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「さわる絵本」始めました | 絵本作りノート No.001

こんにちは。手作り絵本作家のまえだです。

手作りで絵本を作り始めて10年弱。
今まで「日常からの再発見」や「子どもと大人をつなぐ」など、いろいろなメッセージを込めながら絵本を形にしてきました。
そんな中、今年「さわる絵本」という絵本作りの活動をしている方に出会い、その取り組みが素晴らしいなぁと感じまして、自分なりに今後取り組んでいきたいと思いました。
今回のノートではそのきっかけを書いていきます。


「さわる絵本」とは

「触る絵本」と聞くと、一部が布でできていたり、でこぼこした紙や穴を開けた紙が使われ、見るだけでなく、触る感触の楽しさを取り入れた絵本が思い浮かばれるでしょう。これらは書店でも見かけることもあり、そんなに珍しくないものかもしれません。
ただ、今回出会った「さわる絵本」には大切な視点が含まれています。それは、「触るだけで絵本の内容が伝わる」という点です。
この視点があるかないかは大きいもので、なぜならこの視点を持った絵本は全盲や弱視の方も取り残さない絵本になれるからです。

いろいろな素材や手法を使って、触感で絵の内容を伝える

「さわる絵本」と出会った機会

出会った機会は、7月に東京都板橋区立美術館で行われた「絵本講座 さわる絵本づくり」です。
このワークショップではイタリア全国視覚障がい者支援施設連盟のピエトロ・ヴェッキアレッリ氏を講師として招き、3日間かけて「さわる絵本」の基本的な考えや活動を知り、実際に絵本を作ってみるというものでした。

ワークショップで作った触るイラストパネル

そのワークショップの中では、自分で作った触る絵を全盲の方に触って感想を伺えたり、点字や製本方法について学べたり、3日間とは思えないほど濃い内容の経験ができました。

初めて作った「さわる絵本」

このワークショップの中で作った絵本が「あるこう(仮)」です。
2本の指を人に見立てて、絵本の上で足跡を追いかけたり、芝生や石畳、海や雪などいろいろな外の景色を歩いていく絵本です。

「あるこう」の表紙
ゴムシートで表現された足跡
本物の木の枝と土を表現した紙やすり
海の波をビニールシートで表現

ワークショップの最初の2日間は講義や他の制作時間だったので、最後の絵本制作にかけた時間は最終日の5時間くらいでしょうか。なかなかハードな時間でした。

この絵本をベースに、ブラッシュアップを重ねたものをイタリアのコンクールに応募しました。そのコンクールと作品については、また後日書こうと思います。

「さわる絵本」を作り終えて

「さわる絵本」に出会い、制作する経験を通して、「誰も取り残さない絵本」を作るという目的は、改めて私にとって大切にしたい視点だと感じました。
なぜなら、「誰も取り残さない絵本」は「誰もが使う可能性がある絵本」だからです。病気でも事故でも、身体の状態が突然変わることはあり得ます。今まで親子を繋いでいた絵本が、明日にはその役割を果たせないかもしれません。誰でも同じ体験ができ、感動し、同じ話ができる。そんな機会が少しでも提供できるような絵本づくりがしたいなと、感じました。

まだ微力ですが、何か作れないかなと日々考えていきます。

トークイベントに参加します

このワークショップをきっかけに、イタリアで行われたさわる絵本のコンクール“Tocca a te“を目指して、さわる絵本を制作し始めました。
幸いにも、できた絵本について話す機会ができましたので、ぜひご参加ください↓
*11月3日(金)から先着申込が始まります!

トークイベント「イタリアのさわる絵本とコンクール“Tocca a te“への挑戦」

講師:(オンライン出演)
ピエトロ・ヴェッキアレッリ(イタリア全国視覚障害者支援施設連盟)、
森泉文美(ボローニャ展コーディネーター)ほか
日時:2023年12月3日(日曜日)午後2時~4時
会場:板橋区立美術館1F講義室参加費無料定員40名(先着)
申込方法:11月3日(金曜日・祝日)午前9時よりインターネットで申込の受付を開始します。
以下のフォームに必要事項を記入・送信してください。

板橋区立美術館

このノートについて

このノートでは、絵本やイラストレーション、デザインなどについて、学んだことや感じたことなどを書いていきます。
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それでは、また次回。


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