、日本では2004年に発刊されたが初版のみで流通している数が少ない。そのせいか価格が高騰し、僕が購入した時点でなんと13,280円
その後は4万円台にまでなっていたが、それも売れてしまったのか今は取り扱いがない状態になっている。

ちなみに同じくポリアモリーについての書籍を書いているきのコさんも1万円以上出して購入したと言っていた。

この本の著者はデボラ・アナポール、ワシントン大学で臨床心理学の博士号を取得し、卒業後の1984年にポリアモリーのセンターを立ち上げ。ポリアモリー専門誌『Loving More』の創刊するなど、先駆者として活躍している女性だ。ちなみにこの原書は1992年にアメリカで発刊されている。

彼女はポリアモリーを「責任ある非一夫一婦制」と表現し、様々な角度からそのメリットを説いている。今日はその一部から、僕なりに考えたことを例によってパワポの図解を交えて書いてみた。

■ゴリラとオランウータンの嫉妬心

僕が興味を持ったのは「人類の進化におけるポリアモリー」というパートだ。ポリアモリーを語る上でアフリカの一部族や、一夫一婦制が定着する以前の歴史を参考にするケースは見かけるが、いわゆる「サル」まで遡ったものは珍しい。

このパートには「ヒト科」と呼ばれるオランウータンやゴリラがどう嫉妬心を回避しているか?という記述がある。それによると、いわゆる乱婚や一夫多妻のオランウータンやゴリラでも他のオスにメスを奪われるのは嫌なようで、各々の方法で他の男を排除しようとしている。

ゴリラはイメージ通り「腕力」を使って他の男を排除する。「ハーレム」と呼ばれる自らが囲っているメスに近づく他の男には容赦しないのがゴリラの世界だ。
一方、ゴリラよりも人間に近いオランウータンは「テリトリー」によって他の男を排除する。オランウータンはジャングル内にカップルだけの領域(テリトリー)をつくることで、他の男を排除している。確かに、ルールを決めるあたりがゴリラよりは人間に近い。

そう捉えると人間は「一夫一婦制」によって他の男を排除していると言える。筆者であるデボラ・アナポールは嫌っているが「一夫一婦制が人類の進化だ」と主張する学者の気持ちもわかる。

■チンパンジーの子殺し

ここからは僕の考えだ。
先ほどオランウータンとゴリラの例を出したが、人間と同種類のサルである「ヒト科」は、人間を含めて4種類いる。残る1種類は人間にもっとも近いとされるチンパンジーだ。

そこでチンパンジーはどう嫉妬心を回避しているのか?を調べていたら、恐ろしいチンパンジーの行動「子殺し」の存在を知った。
子殺しの理由は諸説あるが、一般的には群れに新たに入ってきたメスが産んだ子供を殺す傾向があることから、自分の子供ではない可能性のある子供を殺すことで、自分の遺伝子だけを守ろうとする行動だとされている。

この他にもチンパンジーにはメスを争ってボスのオスを集団で殺すなど、いずれも広義の嫉妬を理由とした殺しのケースが報告されている。

繰り返しになるが、これは人にもっとも近いとされているチンパンジーの話だ。

■チンパンジー界のポリアモリー「ボノボ」

先ほどのような残酷な一面を持つチンパンジーだが、実は彼らには同じルーツだが別の存在として進化した同族別種「ボノボ」がいる。

近年、チンパンジーを超えて最も人間に近いとされるボノボは1928年に発見され、その研究が始まったのは1972年頃。ポリアモリーの概念が生まるわずか12年ほど前のことだ。

デボラ・アナポールもまた、このボノボがポリアモリーの概念を進化させるヒントになると考えている。

ボノボとチンパンジーの特徴的な違いとして、
・平和を好む
・女性優位の社会

・子作り以外の目的で性行為をする
などが挙げられるが、

中でもやはり「子殺しをしない」点は注目されている。
メスを巡った争いをしないボノボには嫉妬の感情がなく、その結果子供をみんなで育てる傾向がある。

そんなボノボをデボラ・アナポールは「ポリアモリーを楽しんでいる状態」と表現している。

■ポリアモリーという「同族別種」

チンパンジーにとってのボノボと同じように、人間(ホモ・サピエンス)にも3万年前までは同族別種がいた。
名前はホモ・エレクトゥスピテカントロプスとも呼ばれる人類だ。
しかし残念なことに、ホモ・エレクトゥスは、嫉妬深く暴力的なホモ・サピエンスから仲間を守れず、次第に数を減らしていったとされている。

もちろん、ホモ・エレクトゥスがボノボのようにポリアモリーライフを楽しんでいたかはわからない。しかし、チンパンジーと同じように嫉妬深いことが今の人間(ホモ・サピエンス)の特徴だとしたら、ポリアモリーはボノボと同じように全く異なるアプローチで嫉妬を回避しようとしている。
そういった意味でポリアモリーは別の形で進化したモノアモリーの同族別種なのかもしれない。

ちなみに「いらすとや」にボノボのイラストがあったのには驚かされた。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

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