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「思いつかないモノ」を思いつく。という話。

デザインという行為は「情報の再構築活動」。それは、無限にあるパズルのピースを組み合わせるようなイメージ。なのですが。。。面白そうなモノを「思いつく」だけなら、すぐに出来ちゃいます。そんな手法のお話を。

先入観を逆に利用してやろう

前回は、類似品を集めてみることで見えてくるあたりまえ=「先入観を疑おう」という話を投稿いたしました。
そのステップとしては、
 ① 類似品を集める
 ② 共通点=あたりまえ=先入観を見つける
 ③ 先入観を疑う
 ④ 手段や目的に立ち戻って考え直す
というもので、精度や信頼性が高いものの、それなりに時間がかかるものです。

今回はもっと単純でスピーディーなもので
 ① 先入観を書き出す
 ② 先入観とは異なるアイディアを出す
 ③ アイディアを喜ぶ人を思い浮かべる

というステップのもので、1日あればできるものです。

デザインを考える前には類似品のリサーチから先入観を見つけましょう。と書きましたが、今までに見聞きしたり使ったことがあるアイテムであれば、すでに先入観が出来上がっていることも多くあります。それを利用していきましょう。

まずは概論を図解してみると・・・

アセット 3

まず大きな円を書き(図左の円)、円の中に考えたいアイテムを書きます(図左・円の中央)。そして、そのアイテムについて「普通こうだよな」と思いつく先入観(図左:A~L)を周囲に書いていきます。いくつあっても構いません。間違っていても構いません。その次は、その「先入観」とは異なるアイディア(図左:A'〜L')を書いていきます。面白いかどうかを判断せずにまず書く(描く)!。勿体無いのはペンのインク代くらいのものです。

ここで半分が終了(笑)

アイディアを出してから「このアイディアって、こんな人なら喜びそう!」と想像できる有望なアイディアを見つけ出せばいいんです。


さて、事例を紹介してみましょう。

パスタメジャーをリデザインする

今回は大学の授業のために作成したものを使って説明していきたいと思います。 ※ 学生に説明した時に「パスタメジャーってなんですか?」と質問があって驚きました w

① 先入観を書き出す

アセット 16@3000x

さて、大きめの紙を用意していただいて、「円」とその中に「パスタメジャー」と書いてください。その周囲にパスタメジャーに対する「先入観」を書いていってもらうのですが、分類を使うと出しやすい人は2重の円にするといいでしょう。この時に書いた先入観は、長さは30センチ程度で、厚みは3ミリ程度の硬い板状のもので、丸い穴は3〜4個空いていて、金属か樹脂か木で出来ていて、不透明・・・といったものです。そう、人ぞれぞれで先入観は異なっていますし、間違っていても全く構いません。


② 先入観とは異なるアイディアを出す

アセット 15@3000x

次にその「先入観とは異なるアイディア」を円の外側に書いていきます。「30cm程度だったものを短いもの」にしたり、「3mmしか厚みがなかったものにすごく厚いもの」にしてみたり、「板状のものを面状や袋状にしたり」、、、、そう、間違いをこわがらず、役に立たないものでも大丈夫なので、思いつくままに描いてしまいましょう。「ひとこと説明」と簡単な「アイディアスケッチ」をポストイットに描いていくのがベストです。


③ それを欲しがる人を思い浮かべる

アセット 14@3000x

さて、ここで初めてアイディアの有用性について考え始めましょう。テキトーに出した玉石混合のアイディアを見渡して、「どんな人」なら「こんな風に喜んでくれそう」という感じるものを見つければいいんです。ほとんどは喜ぶ人が思いつかないアイディアかもしれません。でも、喜ぶ人のイメージが湧くものがいくつか出ていると思います。

この時、私は2つのアイディアに着目しました(ピンク色のポストイットがつけられたアイディア)。1つ目は「穴が複数個空いている」という先入観とは異なる「目盛りがついた大きな穴が1つだけ空いている」というアイディアで「1人分、2人分」ではなく「摂取カロリーで細かく測りたい人」が喜んでくれるはず!というアイディア。2つ目は「硬い」という先入観とは異なる「目盛り付きの柔らかな紐でできている」というアイディアで、そのコンパクトさと大容量を無段階で測れそうな雰囲気から「アウトドアで大量のパスタを茹でたい人が喜んでくれるはず!というアイディアでした。

アイディアを思いつくステップはイメージがお分かりいただけましたでしょうか?多分、何かしら着手する前には思いついていなかったものが思いつけると思います(複雑な文章w)

思いついたら、すぐ試作を!

アセット 17@3000x

アセット 18@3000x

アイディアを思いついたら、ぜひ身の回りにある材料でなんとなく実寸大のものを作ってしまいましょう。キレイに作り込む必要はありません。上の写真は「ざっくりと入れるだけで(麺だけの)摂取カロリーが測れるパスタメジャー」の試作品。下の写真は「しばるようにして大人数分を一気に測れるパスタメジャー」の試作品です。

作ってみたら、想像していた人が喜び方ができるかな?とリアリティーをもって感じることができますし、実際に使ってみたりもできるようになりますよ。


今回のまとめ

今までは弊社オリジナルブランドSOGUの商品を事例にして、デザインという行為は「情報の再構築活動」で、その「情報」にはどんなものがあるか。という投稿をしてきましたが、今回は別の角度から書いてみました。

決して忘れてはいけないのは「モノをデザインする前に人が喜ぶコトを発見しよう」というスタンスなのですが、今回はアイディアを出してから「喜ぶ人を想像しよう」というイレギュラーな手法もあるんだよという話になったのかと思います。

今回は少しのアイディアを出して、すぐに選択をしてみましたが、商品開発として選ぶためには、もっとたくさんのチェックポイントがあります。その視点はこちらの投稿にまとめています。

デザインをするための「情報」収集は、デザイン活動をスタートする前から始まっています。ぜひ様々なことに興味をもって、デザインをするための「情報」の引き出しをたくさん作っていってくださいね。

あ、この記事を気に入っていただける方は、弊社オリジナルブランドSOGUもきっと気に入っていただけるはず。一度のぞいてみていただければ幸いです。

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