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フランスの旅(3)パリでの思わぬ再会
深夜3時半に目が覚めて、喉の痛みに気がついた。昨日歩き回ったせいで、溜まった疲れが出たのかもしれない。薬やのど飴を持ってくれば良かった。悪化しないことを願う。
それでも朝6時に起きて原稿を書いた。できればゆっくり寝ていたかったけど、昨日分の日記を書き終えないと気持ちが落ち着かない。
2時間ほど作業して、朝ごはん。のどの痛み対策に、ハチミツを舐めた。ここはホットチョコレートもあって良い。
朝9時半に出発するも、再び駅で洗礼を受けた。
昨日までと同様に、2.1ユーロの切符を買って改札を通ろうとしたら、開かない。
窓口で尋ねると、女性の駅員が「その切符ではダメです。3.1ユーロの切符を買いなさい」と言う。「Why?」と聞くと、すごい形相で怒り出した。「券売機を見なさい! あそこに買いてあるでしょう!」と怒鳴られる。両方の人差し指で自分の目を指して、「あなたには目がないの?」くらいの勢いで言ってくる。券売機をよく見ると、わかりづらいけど確かに注意書きが書いてある。どうやら本当に、ここからパリ中心部へ行くには、3.1ユーロの切符が必要らしい。
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であるならば、なぜ昨日の朝は2.1ユーロの切符で改札を通れたのだろうか? 結局釈然としないままだった。
「君、さっき切符のことで困ってたでしょう」
ホームで電車を待っていると、男性がやってきた。窓口の列に並んで、ぼくと駅員とのやりとりを見ていたらしい。
「俺も昨日、同じことでつまづいたんだよ。パリ中心部からこの駅に来るときは2.1ユーロで行けるんだけど、ここからパリ中心部に行くときは3.1ユーロの切符が必要なんだ」
「Wow! Different price?」
そんな、行きと帰りで料金が異なるなんて! どうしてそんなことが起こるんだろう。単に機械の故障だろうか。そうであってほしい。
※その後フランスに詳しい方からも教えていただいた。正規料金としては、パリ中心部からぼくの駅までは往復ともに3.1ユーロが正しかったみたいだ。ただ、なぜ2.1ユーロの切符でも改札を通れたり通れなかったりするのかは、今もよくわからない。
10時過ぎ、サンジェルマン・デ・プレ駅で降り、パリ在住のスミレさんとお会いした。
彼女は日本での仕事を辞め、5ヶ月前からパリに住んでいる。現在は語学学校に通いつつ、様々な活動を精力的に行っているようだ。少し前にInstagramでぼくのことを知ったそうで、その後、noteでコメントを残してくれたのがきっかけでコンタクトを取れた。ありがたいことに、今朝は1時間半ほど周辺を案内してくれた。
1884年創業の「レ・ドゥ・マゴ」は、ピカソ、ヘミングウェイ、カミュ、サルトル、藤田嗣治など、作家や芸術家のたまり場になっていたカフェ。
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さらに、少し先にある「カフェ・ド・フロール」も、同じく文豪や画家たちが頻繁に通ったお店だそう。ボーヴォワールやサルトルは常連中の常連で、執筆活動はここの二階席で行っていたという。
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その後、スーパーの「モノプリ」と、世界最古の百貨店「ボンマルシェ」(1852年創業)を案内してもらった。スーパーでは、お土産になりそうなお菓子を探した。
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ボンマルシェは高級百貨店だけど、ジャム、紅茶、チョコレートなど、様々なパッケージのデザインがかわいくて、眺めているだけでも楽しめた。様々な巨大なチーズが並ぶコーナーも壮観だった。
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デパートを出てから、セーヌ河にかかる有名なポンヌフ(ヌフ橋)まで歩いた。そこで、これから授業へ行くスミレさんとお別れ。今朝ぼくが「喉が痛い」とツイートしたのを見て、のど飴と薬をくださった。親切にしていただき感謝です。案内してもらえていろいろ学べました。
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高級百貨店のサマリテーヌを見学したあと、お昼を食べることに。近くにあった人気のレストランも検討したけど、前菜とパスタで3000円くらいするので「う〜ん」となり、結局パン屋さんを探すことに。
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マレ地区の「Maison Marnay」で、見るからにおいしそうなキッシュ・ロレーヌを3.9ユーロで購入。実においしかった。
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さらに「Aux Délices de Beaubourg」というお店でもスイスチーズのキッシュ(3.6ユーロ)を食べた。パン屋さんは手頃でいい。
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そして、現代美術が並ぶ総合文化施設の「ポンピドゥセンター」へ。ここもミュージアムパスで入れる。常設展でカンディンスキーやシャガール、マティスなどの作品を鑑賞した。
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そのなかに、兄が高校の美術の授業で模写して、ずっと家に飾られていたシャガールの絵があった。まさかここに本物が存在すると思っていなかったから、はじめて実物をお目にかかれて感動が大きかった。
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パリの美術館には幼稚園か小学校低学年くらいの子どもたちが引率の先生たちと一緒にたくさんいる。小さい頃から一流の芸術にふれられるなんて、良いことだ。
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そして、さっきスミレさんから「ポンピドゥーセンターにある図書館は誰でも無料で使える」と聞いたので、入ってみた。広大な空間で多くの学生が自習している。
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本棚を眺めていると、「日本の歴史」コーナーを発見した。大胆に「女」と書かれた本『Le Japon des Femmes』を手に取ると、歴史上の有名な日本の女性を取り上げていた。紫式部などが出てくるので古い本かと思ったら、後半には吉本ばななさん、俵万智さん、渡辺直美さん、高橋みなみさん、栗原はるみさん、ももクロなども登場し、イラストとともに楽しめた。
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この件をツイートしたら、少し話題になった。
パリの図書館で「日本の歴史」コーナーを発見。『女』と書かれた本は、歴史上の有名な日本の女性を取り上げている。紫式部などが出てくるので古い本かと思ったら、後半には吉本ばななさん、渡辺直美さん、高橋みなみさん、栗原はるみさん、ももクロなども登場し、イラストとともに楽しめた。 pic.twitter.com/ooQRKloMvp
— 中村洋太 (@yota1029) November 10, 2023
雨が降ってきた。パリに来てから毎日必ず雨が降るので、ちょっとうんざり。11月は雨の多い時期みたいだ。来週、自転車旅をするのが億劫になってきた。
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スーパーでのど飴を買ったあと、ピカソ美術館を訪ねた。ここもミュージアムパスで入場できたけれど、正直展示についてはイマイチだった。ピカソの作品も数十点あったが、多くの名品は各地の美術館に散らばっているように思う。「ピカソ美術館」はこれまでバルセロナと南仏のアンティーブでも訪ねた。バルセロナのピカソ美術館が非常に良かったと記憶している。あとはオランジュリーやオルセーでもピカソの作品があった。
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でもこの2日間で4つの美術館を訪ねられたから、ミュージアムパスの元を取れた。素晴らしい名画をたくさん鑑賞できて大満足だ。
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「今日パリに飛びます。夕飯とか一緒にできないかな」
午前中、街歩きをしていると、ドイツ在住の古畑祥子さんからメッセージが届いた。N.Y.のカーネギーホールでもリサイタルを行う国際的なピアニストで、ぼくの母校・追浜高校のOGでもある。たまたまパリに出張で来たそうで、ピカソ美術館前で待ち合わせして、「La Banquette marais」というお店でサクッと夕食をご一緒できた。
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牛肉のタルタルがおいしかった。そしてワインを飲みながら盛り上がった。
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こうしてヨーロッパでも気軽に人と会えると楽しい。真面目な話もくだけた話も色々したけど、「洋太さんの文章は、余計な装飾がなく単純だけど、内容に深さがある」と評価してくれたのが嬉しかった。「さらに独自の表現(文体)が持てるといいわね」とも。これからも文章を磨いていこう。
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