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膝を撮る日ざます #特別編

膝小僧。

この膝小僧さんをしげしげと眺めた経験はあまりない。
ワタクシが立っているならば

当然
小僧さんもワタクシに前へ倣えで前方を向いているし、
前を向いて生きているワタクシは立ち止まって
小僧さんの様子を伺う機会も殆どない。


そもそも膝小僧に対して美意識を以て生きてはこなかった。

これでもかつては膝を抱えて体育座りなるものを
した経験があるはずである。

しかしながら、
残念なことにその時の膝小僧さんの様子や
コンディションについて記憶に一切残っていない。


体育座りを卒業して久しい今。
この年齢で初めて膝小僧さんを意識することになろうとは。


さて。
この膝小僧さんを意識せざるを得なくなったのは
先日読んだ本の中に書かれていた話がきっかけである。

その内容を膝小僧さん中心に要約すると

“膝が綺麗であるかどうかで
 その膝小僧さんの持ち主の性格を妄想する"

というもの。

ほお。
手相、顔相など
色々相手について判断する要素があるが


ここにきて

膝小僧

とは。

膝小僧相?
んー呼びにくいので
膝小相?
膝相?

そもそも意味が違ってくるのか。


膝相を検索したら仏像の写真がヒットしたので
見なかったことにして

ワタクシの膝小僧さんの話に戻ろう。

さて、その本を読んだワタクシは
改めて己の膝小僧さんと向き合うことを決心した。


色々と人生を振り返った結果。

どうやらワタクシにいらっしゃる膝小僧さんは
綺麗でいたことがない。

誠に申し訳ない事実である。

現に今も畑の中で四つん這いで移動している。


人生で自身の最速の移動手段がハイハイである
ベイベー同様の膝小僧さんの稼働っぷり。

更に畳やフローリングではなく
木の根や石ころの転がった畑を
ハイハイスタイルで移動しているのだから
膝小僧さんの受けるダメージは大層なものであろう。

思えば、ここに来る前なんぞ
じゃがいも畑の中で芋と一緒に転がっていたので
常に脚はアザだらけ。

ジャガイモ畑を転がって生活していることを
知らなければ脚全体にあるドットは
かなりぎょっとするものであろう。

膝小僧さんはクッションとして活躍していたので


赤い日もあれば
青い日もあって
治りかけて黄色くなっている日もあって

信号機のようにコロコロ色を変えていた。


更に遡れば、
幼少期から

木に登っては落ち
川に入れば転んで全身水に濡れ
濡れたからにはそのまま川の流れに身を任せて
石にぶつかりながら川を下り

下りきった川の土手を転がりながら登り
登ったからには滑り降り

目を閉じて歩き
田植えを終えたばかりの田んぼに
落ちた

ワタクシの人生で膝小僧さんが
ツルツルで居られるわけがないのだ。


今年の正月を思い出して欲しい。



齢30を過ぎたとて段ボールを持って
芝生を滑り降りるところから一年をスタートさせているのだ。


改めて膝小僧さんへの美意識と無縁であることを思い知る。


さて。
膝小僧さんに対する美意識の頗る低いことに気づいた
ワタクシは風呂上りに膝小僧さんのコンデションを
人生で初めてチェックする。

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うむ。
どうやら乾燥注意報だ。

いや、
もう警報レベルである。

そこで初めて焦ったワタクシは
新品のクリームを引っ張り出して
膝小僧さんの皺の奥まで丁寧に塗り込んでいく。

この大根がおろせそうな膝小僧さんに
ハリやツヤという単語がしっくりくる日があるのだろうか。


いつどこで誰に膝小僧相を見られているか分からないのだ。
膝小僧さんに対する美意識をもつ生活を始めてみようと思う。


そういえば。
最後に思い出した。
昔から膝小僧さんを意識するスペシャルウィークがあった。

そのスペシャルウィークにだけ
膝小僧さんには相棒のかさぶた君がいた。

膝小僧さんは気にならなかったが
かさぶたさんは気分屋なので膝小僧さんと
コンビを組んでは解消するのを繰り返していた。

気分屋のかさぶた君をもてあそびたい
性格の悪いワタクシは
そのスペシャルウィークだけ膝小僧さんに触れて
普段向けない意識を向けた。

膝小僧さんとかさぶた君のコンビ解消を
自分の手でコントロールしていた。

見事に
美意識からかけ離れた膝小僧さんへの意識である。


それでは
綺麗な膝小僧を撮る日ざます 
が来ることを祈ってこの文章を終えることとする。



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