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建築しか見ない旅 ストックホルム編


ヘルシンキ編に続きストックホルム編。

ヘルシンキの港で17時に出航し、翌朝10時頃にストックホルムに着港した。
16時間くらいの船の旅。

飛行機代+宿代として考えるとアミューズメント的にも面白いし、フェリーはありかなって思っていたのだけれど、いかんせん時間はかかる。

僕としては船の中でコレでもかというくらいスケッチする時間が取れたので大満足ではあるが、船に乗らなければ実際、出航の17時以降もヘルシンキで建築見られるし、到着の10時前も早起きしてストックホルムで建築見られる訳。

なので、数を多く見たい人は飛行機をおすすめするし、ゆっくりのんびり楽しみたいならフェリーをおすすめする。

建築ばっかりだとなんか旅としてどうなんだろうってのもぶっちゃけあるからね。
実際、フェリーからの風景はナカナカなモンよ。

さて10時に到着したは良いものの、これまたこの日の夜の便でコペンハーゲンに向かわねばならないのでストックホルムはまさかの日帰りだ。

圧倒的に飛行機で移動すべきだったと思わなくもないけど、前むいて歩こうぜ。
もーーぅすこぶる天気がよい。
超ノンビリしたい気候だけどもそうもいかない。
突っ走る。

港から地下鉄で二駅ほど、まずは念願のストックホルム市庁舎へ向かう。
やはりプロジェクトで市庁舎をやってるからには見ておかねばとずーっと思っていた。
エストベリの設計。
なんとまぁ精悍な。
誇り高き市庁舎。まさにそんな迫力。

ついて早速10時のツアーに参加。
予約・アポは全くいらない。
少し並べばそのまま参加できる。
ちょっと残念なのは、めっちゃ人が居たこと。
自分含めなのだけど、観光客がワンサカしてて、「こちら〇〇語ツアー!!こっちは△△語ツアー!!遅れずについてきてなぁ!!」
という雰囲気。
ノーベル賞の授賞式やってるってだけでのコマーシャルさが乗っかってるから、単に建物見たいだけなのにと思ってる建築屋さんには少しがっくし。

青の間。ここでノーベル賞の授賞式をやるで有名ですね。

黄金の間。

ど真ん中のヨーロッパのモダニズムに対して、ストックホルム盛り上げていこうぜっていう気概が伺える。
派手さ、豪華さという権力を象徴する装飾とは違う、地に根ざした技術を誇り高く謳う装飾に見える。
しかし、静かに自分のペースで見られたら、ってそんな贅沢はできないか。。
オススメなのは川の対面まで頑張って歩けば静かな所から、引きをとって全景を見られる場所。

風景だ。コリャ。
完全に風景を作ってる建築だ。
いわゆるナショナルロマンティシズムを肌で感じる。
1923年竣工だから、例えばペレのル・ランシーと同い年。あとはシュレーダー邸とか。
めまぐるしい時代だなぁ。中央のヨーロッパのモダニズムに対して辺境の地となる北欧独自の建築の進化の遂げ方。

さて、とても穏やかな気持ちになれたが、ぬくぬくしている時間はない。
すぐにメトロに乗り込む。
市街地からは外れて5〜6駅だったかな。
30〜40分ほどでストックホルム市庁舎から行けた。
アスプルンドの森の火葬場。

この写真で有名ですね。

しかし結構建物本体のこと知られてないんじゃないかな。

こちらも特段アポは取ってない。
この敷地内だけで7〜8kmくらい歩いたのではないか、という体感。
雄大なランドスケープに教会が点在する。

めっちゃ歩いたはいいけれど、意外と中には入れない。
鍵がかかっている。

どこかあるはずとさまよって見たが、最も奥だと思われる場所まで行ったが(ホントにめちゃ広い)、結局どこへも入れなかった。
ショボーンとして十字架のところまで帰ってくると、清掃のオッチャンが、
「もうしゃあないなぁ、、そんなに粘り強くウロチョロされたら流石に敵わんわ。特別やで、こっちきぃ」的な事を言ってくれた。
うおっしゃあああ!!
ぶっちゃけ、めちゃくちゃ貴重な写真だと思う。
アスプルンドの森の火葬場って、さっきの十字架の写真しかあんまり見られない。
アポも取れないし、行っても人がいなくて取り合ってくれないので本当にうんが良かった。
アプローチ横に展開するボリュームには大小のスケールが異なる教会が入っている。
その大祭壇、小祭壇に入れさしてもらった。

大祭壇(清掃のおっちゃんと偶然出くわしたジモティーおばちゃん)

中祭壇
緩やかに祭壇に向かって下りる。
大祭壇、小祭壇ともに、ムクムクフィレットされたH鋼のような梁が飛んでる。
H鋼というか、、鋼材じゃなさそうだな、RC梁?。いやどうだろう。。

装飾的な柱との縁切り。
緩やかな床の勾配を強調するような、細く伸びやかに飛ぶ梁。
個人的に壷なのは、このコの字の列柱、外部に向かって緩やかに広がっている。その緩く開いたコの字を強調する一筆書きで繋がるコの字梁。
また梁と天井の間の縁切りもイイ。あそこベタっとしてたら重たいだろうな。これ頂きですわ。

清掃のおっちゃん、最初はやっつけ的に案内してくれてるのかなって思ったけど、一度喋らせたらもう止まらない。
他のところもどんどん案内してくれた。
有名なアフォーダンスのベンチ。
少し体を互いの方に傾けながら会話する形は優しいRとなってベンチのデザインとなる。
スーっといってクィ。ってなね。

Rオタクを僕にとってはタマラナイ。
この休憩ラウンジ的な空間にもさっきのH型RC梁が。

しかし歩いた。めちゃ歩いた。
疲れたから、ちょっと芝生で休憩がてらスケッチ。
あまりフィーチャーされるアングルじやないけど、モッコリした丘を上がると背景を含めてランドスケープと建築を見ることができる。

スケッチしてたらとりのフンが落ちてきた。
切り替えてこう。
少し休憩して、爆速でまた市街地へ戻る。
正直ヘトヘト。
しかも夕方にはもうコペンハーゲンへ向かうフライトがある。
空港でなんか食えるやろといつも思うから、大概、こういう建築旅は昼飯を食べられないことが多い。

スケッチする時間以外はぶっ続けで歩く。
市街地ではこれまたアスプルンドの名作、ストックホルム図書館。
円筒のボリュームにズラァと本が並ぶ。

三段積みされた円状の本棚があり、600mmくらいの歩廊がグルっと各層回ってる。

その上層はさらに7〜8mの吹き抜けがあり、ハイサイドライトと、大きな円形の照明と、間接照明にボコボコした壁面が照らされる。

一周ぐるりと囲む本の壁を穿つボイド。各層でずらす感じ、遊び心が伺える。

本の壁、白いごつごつ壁面、ハイサイドライトで構成される円筒がパブリックな空間なのだけど、その円筒は二重構造になってる。円筒の外側にバックの空間があった。メインとされる空間ではないのだけどこれまたRが際立ってそそる。

全体的に落ち着いたいい空間。
ハッと思ったのは、
現代だと大きな吹き抜けの空間っていかに人で満たすか、アクティビティで賑やかにするかに偏りがちなのだけど、本というモノで満たされた、静かで落ち着いてる大きな空間というのが新鮮だった。
良い意味で内向的になれる、公共空間で1人の思考にふけられる、そんな絶妙なスケールに感じた。
外観も撮ったろと、周りをぐるぐるしているとホームレス2人につきまとわれる地獄体験をした。

朗らかな気分が根こそぎ持ってかれた。
なんとなく、北欧のなかではこのエリアはガラが悪いのかな。
17時になってもうハラもメチャ空いたので、空港に向かう。
お次はコペンハーゲン。

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