コミュニケーションで諦めた方がいいこと
学習塾で仕事をしていると、親御さんや指導する大学生からこんな言葉をよく耳にします。
「何度言っても勉強してくれない」
「何回も同じ説明をしても理解してくれない」
その次にくるのが
「先生から厳しく言ってやってください!」です。
結論からいうと、
先生という立場の人間から、同じことを厳しく言ったところで結果は同じです。
諦めた方がいいこと
私は基本的に「人間は分かり合えない生き物」だと考えています。
『話せばわかる』かの犬養毅内閣総理大臣は五・一五事件で首相官邸に押しかけた将校たちにそう訴えたそうですが、「問答無用!」と射殺されてしまいました。
だからこそ、ほんの少しでもわかり合えたときの喜び、驚き、感動を大切にしたいと思っています。
コミュニケーションにおいて、諦めた方がいいと思うことがあります。
他人を言葉で変えることはできない
子どもに勉強して欲しい。部下にもっと熱意を持って仕事をして欲しい。
そんな時、どうしても私たちはストレートに
「勉強しなさい!」
「もっと真剣に仕事しろよ!」
と伝えてしまいがちです。
ただ、これ、あくまでこちらの要望をぶつけてるだけなんですよね。
相手のためを思って言っているんだとしても、相手が勉強を頑張ったら絶対幸せになる、真剣に仕事をしたら必ず良いことがあるはずと思うのは、こちらの勝手な妄想でしかないのです。
人間は物事を強制されればされるほど、モチベーションが下がります。
「勉強しなさい!」と言われて「よし!やる気出てきた!勉強しよう!」とエンジン全開になる子どもを、私は見たことがありません。
言葉でいくら正しいことを伝えても、他人の心は変えられないのです。
ただ、矛盾を言うようですが人間を変えられるのは人間しかいない、とも思っています。
他人は変えられないが、影響は与えられる
好きなアーティストの歌詞。尊敬する先生の言葉。
トップアスリートの勇姿。被災地でも前向きに生きる人々。
私たちは様々な場面で、人間の言葉や生きる姿に励まされ、勇気をもらい、前を向くことができるのも事実です。
ただ、これらに共通して言えるのはあくまで何かを強制するものではなく、その人自身の生き方・考え方に触れているだけだということです。
人生は辛いことだらけに見えます。
そんな中、懸命に、誠実に、前向きに、楽しそうに生きる人たちの姿に私たちは惹かれ、その人から発せられる言葉に影響を受けながら、変わることができるのだと思います。
相手を変えたいのなら、自分が変わろう
私がコミュニケーションにおいて一番気をつけているのは「伝え方」です。
例えば、海外に行って駅までの道を現地の人に尋ねたら、言葉が全く通じない状況だとします。どうにかしてその人から聞かなきゃないけないと思ったら、言葉ではなく、ジェスチャーで伝えたり、絵を描いて伝えたり、伝え方を変えるのではないでしょうか。
同じ言語を使っていても、気持ちまで100%伝わる訳ではありません。
だからこそ、
その言葉は相手のテンションを上げるのか?下げるのか?
100%正直に伝えられているか?自分の価値を押し付けていないか?
と自分の伝え方に改善の余地はないか、考えることが大切だと思うのです。
そして何より大事なのは、言葉を話すその人が影響力を持った人間かどうかということです。学歴や肩書き、過去の実績などではなく、今現在魅力的な生き方をしている人間かは、顔を合わせる時間が長ければ長いほど、相手にだって伝わっているはずです。
また矛盾を言いますが、魅力的な人間であり、かつ正しいことを伝え方を変えて伝えようとする先生が語るのなら、子どもに「よし!勉強しよう!」と影響を与える可能性はあります。
そう信じて、また一日頑張ろうと思う学習塾スタッフの独り言でした。笑
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?