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書評『国際情勢でたどるオリンピック史』村上直久著、平凡社新書、2024年

オリンピック全史をたどる本だ。

元ジャーナリストで、アカデミズムにもいた著者が書いた本であるため、「コンパクト」ながら新書ではなかなかお目にかかれない「深み」のある本である。

オリンピック全史を知りたい方は、まず、これを読むべきであろう。巻末に参考文献があげられているのもいい。

新書という限られた紙幅の中で、的確に「エピソード」が取り上げられているため、この本一つで、「国際関係史入門」に耐えうる「レベル」に達している。

白眉は、「第5章 幻の東京オリンピック」、「第6章 アジアで初開催の一九六四年東京オリンピック」であろう。国際政治の中で、日本がどうして、「オリンピック」をやりたかったのが書かれており、はじめて知ることが多かった。

良書だ

『オリンピックは、...国際政治の一つの有力な「アクター」「プレイヤー」となった』(プロローグより)というのが、筆者の見立てである。

そのことについては、あまり重点を置いて書かれていない。やはり、国際政治に翻弄される「オリンピック」が主題であろう。

「オリンピック史」に興味のある方は、ぜひ、手に取ってほしい。


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