絵本に点字をつける - 道具や便利なサイトまとめ - | 絵本作りノート No.003
こんにちは。
手作り絵本作家のまえだよしゆきです。
2023年から、見ても楽しい、触っても楽しいという「さわる絵本」を作り始めました。
このジャンルの絵本では、「誰でも読める」ことが求められているため、点字を入れる必要があります。
私はこれまで点字を書いたことがなく、「どうしたらいいんだろう?」とわからないことだらけの状態からスタートしました。
「点字を書く方法って何があるの?」
「何を用意すれば点字が書けるの?」
点字初心者が浮かんだ疑問に対して、自分なりに調べたことをまとめていきます。
点字とは
点字は、6つの点の組み合わせによって文字を伝えます。
漢字のように意味を表した文字ではなく、ひらがなやカタカナのような発音を表す文字(表音文字)になります。そのため、意味がまとまった言葉ごとに区切る「分かち書き」をしたり、「わたしは(私は)」の「は」を「わ」にして書いたり、読みやすいようにするためのルールがあります。
点を指先で触れることで、文字を読みます。
このボコッとした点の集まりは、エレベーターのボタンや洗濯機のボタン、缶ビールの蓋など、身近なところで見かけることができます。
また、絵本でも点字付きの本が出版されていたり、既存の本に点字を付けるという活動もあります。
点字を書く方法
点字は手で書く方法と機械を使って書く方法があります。
「手書き」の場合
点字盤(てんじばん)や点字器(てんじき)と呼ばれる道具を使います。
道具は比較的安価なものもあり、ネットショップからでも購入できるので手に入りやすいです。
点字器の使い方は、まず台紙を固定して、
点筆(てんぴつ)と呼ばれる先の尖った道具で、
枠の中を押し込んでいくと、
紙に盛り上がった点をつけることができます。
手書きの特徴としては、触る面を裏返しにするので、書く時は点字が左右反転した形になります。
点を間違えて書いてしまっても、平らに凹ませられれば修正することもできます。指先で点を感じられるような、不十分な修正だと誤読が起きてしまうので、そもそも点を書き間違えないことが大切です。ただ、「点を間違えて書いたらすべてやり直し?」と思っていた私にとっては、「修正できる」とわかると気持ちが楽になりました。
余分な点を消すための道具「点消棒」というのもあります。
「機械」の場合
タイプライターのように、キーを打てば点字が書かれていくものや、プリンターのようにデータを送れば自動で点字が出力されるものまで、いろいろな機械があります。手書きに比べると書くスピードが速いのと手の疲労は少なそうです。
気になった製品を2つ紹介します。
1つ目は、「テプラ」PRO SR6700D(株式会社キングジム)です。
事務用品でよく目にするテプラのシールに点字が書けるというものです。
点字にしたい文字を入力すれば、自動的に点字に置き換えて出力してくれるので、点字を覚えていなくても大丈夫です。
ただ、とても使い勝手が良さそうな製品なのですが、製造が終了しているため、手に入れるのが難しそうです。
2つ目は、点字ラベラーBL-1000 LINK(ケージーエス株式会社)です。
機械に直接入力せずに、スマートフォンやパソコンからデータを転送すると、ラベルに点字をプリントしてくれます。自動翻訳もしてくれるので、こちらも初心者でも使えそうな製品です。
私はそもそも点字を書くことが初めてだったので、実際に点を一つ一つ書いていきたいと思ったのと、思った以上に道具が集められやすそうだったので、「手書き」の方法を選びました。
手書きのための道具を揃える
用意した道具は「点字盤・点字器」と「透明タックテープ」の2つです
点字盤・点字器
点字盤・点字器は、紙を固定する点字板と点字の間隔を整える点字定規、点を書く点筆がセットになったものです。
A4ほどの大きさの紙に書くことができるものが標準点字盤と言い、何行も続けて書きたい時はこちらが良さそうです。
今回作る絵本には、あまり行数が必要ではなかったので、小型の点字器にしました。
小型の点字器でも、紙をスライドさせていけば、たくさんの行を書くことができます。
透明タックテープ
このテープはプラスチックでてきていて、耐久性があります。長く使われるものでも、点の形が保たれます。
裏面が接着できるようになっているので、点字を書いたらすぐに絵本に貼ることができます。
また、透明なので貼ったところが隠れません!
印刷した点字が見えるようにしたかったので、ピッタリなテープでした。
サイズは幅9mmと12mmの2種類あります。
どちらも小型の点字器に固定することができます。
今回は使いませんでしたが、シート状のものもあるようです。
長い文を一度に書きたい時は、こちらを使うのも良いですね。
サポートしてくれるWebサイト
かな漢字から点字へ翻訳
点字には点字を読みやすくするためのルールがあります。
初心者の私には、まだ何が正解か手探りな状態なので、少しでも指針になるものがあればと思い調べていると、「点字自動翻訳システム」というWebサイトに出会いました。
このサイトでは、かなと漢字が混ざった文章から、自動的に点字を翻訳してくれます。
例えば以下の文章を入れると
点字にしたときのイメージがグッと掴めるようになりました!
まったくゼロベースの状態では想像がつかなかったところが、このサイトのおかげで点字の文章が手の届きそうな感覚になりました。
ただ、意識しなければならないことは、この翻訳をすぐにそのまま使うことはせずに、自分の知識と照らし合わせてみたり、実際に点字が読める方に読んでもらって、「伝えたい内容が伝わるか」を確認する必要があります。トライ&エラーを重ねることで、より精度が増した文章が組めるでしょう。
点訳フォーラム
文章を点字に訳していると、わからないことがたくさん出てきます。
例えば、
「一期一会」のような数字が入っている四字熟語の数字は、音(いちごいちえ)を点にするの?それとも数字(1ご1え)で点にするの?
というような疑問など、やってみると「どれが正解?」というものが出てきます。
身近に点字がわかる人がいれば聞けるのですが、そうもいかず、これまたネットで調べていると「点訳フォーラム」というサイトに出会いました。
例に挙げた数字の表現の悩みについてもまとまっています。
点字の知識もたくさんつまっているサイトで、知りたいことがあったらまずは訪ねてみるといいでしょう。
最後に
今回は、絵本に点字をつけるために調べたことや準備した道具などを紹介しました。
点字に興味がある方の助けになればうれしいです!
ちなみに、無事に絵本に点字をつけることができました!
イタリアに送ったさわる絵本の作品について書いているので、過去の記事もぜひご覧ください。
このノートについて
このノートでは、絵本やイラストレーション、デザインなどについて、学んだことや感じたことなどを書いていきます。
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