「TOKYOオリンピック物語」 野地秩嘉 著 小学館文庫
1964年、東京オリンピック・・・。あの時の熱さを覚えています。首都高が出来上がり、新幹線が走り、津波のように東京オリンピックがやってきました。独走のアベベ、ヒートリーに最後に抜かれた円谷、水泳のドン・ショランダー、体操のチャフラフスカ、ボクシングの桜井孝雄、重量挙げの三宅義信、100メートルのボブ・ヘイズ。日本中が感動しました。
しかし、この本には、スター選手の活躍も、首都高や新幹線の快挙もほとんど出てきません。
出てくるのは、当時のバックヤードのデザイナー、カメラマン、料理担当、記録映画スタッフなど、大会を支えた人たちです。
亀倉雄策がリードしたポスターは圧巻です。アナログの当時のストロボを使って30回を超える取り直しを経て出来上がったポスターは芸術だと思います。当時7歳だった僕ですが、そのポスターは、はっきり覚えています。グラフィックデザイナーという職業が認知されたのはこの時からです。
東京オリンピック初のものはたくさんあります。
オリンピックのシンボルマーク、コンピュータを使った連日の国別メダル獲得数速報、ピクトグラム・・・なんとオリジナリティに溢れた大会だったのかと思います。世界各国の料理を提供した選手村食堂では、各国の選手の胃袋を満足させる料理を1万人分(たくさん食べるので、量的には2万人分)提供したのですが、これも画期的なことでした。また、市川崑が指揮した記録映画は、現在に至るまで、邦画観客動員数は、「千と千尋の神隠し」に次ぐ第2位です。
スタッフのメンバーもすごい。
亀倉雄策、福田繁雄、竹下亨、市川崑、黛敏郎、谷川俊太郎、岡本太郎、石津謙介、森英恵、横尾忠則・・・強烈ですね。
日本が元気な時代でしたね。
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