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イタリアのコンクールを目指した話| 絵本作りノート No.002

こんにちは。手作り絵本作家のまえだです。

さて、今回はイタリアで行われた「さわる絵本」のコンクール「TOCCA A TE!」の応募を目指して取り組んだ絵本制作の様子を書いていきます!

*前回の続きでもあるので、こちらも合わせてご覧ください↓↓↓


さわる絵本のコンクール「TOCCA A TE!」とは?

「TOCCA A TE!」は、イタリアで2年に1回行われている、さわる絵本のコンクールです。イタリア全国視覚障がい者支援施設連盟によって、見るだけでなく、触っても楽しめる絵本が生まれることを目的として開催されています。

TOCCA A TE! 2023ホームページ(イタリア語)↓

絵本を用意!試作一号

2023年7月に参加した板橋区立美術館でのワークショップ「絵本講座 さわる絵本づくり」で作った「あるこう(仮)」を元にしてブラッシュアップしていきました。

ワークショップで作ったさわる絵本
2本の指で足跡を追って遊ぶ絵本

2本の指を足のようにして、足跡を辿りながらいろいろな場面を歩いていく絵本で、そのアイデアを大切にしながら、より中身が面白くなるように磨いていきます。

また、初めて絵本用の文章として点字を書きました。点字を書くための道具や絵本にどうやって貼り付けるか、そのあたりはまた話が長くなるので、次回以降に書きます。

使った点字器とテープ
絵本の文章に点字を書いている様子

出来上がったのが「あしあと」です。試作一号目として、8月にワークショップの参加者内で開催した試作体験会に参加します。

試作一号目の表紙


アドバイスを受けて改善!

コンクールの応募締切まで約1ヶ月と迫った8月末ごろに、ワークショップに参加していた中から有志で、絵本の体験会を開きました。
そこでは参加者内での話だけでなく、全盲の方にもお越しいただき、感想や改善点のアイデアを話し合いました。

試作会には試作一号目「あしあと」とワークショップで作った「あるこう」を持っていきました

そこで得た改善点として、「点字を読む位置」はとても考えさせられる話でした。

点字の位置

この絵本の基本的な構成は、左ページに文章、右ページに絵という定番的な形になっており、文書の位置は左ページ中央にしていました。
その状態で体験してもらったところ、「文章の位置も下にした方がいいかも」という感想が!
足跡が下から上へと流れているため、文章を触ってから絵に触れるという手の動きを考えると、文章が足跡の始まりの位置に近くなるように、下に揃える方が自然とのこと。「確かに!」と納得のお話で、「手の動線」という点は今後の制作にも活きると感じました。

試作一号の文章の位置はページの中央
文章の位置を下にずらし、絵の始まりに合わせた

より面白くなるように

絵本としてのおもしろさをアップ!

試作を作ると改善点以外にも「これ追加したい!」というアイデアの欲も出てきます。ということで、ストーリーの整理もする必要があったこともあり、猫の尻尾を避ける場面や靴を履いてもう一度絵本を遊ぶ仕掛けなど、おもしろ要素を加えて行きました。

寝ている猫の尻尾を踏まないように避けて

靴を履いてもう一度読む仕掛け

最後のページに指にはめる靴を用意しました。この靴を履いて再び絵本を読んでみると、直接絵本に触れた時とは異なる触り心地を感じることができます。

靴を指にはめて2周目を読む
直接触れた時とは違う触感が

絵本完成!

9月末。まだまだ改善の余地はありますが、ひとまずアイデアをまとめ、応募できる形にはできたので、イタリアに送ります!

イタリアに向けて発送!しかし…

海外に荷物を送ることが久しぶりで、改めて国際郵便について調べていたら、重宝していた国際eパケットが2023年9月末をもって廃止するとの情報が!
ちょうどコンクール申し込み締め切り日が10月中旬で、届け目安が10日前後ということだったので、国際eパケット受付最終日に発送しました。

そして、メールで報告される荷物の状況を確認する日々が始まります。
「今、税関通りました!」
「今、日本を飛び立ちました!」
「今、イタリアの税関に到着しました!」
順調に届く様子の通知。
ただ、ここまではよかったのですが、
この後連絡は途絶え、2週間経ち...3週間経ち…

そして、コンクールの審査日に間に合わず!!

とても残念...結局到着したのは発送から1ヶ月後でした...

コンクールの結果

2023年は10月26日から29日、ボローニャで開催され、約180冊の応募作品が集まりました。
イタリア国内のコンクールのため、参加者はイタリアの方が多いのですが、今年は日本でワークショップが開かれたこともあり、日本からの作品も審査対象になりました。

現地の様子(Libri tattili illustratiのFacebook)↓


その後

コンクールから数日後、絵本が連盟に着いたと連絡がありました。
コンクールに参加できなかったのは残念でしたが、無事に届いたようでとりあえずほっとしました。
連盟からは、「ぜひこの絵本を多くの人に見てもらいたい」と言ってもらえたので、イタリアで活用してもらえたら嬉しいです。

コンクールに向けて作った3冊の絵本

これからも「さわる絵本」作りは続けていくつもりです。
第2弾として、「だれのかな?」というミニサイズの絵本を試作しました。
これについてはまた今度書きます!

新しい試作絵本「だれのかな?」

このノートについて

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