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腹式呼吸が睡眠と腰痛に与えるメリット

今回は、腹式呼吸が睡眠と腰痛に与える影響というテーマで述べていきたいと思います。

腹式呼吸とは


呼吸法には、大きくわけて①胸式呼吸、②腹式呼吸があります。
胸式呼吸は横隔膜をあまり動かさない浅い呼吸で一回に吸える量が少なくなります。一方、腹式呼吸は息を吸う際にお腹を膨らませ、横隔膜を大きく動かす呼吸法です。胸式呼吸より、一度に吸える空気の量も多くなり、ゆったりとした深い呼吸になります。
この腹式呼吸をすることが、とても重要になります。

腹式呼吸の働き
①副交感神経の働きを促す
②腰部の安定性に関与
③鼻呼吸の促進

①副交感神経の働きを促す


腹式呼吸によって得られる最大のメリットは、リラックス効果です。たくさんお腹から息を吸い、ゆっくりと吐くことで副交感神経が優位になります。
副交感神経を優位にすることは、睡眠と痛みの観点からも重要となります。

図:自律神経



睡眠と副交感神経


小さい頃、遠足前は楽しみで眠れなかったなんてことは誰しもが経験したことがあると思います。また、大人になってからも眠る前にゲームに夢中になりすぎて眠れなくなったことを経験したことがある人もいるかもしれません。これらは、交感神経が優位になって寝付けない現象です。つまり、眠るためには、副交感神経を優位にする必要があるのです。眠る前に、考え事をしたり、日々にストレスが溜まっており、交感神経が優位の状態であると、眠れたとしても浅い睡眠になります。浅い睡眠では、睡眠の目的である疲労回復が出来ません。眠る前はリラックスして、副交感神経を優位にすることが深い睡眠に導いてくれます。深い睡眠により、疲労回復が出来るため、翌日を活発に気分よく過ごすことができます。つまり、副交感神経を優位にすることは、眠ること・深い睡眠のために重要です。

図:副交感神経が睡眠に与える影響


痛みと副交感神経

痛みの悪循環
痛みが生じると交感神経の興奮、運動神経の興奮が起きます。そして、これらの神経の興奮によって、血管の収縮、筋肉の緊張が生じます。その結果、血行不良により痛みを助長してしまうことがあります。慢性的な痛みを抱えている方は、痛みの悪循環のループに入っている可能性があります。


図:痛みの悪循環

このループを脱却するための方法の1つが副交感神経を優位にすることです。痛みは様々な要因で生じるため、これだけで改善するわけではありませんが、痛み緩和の一助にはなると思います。

図:痛みと副交感神経の関係性

痛みの分類
痛みは、器質的疼痛と非器質的疼痛に大別されます。前者はその原因により侵害受容性(炎症性)疼痛と神経障害性疼痛に分類されます。器質的疼痛は原因が明確なため、感覚的側面(組織の損傷や痛み物質の影響)が強い特徴があります。一方で、非器質的疼痛は、説明しうる器質的な変化がないにも関わず生じる痛みや、器質的な変化は存在するが、それにより十分に説明ができない痛みをさします。非器質的疼痛は、情動・認知的側面の問題が色濃いとされています。非器質的疼痛の場合も器質的疼痛が発端となることも多く、これらを厳密に分けることは難しいとされています。これらの痛みが重複することで、慢性疼痛になってしまうことが多いです。

図:痛みの分類

慢性疼痛とは組織損傷が治っているにも関わらず存在する痛みです。この慢性疼痛には、過去の経験も含んだ心理社会的因子が影響していると報告されています。心理社会的要因とは、不安・抑うつなどのことをさします。人間は、不安に駆られると交感神経が優位になります。不安の根本的な問題を解決するのが何より大切であると思います。根本的な解決にはなりませんが、心理社会的要因による痛みの軽減にも腹式呼吸が手助けをしてくれるのです。


②腰部の安定性に関与


腹式呼吸により大きく動く横隔膜は、腰部の安定性に関与しています。
腰部の安定性が低下してしまうと、腰痛の原因になるといわれています。急激に生じる痛みのことを「ぎっくり腰」と呼んでいます。大抵の場合は、本人が気づかないような負荷が蓄積され、結果的に痛むことが多いです。腰痛の治療、予防のためにも、腹式呼吸による横隔膜の動きは重要になります。

③鼻呼吸の促進


腹式呼吸には、「鼻から吸って、口から吐く」方法と「鼻から吸って、鼻から吐く」方法があるといわれています。どちらの方法がよいかは、書籍に異なっているのが現状です。私個人としては、「鼻から吸って、鼻から吐く」方法がよいと考えています。なぜなら、いびき防止につながるからです。
いびきをかく人は、口呼吸になっており、口呼吸は睡眠の質を低下させてしまいます。そのため、腹式呼吸では「鼻から吸って、鼻から吐く」方法により、鼻呼吸を意識し、睡眠の質向上につなげることが大切と考えています。

まとめ

・腹式呼吸が睡眠の質向上に貢献してくれる
・腹式呼吸のリラックス効果が、痛みの軽減に役立つ
・横隔膜がしっかり動くことで腰痛予防にもなる
・鼻呼吸では、睡眠の質向上につながる




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