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人生、とは何か。映画『天才スピヴェット』監督:ジャン=ピエール・ジュネ

http://spivet.gaga.ne.jp/sp/intro.html

※ネタバレを含みます。


人生とは、

まるで一本の映画か、数冊の小説のようなものか。

『アメリ』の監督、ジャン=ピエール・ジュネ。
劇中、『アメリ』と同じように、映画(主人公、登場人物の、“人生”)について
コミカルな人形劇の様に、メタ認知的解説が入る。

僕の、父さんは、カウボーイ。母さんは、昆虫博士。姉さんは、アイドルになる。

双子のレイトンは、死んじゃった。

レイトンは、カウボーイになるはずだった。

では、僕、スピヴェットとは、誰だ?スピヴェットとは、何だろうか?

父、母の、息子?
姉の、弟?
双子の、兄?

スピヴェット、私、とは、人生、とは、家族・家庭等、所属する集団内での“立場”や

いずれ大人になりなるであろう、“職業”のことなのだろうか。

いや、スピヴェットは、ただ「スズメ(スパロウ)」だったのかもしれない。

旅の、列車が国を横切る時間、車窓からの風景も美しい。

私はスピヴェットを眺めながら、私とは、誰で、私とは、何だ、と思考が現れては、過ぎ去る。雲がただ、流れていくように。朝が来て、また夜になる。
スピヴェットは家出を成功させるために警備員から逃げ、眠くなったら眠り、腹が減ったらホットドッグを買いに行く。

そう、それが、人生。感じたことを、シンプルに、ただ、やればよかった、のだ。

人生、では、ホットドッグが体には良くなくても
食事を自分で作らなくても、自分の金ではなく他人の金で買っても、いいのだ。

職業、カウボーイでも、博士でも、アイドルでも、警備員でも、修理工でも、天才科学者と呼ばれる、でも、なんでも、いい。

あなたの、好きなもの、がいい。

そして、迷惑をかけても、いい。人に助けてもらって、いい。特に子どもなら、子どもとして大人に構ってもらって、いい。
そして、松の木のように、自らの葉に保温力が無くても
ここに居たいのなら居ていいと、越冬のスズメに言っていい、のだ。
松の木の“おはなし”が嘘だとしたら。嘘をついても、嘘の話でも、もし、あなたがそれを「素敵だ」と思うのならば、それを、そのままに、して。

そのままで、いい、ではないか。

全ては、自由であった。自由に選択し、人生を創造せよ。

それに気づく、時、

子どもであっても、大人であっても
「家出が必要であれば、するべきだ」

家出少年だったスピヴェット、は、そうして、科学者になった。

スピヴェットは、家出した。科学者になるために。

家出、もしくは旅の準備を。

あなたとは、誰だ(現在)

あなたとは、何だ(未来)

家出。家族、親と離れようとも。自分の人生を生きよ。

自らの運命を、決め(選択せ)よ、その感覚は、大袈裟なものではなく

人生は、ただの、死ぬまでの“暇つぶし”である。

レイトンのように、罪もなく意味もなく死んでしまうことだってある。

運命とは、意味づけするようなものではなく、ただ、選ぶだけだとしたら。
必要ならば疑え。人生とは、暇のつぶし方を、ただ、決めることなのかもしれない、と。

私とは、誰か。私とは、何か。
大切なのは、立場や、職業ではない。家族がいるかどうかでもない。

死ぬまでに何をしていたいか。好きなことは、何か。

スピヴェットが、科学を好きだったように。

そして家出の途中に出会ったあの人のことを、たまに、大切に、思い出せば、いい。

さあ、何をして、生きようか。

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