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配光データのよみかた

今回は設計者の方たちからご要望をいただいていた「配光データの読み方」についてまとめました。
この記事の内容を理解していただくことで、器具スペックの比較をすることや空間がどんな雰囲気になるのか、といった部分の理解が進むと思います。


まずは光の特性を知る

光の減衰

光の減衰には「逆2乗の法則」というものが適用されます。

物理量の大きさがその発生源からの距離の2乗に反比例するという法則である。

Wikipediaより

私には学がないのでこの言葉の意味はよくわからないのですが、簡単に言ってしまえば「距離が2倍になるとパワーが4分の1になる」「距離が3倍になるとパワーが9分の1になる」ということです。
下の図をみていただくとイメージしやすくなると思います。

逆2乗の法則の概念図

光の拡がりについて

光の拡がりかたには高校生の頃に習った「三角関数」をつかって求めることができます。

照射範囲の計算方法

ここで算出した「2b」の値 = 照射範囲の直径は、照射距離に正比例します。
光の減衰よりもわかりやすくて助かりますね。

配光データのよみかた

配光データとは

各メーカーのカタログやウェブサイトにのっている下図のようなものが配光データとよばれるものです。

配光データの例

ざっと確認したところ、器具にもよりますが
ENDO、DAIKO、KOIZUMI、MAXRAY、YAMADAなど
国内主要メーカーは照度角とビーム角ともに記載されていました。
Panasonicはビーム角がメイン、ModuleXは照度角のみなど、このあたりの考え方はメーカーによってバラつきがあるようです。

ビーム角は「光度」を基準につくられており、照度角よりも光のかたちを正確に捉えることができます。ただし「水平面のどのくらいの範囲を照らせるのか?」といった照明計画するうえでの重要なポイントを確認することができないので、私の場合は主に照度角を参照しています。

1/2照度角とは

水平面の直下照度(最大照度)が2分の1になる点の開き角のことです。
なぜ2分の1なのか、という理由を私は知らないのですが
人は明るさの違いを感じるためにおよそ2倍の照度差が必要。といわれているため、それに由来しているのではないかと推測します。
正解を知っている方は教えてくださいお願いします。

1/2照度角はこんなふうに決められています

実際には1/2照度角外にも光は出ており、似たような配光データだったとしても見た目の光が似ているとは限りません。
光のかたちを正確に把握するためには、配光特性表や、照明器具から出ている光を基につくられたiesファイル、実機での確認が必須です。
配光データはあくまでも参考値として考えておくといいと思います。

配光データを読んでみる

光の特性や配光データのことがわかったところで実際の配光データを読んでみましょう。

こんなふうに読みます

左上に記載されている「1/2照度角」がいわゆる配光角です。
X軸は水平方向の距離(m)、Y軸は垂直方向の距離(m)を示していて1メートルごとに区切られています。

右のマトリクスに記載されているのが「◯m直下の照度(Lx)」
斜線とX軸の交差点に載っている数値が「◯m下の照射範囲(φ)」です。
この照明器具の場合は1m下の中心照度が1580Lx、照射範囲がφ728ということがわかります。

配光データで計算してみる

2m下、3m下などは配光データをみればわかりますが、5m下や2700mm下など、実際のプロジェクトにおける数値を求める場合についてお伝えします。
これはとても簡単で、記事の冒頭にある「逆2乗の法則」を使います。

例えばCH2700の空間の床面に落ちる光を調べたい場合
1m直下照度が1580 Lxなので、、、
直下照度 : 1580(m) ÷ 2.7(m) ÷ 2.7(m) = およそ 217 Lx
1m直下の照射範囲がφ728なので、、、
照射範囲 : φ728 × 2.7(m) = およそ φ1965
とても簡単です。

じゃあCH2700の空間でキッチン上(FL+850)の光を調べる場合は!
2.7(m) - 0.85(m) = 1.85(m)
1m直下照度が1580 Lxなので、、、
直下照度 : 1580(m) ÷ 1.85(m) ÷ 1.85(m) = およそ 462 Lx
1m直下の照射範囲がφ728なので、、、
照射範囲 : φ728 × 1.85(m) = およそ φ1347
被照射面までの距離を計算してあげれば余裕です。

これさえできれば照度分布図がなくてもある程度の明るさを把握することができます。

まとめ

いかがだったでしょうか。
これまでとっつきづらかった配光データが簡単に読めるようになったと思います。
ここまでご覧いただいたところ恐縮ですが
私は自作のスプレッドシートで「照度角」と「天井高」「任意の作業面高」を入力するだけで勝手に照度と照射範囲を算出してくれるツールをつかって実務を行なっています。上記の記事をまったく読まなくても使えます。

Googleスプレッドシートを配布しますのでご興味のある方はAURORAウェブサイトのContactもしくはInstagramのメッセージまでご連絡ください。

今後も照明に関する、ためになる記事を投稿していきますので
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