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①さぁ、話そう【短編エッセイ】ハタチの私へ。人生計画

【自分が何でもできると思っているだろう.....】

「子曰く、吾十有五にして学に志す、三十にして立つ、四十にして惑わず、五十にして天命を知る、六十にして耳順う、七十にして心の欲する所に従えども、矩を踰えず」

----------私は十五才で学問を志し、三十才で学問の基礎ができて自立でき、四十才になり迷うことがなくなった。五十才には天から与えられた使命を知り、六十才で人のことばに素直に耳を傾けることができるようになり、七十才で思うままに生きても人の道から外れるようなことはなくなった。 --------------------------------------------------------------孔子『論語・為政』より

 阪急神戸線の王子公園駅より東に延びる水道橋筋商店街。地元の人が汗を流す銭湯の並びに老舗の居酒屋があった。しばらくして、福寿の熱燗を一口飲んだあと【40代の私】は、【20才の私】にそう言った。

一瞬なにを言い出すのかと【20才の私】はこちらを見たが、目の前でグツグツと煮えている具材にすぐ目を向け、言葉の真意を考えているようだった。

大瓶のビールを手酌で小グラスに注ぎ、2杯目を早速始めていた。こちらも負けじと熱々の御猪口を空けると、これまた熱々の一合徳利を熱くもないそぶりで持ち、次を注ぎいれた。

はいっ。大根とスジね。こちらは大根とジャガイモね。味噌はかける?

おかみさんの明るい声と笑顔で、【40代の私】は我に返り、そんなに急ぐこともないか。まずは、摩耶山で冷え切った体を温めてから、ゆっくり話をしよう思った。

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