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ドバイの旅(1)驚きのサステナブルレストラン

10月下旬、ドバイ経済観光庁のご招待でアラブ首長国連邦(UAE)のドバイを訪問した。自身40カ国目となる節目の海外は、初めて経験する中東国ということもあり、刺激的な旅になった。

4日間の滞在でどんな経験をしたのか、記憶を辿りながら書いてみたい。まず今回は、ドバイ到着から初日のランチまでを振り返る。

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10月22日(日)の深夜、羽田空港から0時5分発のエミレーツ航空313便に搭乗すると、約12時間のフライトでドバイ国際航空に到着した。離陸して少しすると最初の食事が出て、その後は暗くなるので、長く眠れる。到着するとドバイの現地時間は朝7時頃だから、5時間の時差はあるものの、時差ボケには悩まされずに済んだ。羽田からの深夜便、とても気に入った。

エミレーツ航空は初めてで、食事が口に合うだろうかと少し心配していたけど、和食のメニューもあり、全然問題なかった。乗り継ぎのために利用するお客さんも多いようで、飛行機は満席に近かった。

ドバイに着陸し、ほかの参加者の方々と合流。送迎車に乗り、ホテルまでやってきた。

ドバイ国際空港

3泊する「25hours Hotel Dubai One Central」は、ロビーに入った瞬間からテンションの上がる素敵なホテルだった。

25hours Hotel Dubai One Central
ノマドワーカーのような人もたくさんいた

今回、ドバイ経済観光庁さんが用意してくれたツアーのテーマは「ドバイのグルメ」ということで、様々な形でドバイの食を経験する。参加者は6名。全員メディア関係者かつ、ぼく以外は食に関して経験豊富な方々ばかりで、ご一緒させていただいて非常に勉強になった。

9時半にチェックインし、次の集合時間まで2時間余裕があったので、シャワーを浴びてから朝食会場を覗きに行った。そしたら朝食も食べてOKということで、サーモンのエッグベネディクトを注文してしまった。ほかにもビュッフェでチーズやパンを食べて、早くもお腹を満たしてしまい、この後の食事が心配になる。

ホテルの朝食。サーモンのエッグベネディクト

プールを見に6階へ行くと、広い屋外テラスがあった。そしてすぐ目の前には異世界のような建築物が。これは近年ドバイで話題の「未来博物館」。ホテルはそのすぐ隣にあったのだ。ソファーに座ると、ドバイの近未来感を象徴するような建物が間近に迫り、現実なのかSFなのかわからなくなる光景だった。

6階のテラスからの眺め。奥に見えるのが未来博物館

プールも良かった。親子で泳いでたり、プールサイドのソファでのんびりくつろいでいたり。ちょっと憧れる。また今度来よう。

ホテルのプール

11時40分にロビーに集合し、最初のレストラン「BOCA」へ向かう。

BOCAは「DIFC(ドバイ国際金融センター)」と呼ばれるエリアにある。ここはドバイの金融の中心で、銀行や証券会社、保険会社の人々がたくさん働いている場所。だからリッチなレストランも多く存在する。

ぼくはそもそも、ドバイの食事情がよくわかっていなかった。「アラブ系の料理ばかり食べることになるのかな」とか、「口に合うかな」と心配していた。でも今やドバイは世界中の企業や人が集まる都市だから、あらゆる国の料理が味わえ、しかもそのレベルも高いようだ。世界各国の一流シェフがドバイに集まっているという。

しかし、意外にもつい最近まで、ドバイのレストランにはミシュランガイドによる格付けがなされていなかった。初めて中近東エリアのミシュランガイドが誕生したのが2022年のことで、それがきっかけで以前にも増してドバイの食が盛り上がってきているようだ。

BOCAは、今年ミシュランの「グリーンスター」を獲得したレストランである。ミシュランガイドには、通常の星以外にも、ビブグルマンやグリーンスターなどの評価がある。

2021年から新設されたグリーンスターは、サステナブルに関する優れた取り組みをしているレストランに与えられる称号で、ドバイにはまだ3軒しかない(2023年現在)。だが、気候変動対策には政府も力を入れているようだし、今後サステナブルなレストランはさらに増えていくだろう。

BOCAオーナーのオマール・シハブさん
たくさんのアートが飾られる、明るい店内

BOCAの店内にはアートがたくさん飾られ、良い雰囲気。オーナーのオマール・シハブさんが店を案内してくれ、どんな取り組みをしているのかなどを話してくれた。正直なところ、なかなか英語が聞き取れず、理解は半分。ほかの参加者はちゃんと理解しているのに、自分だけ情けないなと思いながら話を聞いていた。あとでスタッフの方が個別に補足してくださった。

話を聞きながら、次々と素晴らしい料理が出てきた。ベースはスペイン料理。どんな食材でもアレンジしやすいからスペイン料理にしたと話していた。

スペイン産マンサニージャオリーブのアイスパック
新鮮なトマトとイチゴのガスパチョ

ドバイを含むUAEは、砂漠が多く、耕作可能な農地が少ないため、食料自給率は17%しかない。そのため、一般的なレストランでは多くの食材を輸入に頼っている。しかしBOCAでは、グリーンスターを取るくらいだから当然地産地消に力を入れていて、なるべくドバイやUAE国内で取れる食材を使っている。ペルシャ湾(アラビア湾)のシーフードのほか、水耕栽培で作られた野菜や、砂漠の野菜もあった。一部、スペイン・ガリシア産のタコやニュージーランド産の牛肉を使ったメニューもあったけど、極力地産地消を心がけているとのこと。

ガリシア産のタコのグリル

びっくりしたのが、このお店独自の二酸化炭素排出量レポートを出している点。これは毎年行っているらしい。単にレストラン内の数値だけではなく、たとえばある従業員が出勤すると、通勤によってどのくらい二酸化炭素が出るかとか、そういうのも数値化しているみたい。従業員一人ひとりのレベルで数字を見ているのがすごい。そこまでかするのかという。

熱を込めて語るオーナーの姿を見ていると、パフォーマンスではなく本気で取り組んでいるのが伝わってくる。使用済みの食用油はドバイの別の企業に引き取ってもらい、リサイクルしてバイオディーゼル燃料に変えているという話だった。

厨房でのサステナブルな取り組みを説明するオマールさん

最初にモクテル(ノンアルコールカクテル)が出たんだけど、ストロベリーやトマトなど様々な野菜やフルーツの余った部分をミキサーにかけたのか、それらの出汁のような不思議な味わいのドリンクだった。でも炭酸が入っていて、おいしい。ちゃんと飲み物として成立している。食材を無駄にせず最後の最後まで使い切るのが伝わってくる。

余った食料を無駄にしないモクテル

また、「YESTERDAY’S BREAD」という名物料理もあって、これは名前の通り「昨日の(残った)パン」を活かして作った料理なんだけど、トマト味でおいしかった。

YESTERDAY’S BREAD

全部で10皿以上あっただろうか。おいしい料理を堪能した。

しかし、この日はあと2つ、お店を訪ねるのだった。また次の記事で。

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