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コクランレビュー 膝OAに対する膝装具と足部装具の効果

コクランの膝OAに対する装具の効果をまとめてみます。


臨床でよく経験すると思いますが、膝OA患者さん。変形が強かったり、体重が重かったり、なかなか痛みに対しての治療に難渋する事が多いと思います。

そこで一つの治療法として登場してくるのが装具です。

膝装具の良い点としては、装着だけすれば即時的にストレスを軽減できる点です。膝内反ストレスが痛みの原因だとすると、物理的に内反を制動する力を膝装具が担ってくれます。

膝装具の悪い点としては「着けるのが面倒、着けにくい」「つけても痛い、効果を感じない」「見た目が悪い」といった事が経験上よくあります。


足部装具=インソールの良い点は靴に着けてしまえば装着の煩わしさがありません。足部の回内から膝の内反ストレスを軽減する事が出来ます。

インソールの悪い点としては室内など靴を履かない場面ではインソールが着けられないといった事があります。


コクランレビューについて見ていきます。


https://www.cochranelibrary.com/cdsr/doi/10.1002/14651858.CD004020.pub3/full/ja




変形性膝関節症の治療としての膝装具と足の装具
研究の論点
このコクランレビューの要約は、変形性膝関節症患者の治療として膝装具や足・足関節の装具を使用することの効果について、調査によりわかったことを紹介するものである。我々は2014年3月までのエビデンスを調査した。13件の研究(1356名の参加者)と今回の更新で新たに6件(529名の参加者)を追加で採用した。
研究の特性
我々は、膝装具(外反膝装具、中間位の膝装具、ゴム製の膝サポーター)もしくは足の装具(外側または内側ウェッジインソール〈訳注:外側または内側が厚めの部分的な中敷き〉、普通の中敷き、靴底の硬さが変更可能な靴もしくは靴底の硬さが一定の靴)での治療を受けている、または治療されていない初期から末期の膝OAの患者(ケルグレン・ローレンス分類〈訳注:膝OAの分類で数字が大きくなるほど重症〉グレードⅠからⅣ)の経過について報告している研究を採用した。
背景:変形性関節症とは?膝装具や足の装具とは?
変形性関節症は、最もよく起こる関節炎のひとつで、手関節、股関節、肩関節や膝関節で起こる。変形性関節症では、骨の関節面を覆う軟骨がすり減り、痛みや腫脹(腫れ)を引き起こす。変形性関節症は、膝の様々な部位で起こることもあれば、膝全体に影響を及ぼすこともある。部位によっては、関節のアライメント(膝関節の上下の骨である大腿骨と脛骨の位置関係)が変わることもある。
膝装具や足の装具は、身に着けることで膝関節を保護する道具である。足の装具とは、靴の中で足がずれない様にする中敷き(インソール)である。膝装具は金属やスポンジ、プラスチック、ゴムやバンドを組み合わせて作成する。膝装具は、使用する人の膝に合わせて特別に採型される場合もある。
主な結果
このレビューは、変形性膝関節症の人々の経過を示す。
膝装具なしと比較した膝装具着用の効果:
・12カ月後の痛みの軽減や膝の運動機能と生活の質(QOL)の改善について、ほとんど差がないか全くないかもしれない(低い質のエビデンス)。そして、
・どちらのグループも効果がなかったので、多くの患者が初期治療をやめた。
関節のこわばりや治療の失敗(手術が必要になったなど)についての報告はなかった。
インソールなしと比較した外側ウェッジインソール使用の効果:
・痛みの軽減について、ほとんど効果がないか全くないかもしれない(低い質のエビデンス)。
運動機能や関節のこわばり、健康関連QOL、治療の失敗または副作用についての報告はなかった。
普通のインソールと比べた外側ウェッジインソールの効果:
・12カ月後の痛みの軽減や運動機能、関節のこわばり、QOLの改善について、ほとんど差がないか全くないだろう(中等度の質のエビデンス)。
治療の失敗または副作用についての報告はなかった。
外反膝装具と比べた外側ウェッジインソールの効果:
・6カ月後の痛みの軽減や運動機能の改善について、ほとんど差がないか全くないかもしれない(低い質のエビデンス)。
関節のこわばり、健康関連QOL、治療の失敗または副作用についての報告はなかった。
多くの場合において、副作用や合併症についての正確な情報は得られていない。副作用には膝の裏側の痛みや腰痛、足裏の痛みや皮膚の炎症なども含まれるかもしれない。
エビデンスの質
・低い質のエビデンスとされているのは、「膝OAの人が膝装具を使っても、痛みの軽減や膝の機能の改善、QOLの向上はほとんどないか、全くないかもしれない。」ということである。
・中等度の質のエビデンスとされているのは、「膝OAの人が外側ウェッジインソールや普通のインソールを使っても、痛みの軽減や膝の機能の改善、関節のこわばりの改善はほとんどないか、全くないだろう。」ということである。

コクランレビューでは膝OAに対しての装具は痛みやQOLについてのエビデンスはあまりないという結果になりました。

これをみると膝装具、インソールって効果ないじゃん。って思うかもしれませんが、研究をいろいろ見てみると効果が出ている論文もいっぱいあります。

膝装具やインソールは痛み改善の可能性がある(しいてはADLやQOLなど)ということに留まっている状態の様です。

膝の状態や装具の種類など様々な中でエビデンスを作成するとなるとなかなか難しいのかもしれませんね。

言い換えれば全員に使用して全員良くなるわけでは無さそうです。

筋力増強や有酸素運動などはガイドラインでグレードAとなっております。膝装具やインソールは一つの治療手段として活用し同時に運動療法や物理療法も併用して総合的に治療していく考え方が必要そうです。




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